碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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本気で取りにきた、「ドクターX~外科医・大門未知子~」

2014年10月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

日刊ゲンダイに連載中の「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」を取り上げました。


すべてはヒロインのため

第一印象は、「本気で取りにきたなあ」である。先週スタートした、テレビ朝日「ドクターX~外科医・大門未知子~」だ。

「相棒」と並ぶ二枚看板の名にかけて、初回に勝負してくるとは思っていたが、その“エンタメぶり”は予想以上だった。

まず「国立高度医療センター」という新たな舞台を設定。手術室など施設や設備を含め、病院としてのスケールがぐんとアップした。

またそこに居並ぶ面々が豪華だ。いきなり更迭される総長に中尾彬。入れ替わる新総長は北大路欣也。そして次期総長の座を狙うのが古谷一行である。

ライバル関係が続く外科部長は伊武雅刀と遠藤憲一。前シリーズで帝都医大を追われながら、しっかり西京大病院長に収まっている西田敏行も元気だ。

この面子を見ながら、「白い巨塔」(フジ)と「華麗なる一族」(TBS)と「半沢直樹」(同)がオーバーラップして苦笑いした。

男たちの権力争いは往年の東映やくざ映画のようにむき出しで、遠慮がなく、分かりやすい。すべてはヒロインのためであり、そのおかげで実質的紅一点である大門未知子(米倉涼子)の印象が鮮やかなのだ。

舞台の病院が変わろうと、男たちの争いが激化しようと、大門¬=米倉は決して変わらない。超のつく手術好き、天才的な腕前、少しヌケた男前な性格。このブレなさ加減こそがシリーズの命だ。

(日刊ゲンダイ 2014.10.14)