碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「世界文学」としての高橋和巳『邪宗門』

2014年10月21日 | 書評した本たち



河出文庫から、高橋和巳『邪宗門』(上・下)が出ました。

これまでも何度か文庫化されていますが、1966年に単行本として世に出した河出書房新社というところが感慨深い。

初出、つまり連載されたのが65年で、『朝日ジャーナル』だったというのも、作品とその時代を感じさせます。

解説は佐藤優さん。

この作品を、「世界文学」と呼んでいます。

現在の世界を読み解くための一冊という意味でも、確かに「世界文学」かもしれません。

わずか39歳で亡くなった高橋和巳ですが、この『邪宗門』を書いていた頃は、まだ33~34歳。

やはり天才だったのだと思います。


今週の「読んで書評を書いた本」は次の通りです。

<長め>
角田光代 『笹の舟で海をわたる』 毎日新聞社

辻 信一 『「しないこと」リストのすすめ』 ポプラ新書 

山室寛之 『巨人V9とその時代』 中高公論新社

野坂昭如 『シャボン玉日本』 毎日新聞社

五木寛之 『孤独の力』 東京書館

想田和弘 『熱狂なきファシズム』 河出書房新社 

* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(10月23日号)
  読書欄に掲載されています。