女性セブンが、「低視聴率だったけど、おもしろいドラマ」という記事を掲載しました。
この中で、ドラマを2本推薦し、解説しています。
記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください。
低視聴率だったけど、
このドラマ、実はおもしろい
このドラマ、実はおもしろい
視聴率40%台を叩き出した「半沢直樹」(TBS系)や「家政婦のミタ」)(日本テレビ系)のようなお化けドラマがある一方で、1ケタ台の低視聴率ドラマは今や当たり前。
だが、そうした作品がすべてつまらないというわけではない。平均2%の視聴率だった「鈴木先生」(テレビ東京系)が映画化して成功したように、おもしろいものが実は多くあるのだ。
テレビウオッチャーとメディア論の大学教授が選んだ低視聴率ドラマ傑作選!
<コラムニストのペリー荻野さんが選んだ2本>
『あすなろ三三七拍子』(2014、フジテレビ系)
平均視聴率5.2%
『家族のうた』(2012、フジテレビ系)
平均視聴率3.9%
<私が選んだ2本>
『ゴーイングマイホーム』(2012、フジテレビ・関西テレビ系)
平均視聴率7.9%
脚本・演出を手がけたのは、『そして父になる』でカンヌ国際映画祭審査員賞に輝いた映画監督の是枝裕和さんだ。
「是枝さんが初めて民放の連続ドラマにトライするというので、期待して見ました。実際にとても良質なドラマでした。当たり前の日常にこそドラマがあるという是枝さんの思想が見事に反映されていました」(碓井広義・上智大学文学部教授)
ドラマを盛り上げるような殺人事件は起こらないし、大恋愛もない、泣かせるような難病もないが、「画面から目が離せなかった」(碓井さん)という。
碓井さんが印象的だった場面は、山口智子(50才)演じるフードスタイリスト・沙江のCM撮影のシーンだ。
沙江が盛りつけた料理をスタッフが「美味しそう」と感心する。すると、沙江は「美味しそうと、美味しいは、別なんだよ」と笑顔で答える。
「このセリフは深いですよね。たとえば視聴者も、現実生活の中で見かけた人を『いい人そう』と思う。でも、本当に『いい人』とは限らない。つまり、あのセリフは是枝さんの『この世界は見えないところにこそ真実がある』というメッセージだと思うんです。さりげないひと言にも深い意味が込められている。それが是枝作品なんです」(碓井さん)
だが、視聴率は1話目の13%をピークに急降下してしまった。
「起伏のない日常の積み重ねというホームドラマは異色作でした。普段と違うものに対する違和感、拒否感があったのかもしれません」(碓井さん)
『ごめんね青春』(2014、TBS系)
平均視聴率7.7%
宮藤官九郎脚本のドラマだったが、NHK朝ドラ『あまちゃん』とはうってかわった低視聴率に泣いた。それでも、碓井さんはなぜか納得の表情だ。
「面白かったですよ。最初から“視聴者限定”という潔さがあったから(笑)。『わかるヤツだけわかればいい』という感じで、小ネタもバカバカしさも満載でした」(碓井さん)
主人公原平助(錦戸亮、30才)の実家はお寺。家の中にはなぜか亡くなった母親の姿をした仏像が鎮座している。しかも平助は母親と話すことができ、母親に「あんた、ダメじゃない」とツッコミを入れられる。
「ついていけない人は『何やってるの?』って感じでしょうね。でも、その奇抜な設定があとあと効いてくる。クドカン得意の伏線も素晴らしかったです」(碓井さん)
(女性セブン 2015.06.25号)