碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

長澤まさみ「インスタグラム」写真をめぐって・・・

2015年09月04日 | メディアでのコメント・論評



週刊新潮に掲載された、長澤まさみの「インスタグラム」写真に関する記事。

この中で、コメントしています。


スッピン「長澤まさみ」が集めた“いいね!”の数

 iPhoneなどのスマホで撮影した写真を、日記のように公開するインスタグラム。一般人から著名人まで公開しているのだが、日本の女優で誰が一番見られているかといえば、長澤まさみ(28)。フォロワーの数は、94万人超!

 彼女が8月20日に公開した“スッピン”と思しき写真が“めっちゃキレイ”と、およそ5万件もの“いいね!”を集めている。

「確かにナチュラル風で綺麗です。浴室らしき部屋でシャワーなのか、天井なのか、虚空を見詰めているような変な写真ですが」

 とは上智大学教授の碓井広義氏(メディア論)。

「何か悩みでもあるのでしょうか? カンヌ国際映画祭でも注目された映画『海街diary』の次女役もよかったのですが、長女の綾瀬はるかと四女の広瀬すずにスポットが当たっちゃいましたからね。考えてみれば、彼女はヒロインは演じても、主演は意外に少ない。深夜枠の主演ドラマ『都市伝説の女』(テレビ朝日系)は好評でしたが、注目されたのは彼女の美脚。もっと私を見てよっ! という思いが、この写真に現れているかのよう」


 ご不満なようである。さらに、“バストアップ”云々のコメントが寄せられているのが、彼女のご機嫌を損ねかねないというのはスポーツ紙記者である。

「『海街diary』の宣伝で、広瀬すずと一緒に番組に出ることがありましたが、流石の長澤も17歳の広瀬と並ぶと身体の線が違っていた。特に話題になったのが、胸が垂れている、というもの。確かに広瀬と較べると長澤の位置は低い」

 かつて週刊文春で“巨乳のクセに清純派”などと痛くもない“おっぱい”を探られたこともある長澤ではあったが……。そういえば、彼女のインスタグラムには上半身を捉えた写真が少ないようにも見受けられる。

「女優はカメラマンに撮られてナンボ。自撮りなんかするもんじゃないってことですよ」(前出・碓井教授)

 風呂場で自撮りしたいなら、次はスッポンポンで。

(週刊新潮 2015年9月3日号)

キリン「ビターズ」CM 遠藤部長から目が離せない!

2015年09月03日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、キリン「ビターズ」妻編を取り上げました。


キリン「ビターズ」
目が離せない!千変万化の表情

「民王」(テレビ朝日系)は、今期ドラマの中で出色の1本だ。総理大臣(遠藤憲一)と、不肖の息子(菅田将暉)の心が、突然入れ替わってしまう破天荒な物語。

特に、未曾有の状況に陥った総理を演じる遠藤から目が離せない。また、コメディでありながら、政治や権力への風刺劇になっている点も秀逸だ。

このCMでの遠藤はビール事業部長。最近、ライバルのチューハイ事業部が投入した新製品の動向が気になって仕方ない。部下たち(小池栄子、濱田岳)の調査によれば、「とりあえずビール」の牙城を崩しそうな勢いだという。

さらに色っぽすぎる妻(橋本マナミ)も愛飲し、「わたし、メロメロ~」などと言い出す始末だ。遠藤部長はあのワニ顔を千変万化させ、驚いたり憤ったりしている。

男の顔は履歴書で、女の顔は請求書だという。この夫妻にぴったりの言葉だ。チューハイ事業部はもちろん、妻の“謀反”にも負けず、頑張れ!遠藤部長。

(日経MJ2015.08.31)

「刑事7人」と「七人の刑事」

2015年09月02日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今回は、ドラマ「刑事7人」について書きました。


テレビ朝日系「刑事7人」
独自色を出すことに腐心しているが・・・

これは一種の戦略商品だったはずだ。目標は、ヒットシリーズ「相棒」とは別タイプの刑事ドラマの創出。差別化のため、独自色を出すことに腐心している。

「相棒」の杉下右京(水谷豊)の武器が優れた推理力と洞察力だとすれば、「刑7」の天樹悠(東山紀之)のそれは“時間”へのこだわりだ。毎回、犯人をはじめとする登場人物たちの“空白の時間”が焦点となる。

この設定自体は悪くない。天樹は、「4分の距離をなぜ15分かけて歩いたか」「自首するまでの2時間半は何をしていたか」といった疑問から解決の糸口を見つけていく。ただ、「これって当たり前の捜査の一環なんじゃないの?」と視聴者に思われてしまうところが辛い。天樹の能力が際立ったものに見えないのだ。

もう一つ残念なのが、他の刑事たちの造形。すぐに怒鳴る熱血漢(高嶋政宏)、空気が読めない帰国子女(倉科カナ)、引きこもりの分析屋(片岡愛之助)など、何とも古くて類型的なのだ。しかも、それぞれがバラバラに自己主張しており、キャラが空回りしている。

このタイトル、やはり昭和の名作「七人の刑事」(TBS系)を連想してしまう。「七刑」の特色は、社会問題も取り込む懐の深さと、刑事たちを悩んだり迷ったりする人間として描いた点にあった。さて、「刑7」はどこを目指すのか。

(日刊ゲンダイ 2015.09.01)

NHK「のど自慢」は、地域の人間ドキュメント

2015年09月01日 | メディアでのコメント・論評



毎日新聞に、NHK「のど自慢」に関する記事が掲載されました。

この中で、解説しています。


変わらぬ「地域の人間ドキュメント」
のど自慢 70年目の快走

 NHK総合の番組「のど自慢」が、戦後の歩みと共に放送70年目を迎えた。出演者がバンドの生演奏で歌声を披露するスタイルは変わらないが、今もなお音楽番組の週間視聴率でトップを争う人気ぶりだ。

 「のど自慢」は全国を巡回し、毎週日曜午後0時15分から45分間、生放送される。

 7月26日の会場は埼玉県春日部市の市民文化会館。中高生ら20組がマイクを握り、合否を伝える鐘を聞いた時の出場者の表情や、司会の小田切千アナウンサー(45)との会話が客席を沸かせる。

 石原つるさん(77)は、小田切アナから「今日は7年前に亡くなった夫の誕生日」と紹介され、都はるみさんの「好きになった人」を熱唱。「鐘二つ」で不合格だったが、元気な歌声と笑顔が会場を魅了したとして、ゲスト歌手が選ぶ特別賞に輝いた。本番後、「帰ったら仏壇のお父さん(夫)に報告したい」と興奮気味に話した。

 出場枠20組に対し、多い時には2000組以上の応募がある。ディレクターは選曲理由が書かれた応募はがき1枚ずつに目を通し、放送前日の予選会に出場する250組に絞り込む。予選会では小田切アナが出場者を取材。出場者との距離を縮めるためだ。

 「その人の人生を垣間見て、ステージに上がる以上、気持ちよく歌ってもらえるように紹介したい」と小田切アナ。

 ◇音楽番組首位争う

 民放地上波のプロ歌手による音楽番組人気に陰りが見える中、「のど自慢」は今年も、同ジャンルの視聴率週間順位で5位以上をキープ。8月23日も8.7%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)で首位だった。上智大の碓井広義教授(メディア論)は「出場者に寄り添って番組は作られている。地域の人間ドキュメントになっているところが面白い」と分析する。

 スタートは1946年1月19日。当初はラジオ番組で、作曲家の三枝成彰さん(73)の父で初代ディレクターの故・三枝健剛さんが企画。碓井教授は「終戦までメディアに登場することのなかった素人がスポットライトを浴びる番組が始まったのは、民主化の象徴とも言える」と話す。

 48年にはシベリア抑留からの帰還兵が、現地で望郷の思いを込めて歌われていた「異国の丘」で出場し、この歌が大流行するきっかけになった。故・美空ひばりさんや北島三郎さん、ジェロさんらも出場経験がある。

 今年から中学生に門戸を開き、若い視聴者の取り込みにも挑む。矢島良チーフプロデューサー(43)は「出場者の思いを伝える番組であり続けたい」と語る。【須藤唯哉】

(毎日新聞 2015年08月31日)