映画『ハドソン川の奇跡』を観に行くのを楽しみにしている。
それで、このイーストウッド監督の最新作を観る前に、評伝を1冊・・・。
著名人の伝記や評伝の醍醐味は、 知られざる人間像にどれだけ迫れるかにある。
ジェームズ・スチュワートなどの評伝で知られる、マーク・エリオットの『クリント・イーストウッド~ハリウッド最後の伝説』(早川書房)は、俳優として、また監督として大きな存在感を示す男の軌跡を、光と影の両面から余すところなく描いている。
この本を読んで、まず驚くのは、イーストウッドが無名に近い駆け出し時代から、いずれは監督になることを目指していたこと。また、そのためには俳優としてどんなキャリアを積むべきかを常に考えてきたことだ。
TV映画『ローハイド』からマカロニ・ウエスタンのヒーローへ。そして『ダーティーハリー』の成功を経て、やがて自らのメガホンで撮るようになる。『許されざる者』では監督賞と作品賞をダブル受賞した。
その間の成功と失敗の舞台裏はもちろん、直情径行、いや無茶ともいえる(笑)女性関係の真相にもペンが及んでいる。何より本人の言葉が豊富で、読みごたえ十分だ。