碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

NHK大河ドラマ「花燃ゆ」初回を見て・・・

2015年01月05日 | テレビ・ラジオ・メディア



まず、「これは期待できそうだ」というのが、初回を見ての第一印象でした。

ドラマで最も大事なものは物語であり、ストーリーです。

吉田松陰を軸に、幕末から維新へと時代を動かした人物たちを描く。

基本的に面白くないはずはありません。

ただし今回は、吉田松陰の「妹」という、一般的には知られていない人物を主人公に据えたことの不安はあります。

主人公の設定が物語の幅を狭めないか。

まあ、それは初回だけでは判断できませんが、子役の山田萌々香さんの好演もあって、少なくとも文(ふみ)という女性が少女時代から“ひと味違う”魅力をもった人物であることは伝わってきました。

次回からは井上真央さんも本格的に登場するので、文のヒロインとしての存在感も増すでしょう。

松陰はもちろん、やがて最初の夫となる久坂玄瑞や高杉晋作との関わりも興味深い。


それから、初回で感心したのは、いい台詞がいくつもあったことです。

中でも、藩校「明倫館」の場面は秀逸でした。

幕府が禁じた書物をめぐる騒動を踏まえて、後の松陰、吉田寅次郎(伊勢谷友介)が一堂に問いかけます・・・・

 皆に問いたい。
 人はなぜ学ぶのか。

 私はこう考えます。

 学ぶのは
 知識を得るためでも、
 職を得るためでも、
 出世のためでもない。
 人にものを教えるためでも、
 人から尊敬されるためでもない。

 己(おのれ)のためじゃ、
 己を磨くために人は学ぶんじゃ。


・・・・それに呼応するように、後に文の夫となる小田村伊之助(大沢たかお)が続けます。

 人はなぜ学ぶのか。

 お役に付くためでも、
 与えられた役割を果たすためでもない。

 かりそめの安泰に満足し、
 身の程をわきまえ、
 この無知で
 世間知らずで
 何の役にも立たぬ
 己のまま生きるなど
 ご免です。

 なぜ学ぶのか。

 この世の中のために、
 己がすべきことを知るために学ぶのです。


・・・・この場面、そしてこれらの台詞には、このドラマを作っている人たちの「志」のようなものが込められていました。

それがあれば、大きく堕することはないのではないか(笑)。

「これは期待できそうだ」と思った所以です。


そうそう、池田秀一さん(あのシャア・アズナブルです)のナレーションも良かった。

以前、プロデューサー時代に仕事をお願いしたことがありますが、
とにかく上手い。聴いていて安心(笑)。

主観性と客観性のバランスが見事なんですね。プロの仕事です。

池田さん、長丁場ですが頑張ってください。


人類愛と家族愛が合体した、超SF映画『インターステラー』

2015年01月04日 | 映画・ビデオ・映像



『ヒューリー』に続いて劇場に足を運んだのは、クリストファー・ノーラン監督の『インターステラー』です。

近未来、地球規模の食糧難と環境変化によって人類の滅亡のカウントダウンが進んでいた。そんな状況で、あるミッションの遂行者に元エンジニアの男が大抜てきされる。そのミッションとは、宇宙で新たに発見された未開地へ旅立つというものだった。地球に残さねばならない家族と人類滅亡の回避、二つの間で葛藤する男。悩み抜いた果てに、彼は家族に帰還を約束し、前人未到の新天地を目指すことを決意して宇宙船へと乗り込む。

『ダークナイト』シリーズや『インセプション』などのクリストファー・ノーラン監督が放つSFドラマ。食糧不足や環境の変化によって人類滅亡が迫る中、それを回避するミッションに挑む男の姿を見つめていく。主演を務める『ダラス・バイヤーズクラブ』などのマシュー・マコノヒーを筆頭に、『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイ、『ゼロ・ダーク・サーティ』などのジェシカ・チャステインら演技派スターが結集する。深遠なテーマをはらんだ物語に加え、最先端VFXで壮大かつリアルに創造された宇宙空間の描写にも圧倒される。



ノーラン監督というだけで、やはり見ないではいられません。

結果、予想以上の作品でした。

人類滅亡の危機という“大きな物語”と、マシュー・マコノヒーが演じる元エンジニアとその家族という“小さな物語”が巧みに融合されており、トータルで見ごたえのある人間ドラマになっています。

『ヒューリー』が形を変えた、もう一つの『地獄の黙示録』ならば、こちらは、もう一つの『2001年宇宙の旅』だと言ったら、またまた言い過ぎですね(笑)。

169分という堂々の長尺ですが、飽きることなく、スクリーンに没頭しました。

新作が出るたびに「うーん、これはすごいぞ!」と驚かされるのですが、毎回こんなハイレベルな作品を作り続けて、ノーラン監督、大丈夫か? 早死にしたりしないよね。



逃げ場のない“戦場”を体感する、映画『ヒューリー』

2015年01月04日 | 映画・ビデオ・映像



ブラッド・ピットの新作『ヒューリー』を見てきました。

1945年4月、ナチスがはびこるドイツに総攻撃を仕掛ける連合軍に、ウォーダディーというニックネームのアメリカ人兵士(ブラッド・ピット)がいた。カリスマ性のあるベテラン兵士である彼は、自らフューリーと名付けたアメリカ製の中戦車シャーマンM4に3人の兵士と一緒に乗っていた。そんなある日、ウォーダディーの部隊に新兵ノーマン(ローガン・ラーマン)が加わることになり……。

ブラッド・ピットと『サボタージュ』などのデヴィッド・エアー監督がタッグを組み、ナチスドイツ相手に戦車で戦いを挑む男たちの姿を描く感動の戦争ドラマ。第2次世界大戦末期、戦車を駆使して敵軍に立ち向かう5人の兵士たちの過酷なバトルを追う。『欲望のバージニア』などのシャイア・ラブーフや、『ウォールフラワー』などのローガン・ラーマンらが共演。アメリカとドイツ双方が誇る戦車の激突はもとより、強い絆で結ばれた男たちのドラマが琴線に触れる。



第二次大戦中の戦車による壮絶な戦い。

激戦で米軍の僚友が全滅し、たった一台だけ残った戦車がヒューリーです。

リーダーであるブラッド・ピットの指揮が見事で、もう無理か、と思われる局面も切り抜けていく。

ピットをはじめ、それぞれの得意技をもつベテラン兵士たちと新兵の対比も絶妙です。

作品全体として、ピットたちをいわゆる英雄として描いたりせず、戦争もしくは戦場とはどんなものかを見せてくれます。

形を変えた、もう一つの『地獄の黙示録』、と言ったら言い過ぎかな?

とにかく戦場の描写がリアルで、自分が戦ったわけでもないのに(笑)、見終わったら疲労コンバイの極致でした。


あらためて、新年のごあいさつ

2015年01月03日 | テレビ・ラジオ・メディア
2015年正月 我が家の松竹


あらためまして、新年おめでとうございます。

いつものように故郷で年を越し、元気に帰京しました。

徐々に日常モードへと戻しているところです。

2015年。

私の専門分野でいえば、
「放送90年」の年ということになります。

90年前の1925(大正14)年に
日本のラジオ放送が始まったからです。

今年は、これを機会に
「放送」そのものについての検証や議論が
活発に行われるのではないでしょうか。

また2015年は「戦後70年」にも当たります。

こちらも様々な形で
日本の「これまで」と「これから」を
考える機会が増えるはずです。

そんなこんなを踏まえつつ、
今年もあれやこれやを考察していきたいと
思っておりますので、
どうぞよろしくお願いいたします。


2014年1月3日

碓井 広義

【気まぐれ写真館】 信州より謹賀新年!(安曇野2014.01.02)

2015年01月03日 | 気まぐれ写真館

【気まぐれ写真館】 信州より謹賀新年!(初クレーンゲームで)

2015年01月01日 | 気まぐれ写真館

【気まぐれ写真館】 信州より謹賀新年!(二年参り)

2015年01月01日 | 気まぐれ写真館