Reflections

時のかけらたち

情けなくなる判断力の低下 ・・・ decreased judgment

2019-11-04 22:47:40 | thoughts
音楽はできるだけすぐアップするので、ブログ遡っていくことに・・・

Sさんがベルカントの時か、翌日のイタリア語の時か、年取って、とっさの判断力が無くなってくることを
嘆いていました。雨の日の自転車での事故で足にギブス。松葉つえを1本だけついていました。

私自身も同じようなことが・・・

2日までにフェアアイルニッティングの宿題のサンプル編を終えなければいけないので、昼も夜も集中して編みました。
いつもならつけっぱなしのTVも消し、音楽もRADIKOで久しぶりに聞こうかと思ったら、集中できなくて消して、
自然の風の音や、町の音を聞きながら編み続けました。1号針で木の模様で何とも細かくて・・・
なんだかものすごくハードルの高いものを選んでしまったことに真っ青です。心臓はドキドキ本当にして
体に悪そうで、何回も深呼吸しました。40年ぶりの編み物は調子を戻すまで大変です。

弱いシェトランドウールのほぐれやすい糸に黒いダークな色でこの年よりには困難なことが多く、もうgive up
したくなりましたが、何とか授業について行かなくてはなりません。




ここで習うパターンは自由学園の教室のために出しているので、公開禁止。途中で間違えてしまったので
別の柄ができました。オリジナルではないので載せています。

宿題では2色の二目ゴム編から木の模様を3段でしたが、その前の模様も入れなくてはいけなかったのに
木を3段だけでいいと勘違いしてそこまで作って伏せて持って行きました。途中模様がずれているのに気が付きましたが、
それまでにも少しほどいたりしてやっていたら、毛糸はほつれてくるし、なんだか目が落ちてしまっていてそれが
模様の崩れになっていました。その微妙なずれ方も気に入ってしまったのですが、この手の遅さではほどいてやり直すこと
が困難で、進むか戻るか相当考えてしまい、今回は手を慣らすこととして前進してとにかく作り上げることを
目標に切り替えました。その判断を出すのに頭真っ白で時間が経ち。年取るってこういうことかと思いました。
それに難しいものに挑戦してしまって、何か自分のことどう思っているのかと反省してしまいました。きっと織の再開も
困難かもしれません。自分自身謙虚な姿勢も必要だと反省しました。過去に何かやっていたなんてあまり意味がないですね。

この日は翌日のホセ・カレーラスのコンサートのことも飛んでしまっていた一日でした。
編図を見て頭を抱えてしまうことが多い日でした。

40年ぶりの編み物はとにかく編むということを目標にしていくしかありません。金属製のドイツ製輪針は滑りやすく
とても使いにくいです。

翌日の講習日には本体に入り320目つくり目からです。メビウスの輪にならないようにとの注意がありました。
まだ手の調子が戻らずでこぼこして、何度もやり直して作りました。先生が見かねて手伝ってくれました。
リズムが良くないねと・・・ 



マーカーもいろいろあります。

同じ配色をするグループで近くにいた若い方がグループラインに入れてくれて助かりました。わからないことがあったら
お互いに教えあおうというものです。ありがたいです。

前途多難な編み物のスタートです。


コメント (4)
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黒澤 明 樹海の迷宮 ・・・  Akira Kurosawa ・・・the labyrinth in sea of trees

2019-11-04 08:47:23 | books


図書館に早く返さなければとやっと先月の下旬より読み始めましたが、フェアアイルとか入ってきて
やっと昨日読み終わりました。次に借りたいマイスキーのチェロのCDがみつかったからです。延滞の本があると次の
予約ができません。600ページを超える本は簡単には読めませんでした。



最後についている映画のスクリプトは省きましたが、それでも400Pを超えました。
本のカバーが魅力的だと思ったら、マーク・ロスコの絵でした。

確かにこの映画は黒澤のターニングポイントだったのですね。それまでの大げさな表現ではなく、ナチュラルに
静かに淡々と友情と大自然を描きました。そしてこのメイキング日誌は映画よりもある意味おもしろくドラマティックでした。
この映画は自然とまたそれと闘う人間の尊厳ととして人間も大自然の一部ということを言いたかった、自然を大切にしたいと
いう黒澤の思いからできました。
映画と同じようにメイキングもそれ以上のドラマのようでした。池澤夏樹は未完の長編小説と書いています。



彼のその後の映画人生を広げるきっかけとなったこの作品のメイキングを明らかにしたことで
映画つくりと言うものがどれだけ、多くの人たちの努力によってなされるかと言うことが、よくわかるドキュメントでした。
世界の自殺未遂の後のクロサワに映画を作ってもらいたいという願いが、素晴らしい作品を生み出していきました。
今だから明かされる彼を支えた人々や、三船との関係など、興味深かったです。この映画には大げさな演技は必要なかった
のです。

彼の窮地を救ったソ連。またそれをおぜん立てした映画人。何十億と言う予算をかけても作り上げたい支える人たちの情熱。
ですから彼の作品は大ヒットしてもらわないと、制作費のカバーやそれに数年他を犠牲にしてかかわった人たちが
浮かばれません。

デルス・ウザーラの主役は大自然でシベリアロケだけで確か8か月。主役の二人はドンぴしゃでそこに至るまでの経緯や
トラまで子供のトラをみつけて育てて使ったという凝りようでトラの食費は監督の日当より高かったとか・・
せっかく育てたトラもうまく利用できず、主役のソローミンがこれ以上動物虐待を続けたら降りると監督に
言って、飼いならされたトラを使ったという…そしてそのトラが見事な演技をしたとか・・
自然を相手にした映画つくりは時期やロケーションや黒澤の思い通りにはいかず大変な苦労でした。ウォッカを一日に
一本あけながらわがままで暴言だらけの監督について行くスタッフやキャスト。今ならパワハラですね。

限りのあるフィルムの中でなんテイクも撮り直し、この映画は完成までに3年かかったとのことでした。
通訳の問題、気候の問題、多くの困難の中で作られた映画。他の映画もここまでではなくても、1作品を作るのは
どれだけ大変なのかと思いました。

この映画により、一度死んだ黒澤が、行き返りその後もいい映画を外国の力を得て作っていきました。乱で人間の愚かさと
世界平和を願った黒澤が今でも世界で見続けられていることは嬉しいことです。
映画はすべてがアートなんですね。自然も作る。スモークをおこしたり・・
ソ連映画も地元でよく見て、音楽の使い方などを研究して、作曲家を決めたり、民族音楽をたくさん聴いて
曲を選んでいく・・ 動物博物館に行って動物の足跡とか研究して、動物の準備するのも大変な苦労。
季節が違えば、造花の枯葉を敷き詰めたり・・。映画とは作り上げることだったのです。
予算によるフィルムの質。タルコフスキーの忠告を聞かなかったばかりに苦労する黒澤。そして
フィルムの事故による撮り直しの多発。フィルムをモスクワまで送って焼いて試写するという長い時間が
かかる作業。ライトが台無しにする映像・・・
数時間の作品を作るのにこの労力・・・ 衣類にもすごいこだわりがある黒澤。
黒澤が怒り、ほめ、誕生祝には主役に絵をプレゼントするやさしさもあり・・

今ではもうこんな映画つくりをする監督はいないのだろうなと思いながら、それでも映画つくりの手間は
同じようにいろいろな進化の中でもあるのだろうと感じてはいます。
淡々とそして人間に対する強いメッセージが底にある映画をいつかは劇場で見れたらと思います。


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