先月、プラド美術館「ラ・トゥール展」の感想文を書こうとしていた矢先、つい(?)「The Burlington Magazine(June 2016, No. 1359 – Vol 158)」に掲載されていたピエール・ローザンベール(アカデミー・フランセーズ会員、ルーヴル美術館名誉館長)の「ラ・トゥール展」レヴューを読んでしまった。
ローザンベール氏は1977年グラン・パレ「ラ・トゥール展」にも関わっているし、著作に『夜の画家 ジョルジュ・ド・ラ・トゥール』(二玄社)もあり、要するにその道の専門家である。故に、含蓄に富みながらも、ラ・トゥール偏愛ならではの苛立ちが滲む、すこぶる面白い展評となっていた。1936年生まれ、御年80歳ともなれば怖いもの無しであろうなぁ、ペンの切先は鋭い。
で、氏が冒頭で問うていた。
MADRID, is it the world capital of exhibition?
私的には、Yes,I think so. だった。
★ティッセン=ボルネミッサ美術館「カラヴァッジョと北方の画家たち(Caravaggio y los pintores del norte)」展
2016年6月21日(火)~9月18日(日)
カラヴァッジョ作品12点と、北方のカラヴァッジェスキ作品と併せて50点ほどが展示されているようだ。Yutube動画をご参照あれ。
カラヴァッジョ《聖女カテリーナ》(1598年頃)ティッセン=ボルネミッサ美術館
私的に意外だったのは、ネルソン=アトキンズ《洗礼者聖ヨハネ》やプラート《エッケ・ホモ》が展示されることで、未見の方にはぜひお薦めしたい展覧会だ。それに、オランダやフランスのカラヴァッジェスキ作品も興味深い。 と言っても、2012年のトゥールーズ&モンペリエの展覧会規模には及ばないと思うが...。
ちなみに、6月にティッセンに行った時、テル・ブリュッヘン作品が見えなかった。今回の展覧会には参戦しているようだ。ローザンベール氏が特に言及しているのが気にかかる。
マドリッドには行ったばかりじゃないのぉ~!! どうする?>私
もう少し早くこの情報を知っていたらマドリッドへ行くプランを考えたかもしれません。
実は9/11発でウィーン、ベルリン、ポツダム、ドレスデンを回ってきます。第一目的はボッティチェリやフィリッポ・リッピ、フィリッピーノ・リッピですが、もちろんカラヴァッジョも見てきます。ポツダムを入れたのは聖トマスの不信を見るためです。あとはクリムト、ファン・エイク、ブリューゲル、ラファエロなどが目的です。
このマドリッドの展覧会、ご紹介の動画を見ると、ネルソンのヨハネ、ヴィチェンツァ(旧プラート)の荊冠のキリスト、ナポリのウルスラの3点は今後いつ現地に行けるか分からないので、ちょっと残念な気がします。法悦のマグダラのマリアはどのヴァージョンでしょうか?(映像ではこの前上野で展示されていた絵のようですが。)
ウィーン、旧東独のカラヴァッジョ巡りのことについては、そのうち分からないことがあればご質問させていただきます。ベルリンではバリオーネの聖愛と俗愛第一ヴァージョンも楽しみにしています。
私もマドリッドから帰国後に知り、驚きました。ティッセンでは西美とかぶる作品が数点確認できますし、《法悦のマグダラのマリア》もその1枚の可能性がありますね。
ちなみに、来年ミラノで「カラヴァッジョ展」が予定されているので、がっかりされず、来年を期待しても良いかと思います。
で、むろさんさんの9/11からのご旅行、さすがの名画鑑賞コースですね!想像するだけでお腹いっぱいになります(笑)。カラヴァッジョ作品も名作揃いですし、しっかり楽しんで来てくださいね。
で、ベルリンでは《聖愛と俗愛》と《勝ち誇るアモル》の見比べも、ぜひ♪
現在旅行のための資料準備中ですが、来年ミラノで「カラヴァッジョ展」があるということなら、そちらの方も気になります。次の旅行は数年後にイタリアで、ボローニャ・ウルビーノ・サンジミニャーノ・ベルガモなどを考えていましたが、もう少し具体的に検討しようかと思います。
ミラノのカラヴァッジョ展の時期、出品作、ホームページなど何か情報がありましたら教えてください。
http://www.milanoguida.com/visite-guidate/mostre-milano/mostra-caravaggio-milano/
2017年、パラッツォ・レアーレで開催予定です。
で、むろさんさんのイタリア旅行計画、サンジミニャーノを除いて、お役に立てるかもしれません。
その場合何をテーマにして訪問する場所を決めるか、いろいろと迷うところです。私は本来1400年代後半のボッティチェリ周辺画家を対象にしていますので、イタリア中部から北部の町(ボローニャ・サンジミニャーノ・ルッカ・ベルガモ・トリノなど)の美術館・教会でボッティチェリを初め、フィリッピーノ・リッピ、ギルランダイオ、ポライゥオーロなどを見るというのが第一に考えられるのですが、ここ20年ぐらいはローマバロックも気になっているので、シチリアでカラヴァッジョも見たいし、ローマでベルニーニの残り(聖女ビビアーナとかサンタンドレア・アル・クイリナーレ教会など)も見たいと思っています。また、20~30年前に行ったのに修復中で見られなかったシエナのマエスタ2点(シモーネ・マルティーニとドゥッチョ)とオルビエートのサンブリツィオ礼拝堂に再挑戦したいという気持ちもあります。ペルージアでサンセヴェロのラファエロを時間切れで見損なったという苦い想い出も…。あとはウルビーノやマントヴァやアレッツォやラヴェンナにも行ってみたいし。
これだけ行くだけでも10日間ぐらいの旅行で4~5回は必要ですね。もちろんフィレンツェやバチカンは当分省略するとしてですが。
花耀亭さんはボローニャに短期留学をされていたり、イタリアの美術館・教会の事情にかなりお詳しいと思いますので、今後行き先がはっきりしてきたらまた教えてください。
で、むろさんさんのイタリア旅行計画は観るべきものが盛り沢山で凄いですね!この豪勢なラインナップでは時間をかけてでも観て回る価値があると思います(^^)。
ちなみに、美術ド素人の私がお役に立てそうなのは、自分の失敗から学んだ旅行ルートだったりで、それも時が経っているので、もしかして古い情報になっている可能性もありそうです(^^;;;
貴殿のラトゥール展批評を期待します。当方は粗略な短信ながら URLにしめすブログに書いておきました。ボス展関連については延々と今でも書き続けています。
山科さんのブログを拝見し、ご炯眼に感服しながら、なるほど!と勉強させていただきました。ありがとうございます。
で、ローザンベール氏曰くの「きつい照明」が、実は内心私的に嬉しかった照明で(暗くなかったので)、美術ド素人として感想文が書き難くなってしまったのです(^^;;
カタログの方は「ラ・トゥール展」しか購入せず、それも作品写真を眺めただけでしたので、山科さんのカタログ解説に大感謝です! 思うに、最近のカタログ傾向なのでしょうね。
ということで、できたら頑張って感想文を書きたいと思います(^^;;;