Reflections

時のかけらたち

映画「新聞記者」を見に下高井戸へ ・・・ movie "Newspaper reporter"

2019-09-27 23:56:51 | movie
9月26日

前回のベルカントの帰りにお昼を食べながらお話をしたSさんから、もう一度望月衣塑子さんのことを
伺ってみました。新聞が面白くなくなったので、新聞を取るのをやめたら、やっぱり情報量は不足しています。
菅さんに質問した件はかなり有名だったのですね。彼女は芸大での芸術と憲法を考える連続講座で望月さんの話を聞いて
おもしろかったと話していました。次回は平田オリザなので、その時は誘ってもらうことにしました。
それで今まで機会があれば見たいと思っていた映画「新聞記者」がまだ新宿や渋谷、東中野でやっていることを
知り、見に行くことにしました。それも亡くなった私の友人がよく行っていたという下高井戸シネマで。
この清潔感のある小さな映画館で友人を偲びました。これからもポーランドとかのいい映画がありそうなので
ときどき来てみたくなる映画館でした。






スタッフ・キャスト

監督 藤井道人
原案 望月衣塑子 河村光庸
脚本 詩森ろば 高石明彦 藤井道人

シム・ウンギョン
松坂桃李







主役の二人はすごくよかったですが、シム・ウンギョンがすばらしかったです。シチュエーションが母が韓国人
と言うことだったので違和感はありませんでした。日本の女優さんだったら安藤サクラくらいしかできそうもないと
思いました。松坂桃季もストイックな俳優と言うイメージですが、抑えた演技が良かったです。他に田中哲司、
高橋和也、西田尚美のキャスティングもぴったりでした。本田翼が出てくるとちょっとホームドラマっぽく
なってしまって、できるだけ女優さんという感じがしない人が良かったような・・

話はつい最近まで騒がせていたリアルな話がクロスするので、いろいろ考えさせられました。今現在でも
関西電力の金品授受が露見していて・・ この映画の中では文科省の前川前事務次官と望月さんの対談シーンが
TVの画面から流れて、加計問題や籠池問題はどうなっちゃっているのかと思い出しました。今治の獣医学部は
生徒が集まらなくて100億も市が補助金を出しているのに無駄遣いに終わってしまいそうです。総理のお友達が
優遇されるという客観的に見ても本当にそんなことが起きていたことのおかしさに今さらながら気づかされます。
森友疑惑でも公文書を改ざんさせられた公務員が自殺したことは記憶に新しいことです。

新聞記者がどれだけ命を懸けて、記事を書いているのか伝わる映画でした。新聞が面白くなくやめてしまった
私ですが、おもしろくなくなった理由もわかるような気がします。それでも中には光るものもあるかもしれないので
図書館で読み比べて見てもいいかもしれませんね。
今ではネットでニュースも取れるし、情報操作も簡単にできる時代になって、真実を探すことが難しくなって
来ている時代ですが。
私の高校時代のクラブの先輩は上智の新聞学科に行ったことを思い出しました。いいところに目をつけていたのに
学生運動にはまって、その後中退したと聞いたような気がします。


この映画の最後の松坂桃季の呆然とした口の動きが忘れられない映画となりました。
また夫婦は支え合って生きていますが、全く違う世界、違う現実の中に生きていることを痛感しました。
でもジョルジョーネの嵐(テンペスタ)と言う絵にあるような男と女と子どもがいる世界が基本かと
思いました。そこにある安らぎの世界が生きる力になるのでは。

フィクションとはいえ、これだけ今の現実をちりばめた映画を作ったスタッフには驚くばかりです。
作品としてもスリリングでよくできていると思いました。
平日の午後でしたが、小さな映画館はほぼ満員で、盛況でした。静かなブームが続いています。






今度は望月さんのドキュメンタリ映画が公開されるというニュースがつい2~3日前に流れました。
合わせて見て見たくなります。



森達也監督のコメント

望月衣塑子記者の名前を、あなたはいつ知っただろうか。官房長官の記者会見で質問を重ねる女性記者。同じ質問を
何度もするなと官邸スタッフに咎められたとき、「納得できる答えをいただいていないので繰り返しています」と
彼女は即答した。とても当たり前のこと。でもその当り前の言葉が、ずっと僕の頭から離れない。
この国のメディアはおかしい。ジャーナリズムが機能していない。そんな言葉を日常的に見聞きするようになってから、
もう何年が過ぎただろう。いや見聞きするだけではない。僕自身も頻繁に言ったり書いたりしている。
かつてテレビ・ディレクターだった。その後に映画監督が肩書に加わった。それから活字も仕事の領域になった。
いわば僕のこれまでの人生は、常にメディアと共にあった。そのうえで断言する。確かに今のメディアはおかしい。
ジャーナリズムが機能していない。
あなたが右だろうが左だろうが関係ない。保守とリベラルも分けるつもりはない。メディアとジャーナリズムは、
誰にとっても大切な存在であるはずだ。だから撮る。撮りながら考える。望月記者はなぜこれほどに目立つのか。
周囲と違うのか。言葉が残るのか。特異点になってしまうのか。
撮りながら悩む。考える。だから観ながらあなたにも考えてほしい。悩んでほしい。きっと最後には、あるべき
メディアとジャーナリズムの姿が見えてくるはずだ。

『i -新聞記者ドキュメント-』

2019年11月15日(金)から新宿ピカデリーほか全国で順次公開
監督:森達也
出演:望月衣塑子
配給:スターサンズ

Sep.26 2019
コメント (2)
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