河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

この世界の片隅に(下)

2009-04-28 22:10:58 | 読書(マンガ)
完結編。
戦時中の呉で暮らす、すずの生活が丁寧に描かれる。
戦争という事業が進行していたころ。
どれだけ人が死んでも、国民は疑問にも思っていない。
見ず知らずの家に嫁に来た、絵が好きなすずには、
ショッキングな出来事が起こる。
そして、しばらくの間、現実を現実のこととして
認識することが難しくなってしまう。
それでも、失われた右手は、どこかで何かを描いている。
ラストのカラー画で、現実と折り合いを付け、すずの世界が戻ってくる。
呉って、大きくないのに政令指定都市で不思議に思ったことがある。
戦前の常識は、今はもう知らないことだらけ。
わざわざ教えようともしないだろうし。
マンガという手法は、リアルにそれを伝えうる。
小説と違ってごまかしがきかないし。
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DIVE!!3~4

2009-04-24 21:42:49 | 読書(小説)
森絵都、講談社。
飛び込み小説。(なんか変?)
3巻は、貴公子要一の苦悩、
4巻は、知季、飛沫、要一、三者三様の戦い。
飛び込みは、個人競技、自分との戦いなのだ。
自分との戦いにある程度決着を付けてしまった、
若者らしからぬ若者たち、ともいえる。
ラスト、うまくいきすぎ!とか思いながら、
誰が勝者になるのか、次々と変わっていく順位に
はらはらしながらページを繰った。
ラストはまあ、こんなもんかな、と。
個人の戦い、ということから、これまで端役で出てきた
レイジや夏陽子たち登場人物たちにもスポットライトが当たる。
児童文学・・・の割には、飛沫とその彼女はやばいよなあ・・・
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大きな木のような人

2009-04-18 21:23:45 | 読書(その他)
いせひでこ、講談社。絵本。
「絵描き」「ルリユールおじさん」につづく横長シリーズかなと思ったら、
いままでと出版社違うじゃん。
ルリユールおじさん以降、妙に売れたよなあ。
近所の本屋でも平積みしててびっくりだ。
今度はパリの植物園が舞台。
ルリユールおじさんにでてくる女の子も登場。
植物園に行きたくなるなー。
私のバンペイユの種は芽が出なかったけど、
なんか植物を育てたいなあとも思った。
今年は「にいさん」の展覧会だ。
また長野に行かなくちゃ。
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ポティラ

2009-04-14 22:45:23 | 読書(小説)
コルネーリア・フンケ、WAVE出版。
「どろぼうの神さま」の著者の最新作。
これまでの本一応全部読んでるけど、
結局「どろぼう・・・」が一番面白かったな。
ベネチアの風景とかが新鮮だったし。
オチがファンタジーで逆にがっかりしたくらい。
この作品は、短い、子ども向けファンタジー。
妖精の女王ポティラとアーサ少年が、時間泥棒と戦う物語。
ラストのあれが、アーサーの願いだったのか?
だとしたら、がっかりだ。
双子、「風が強く吹いている」読んでたとこなので、
全くかぶらない双子の悪役ぶりにびっくり。
どちらかというと、ハリー・ポッターの双子兄みたい。
作者はドイツ人だけど、イギリス風の世界観で繰り広げられるお話。
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風が強く吹いている

2009-04-13 22:49:38 | 読書(小説)
三浦しをん、新潮社。
面白かったよ。
ある春の日に、突如結成された部員10人だけの駅伝チーム。
寛政大学(竹青荘住人)10人が、箱根駅伝をめざす!
言い出しっぺは4年生の清瀬(ハイジ)。
駅伝どころか陸上経験も様々なメンバーたち。
走(かける)、ジョータ・ジョージ、神童、ムサ、
王子、ユキ、キング、ニコチャン、ハイジ。
ほんなあほな、という設定ながら、それぞれが努力を重ね、
個人個人の人生やら思いを丁寧に描いているので、
予選通過や、ライバルに競り勝つさまも、うまくだまされていく。
表紙絵がいいな。錦絵風。最近BRUTUSでよく見る山口晃。
ちょっと同時期発売の徒然王子とかぶったけど。
読んでると、自分も走ってみたくなる。
走みたいには走れやしませんがね。
仲間たちとの一体感。一人きりで自分の限界を走る。
それは、このときの、一度だけ。
そういう一瞬を、読んでて感じることが出来る。
今時に、携帯やワンセグを小道具にしてるあたりは若さかねえ。
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