ドイツ語版Wikipedeiaをチェックしていたら、ベルリン国立絵画館にあるヤン・ファン・エイクの追随者《カーネーションを持つ男》のモデルがクレーヴ(クレーフェ)のアドルフ2世(Adolf Ⅱvon Kleve、 1373- 1448年)かもしれない説があるのを知ってしまった
ヤン・ファン・エイクの追随者《カーネーションを持つ男》(1436年頃)ベルリン国立絵画館
https://de.wikipedia.org/wiki/Adolf_II._(Kleve-Mark)
「この絵は、1437年頃に作成された可能性があり、最近ルドヴィック・ニースによってクレーヴ(クレーフェ)のアドルフ2世の肖像画として解釈されました。これは何よりも聖アンソニーを表す鐘の付いたTによって示されています:アントニウスはクレーヴ(クレーフェ)公爵によって寄贈された騎士団の守護者でした。」
※ご参考:・L. Nys, « Jean van Eyck et Clèves. Pour seuls indices, des œillets 'de gueules et d'argent', un tau et une clochette! », in : Francia. Forschungen zur westeuropäischen Geschichte (Deutschen Historischen Institut Paris), t. 35, 2008, p. 63-94
ううむ、アドルフ2世なのだろうか??
※追記:下記↓サイトによると、パネルの年輪測定では1484年以降になっている。
まずこの作品の基底材は1500年前後なので、もともと
そうとう後の時代の絵です。ただしヤンの絵の模写ということもあります。
ボッスやマサイスぐらいの時代。そして、Nys氏があげてる Bonn, Rheinisches Landesmuseumの「三王礼拝」の一人の王に異常なくらい顔が似ています。そうなると、1500年ごろの某氏の肖像としてもいいのではないか?
確かに、ヤンの絵の模写作品ということもあり得ますよね。
Bonn, Rheinisches Landesmuseumの「三王礼拝」を見つけかねていますが、激似だとすると、ううむ...。
「三王礼拝」の画家が《カーネーションを持つ男》を観て引用したとか...はないでしょうか??(;'∀')
Jean van Eyck et Clèves. Pour seuls indices, des oeillets »de gueules et d'argent«, un tau et une clochette!
Ludovic Nys (Autor/in)
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またFagginの1959年の総カタログにも部分図でのってます、ただ著者fagginは、 引用だということでファンアイク作品に由来するという考えを棄てきれないようですね
G.T.Faggin,Tout Oeuvre peint des VAN EYK, Flammarion, Paris, 1969
まあ、ファッション、とくに大きなフェルト?帽子が ファンアイク作品に出てくるのでそういう共通性はあります。
この「カーネーションを持つ男」、数年前にベルリンへ行った時に見てきたはずですが、あまり記憶に残っていないので、私も手持ち資料で少し調べてみました。といっても、最近北方ルネサンスからは離れているので、あまり新しい資料はありません。Rizzoliのcomplete paintingsシリーズ(但し私のはペンギンブックスの英語版1986であり、伊語版やフラマリオン版ではありません。Rizzoliでの初版は1968)、前川誠郎のファン・エイク全作品(中央公論社1980、但しコピー)ぐらいです。
Rizzoliのペンギン版も同じFagginの著で、確かにカタログページの該当箇所には、関連作品として三王礼拝の人物が出ていて、顔や姿勢もよく似ていますね。素人の感想としては、カーネーションを持つ男はウィーンのアルベルガティの肖像や同じベルリンのボードワンの肖像と似ていると思うので、ファン・エイク周辺でいいと思うのですが、Fagginの判定は四角マークの9分割のうち4つという「ほとんどの研究者から疑問視されている作品」。前川氏の全作品の本でも「この石竹を持つ男の肖像は~とてもヤンの作品とはいえない」として真筆作品からは外しています。なお、前川氏は石竹としていますが、石竹はナデシコ科とのことでカーネーションとは違います。近年の研究ではカーネーションと判断されるようになったのでしょうか?
「三王礼拝」は確かにそっくりさんでした(;'∀')
基底材も1484年以降ですから、1500年頃の人物の可能性が大きそうですね。
私的にはG.T.Fagginさん説も捨てがたいです(^^;
>近年の研究ではカーネーションと判断されるようになったのでしょうか?
独語のNelken は カーネーションのようです。
ジェームス・ホール『西洋美術解読事典』のカーネーションの項に「撫子、石竹の類をも含む。特に赤花のものは婚約を象徴するが、これはおそらくフランドルの婚礼の習慣に由来している。」とあります。
モデルはお歳を召しているように見えますが(汗)、多分、婚約記念肖像画なのでしょうね。
石竹とカーネーションの件、ありがとうございます。
また、本文及び山科さんご紹介のフランス語PDF論文の図版も確認しました。三王礼拝の絵の全体図が出ているのでRizzoli本よりも分かりやすいですね。Rizzoli本ではMehlem am Rhein, Neuernburg Collection となっているので、Rizzoli伊語版初版の1968年以降、仏語論文の2008年までの間にボンの文化史博物館に所有者が代わったようです。
同論文図2のスペイン個人蔵の枢機卿ジャン・ド・バヴィエールの肖像というのも「カーネーションを持つ男」によく似ていて興味深く感じました。
で、ジャン・ド・バヴィエールですが、もしかして、バイエルン公ヨハン3世(リエージュ司教だった)のことでしょうかね??
https://de.wikipedia.org/wiki/Johann_III._(Bayern)
ジャン・サンプールの妻(フィリップ・ル・ボンの母)マルグリット・ド・バヴィエールの弟...。
ちなみに、ヤン・ファン・エイクは1422-25年にかけてヨハン3世に仕えていました。美術ど素人の妄想ですが、もしかして、その間に肖像画を描いた可能性もあるし、それがオリジナルだとしたら...?? あ、暴走すみません(;'∀')
1500年頃までヤン・ファン・エイク風の絵が好まれ続けたことに、ある意味、やはりヤンって凄い画家なんだと再認識させられました(^^ゞ