河太郎の読書日記

本とか映画とかいろいろ

停電の夜に

2008-01-31 22:34:34 | 読書(小説)
ジュンパ・ラヒリ、新潮クレストブックス。
ロンドン生まれのアメリカ育ち、両親はベンガル人。
停電の夜に/ピルサダさんが食事に来たころ/病気の通訳/本物の門番/
セクシー/セン夫人の家/神の恵みの家/ビビ・ハルダーの治療/三度目で最後の大陸
夫婦というか、他人同士の結びつきが、ほろっとほどけそうになる話が、
いくつかの作品にあった。アメリカのインド人かインドの中の異端者という、
ちょっと辺縁の人々。
表題作は、死産以降落ち込む妻と、それをフォローしない夫の冷えた状態に
5日間毎夜起こる工事にかかる停電が、二人に会話をもたらす。
しかし、その会話は、今まで言わなかったことを、打ち明けあうというもの。
5日間の停電後、二人の関係は・・・そうなるのか。
うまくいかない、というか、崩壊しそうで保たれている日常を描いていて、
結構陰鬱になりそうなものを、さらりと描いている。
でも、この中で、最後の「三度目で最後の大陸」が、一番希望がある。
彼女の両親の時代は、進めば良かった。3つの大陸を渡り、アメリカを終の棲家とした。
しかし、彼女たち、その子たちの時代は、どうか。
その差かな。
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アース

2008-01-29 22:27:11 | 映画
見たよ。
テレビでもいいような、でもあの大画面と音響がいいというか。
大型ほ乳類がやっぱ感情移入しやすいから、露出多いけど、
地球、というからには、ホントは、微生物やプランクトン、
昆虫なども描いてほしかったな。
それにしても、ホオジロザメ、何度見てもこえ~~~
映像は美しいけど、地球を守ろうというメッセージは、
いったいどれだけの心に響くんだろう。
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また会う日まで

2008-01-29 22:19:51 | 読書(小説)
アーヴィング、新潮社。
上下巻で長かった~。
相変わらずのサプライズ。
上下巻に分かれる意味は、あるね、この小説の場合。
まず、主人公のジャック・バーンズ4歳から始まる。
子どもの頃、見たままの記憶が語られる。
刺青師である母アリスと一緒に、
二人を捨てたオルガン奏者の父ウィリアムを捜す北欧の旅。
旅は、途中で終わり、カナダへ帰って元女学校へ入る。
年上の少女たちに囲まれ、ジャックの才能が花開く。
年上の女性に気に入られること、芝居の才能があること。
そして、女装が似合うこと・・・
その後、俳優としてそれなりに有名となるが、
30代過ぎても独身のまま。
見たことのない父との折り合いがつかないせいか。
さらに、母の死後、4歳の記憶が全く現実と違っていたことを知る。
妹、そして父と会う。
原題は、Until I Find You.(あなたを見つけるまで)
ジャックは、やっと、父を見つけたのだ。
幼なじみのエマや、刺青師たち、娼婦たち。
アーヴィングらしいちょっと性的な話題がいっぱい。
でも、皆本気で生きている。
ジャックの記憶違いのところは、ホントに現実にありそうで怖かった。
今まで聞かされて、信じてきたことが、すべて・・・
精神科にかかっても可笑しくないよなあ。
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ワーキング・ホリデイ

2008-01-20 14:56:47 | 読書(小説)
坂木司、文藝春秋。
引きこもりシリーズとかクリーニング店とかいろいろ読んだが、
これまでとちがって、ミステリーではない。
だからって文学と言うにはちょっとお粗末な感じ。
タイトルは、海外でバイトしながら語学を学べるって言うあのヴィザとは関係ない。
少年・進が、夏休みに家出して、顔も知らない父を訪ねる。
父大和は、ホストをしていたが、クビになり、運送業の従業員になる。
汗水たらして働く父を、息子が支える。夏休み限定だけど。
この著者は、作品ごとに、いろいろな職業をテーマにしていて、
面白いと言えば面白いが、にわか勉強の域を出ていないような気もする。
出てくる人、いい人ばかりだしねえ。
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ナイフ

2008-01-20 14:47:50 | 読書(小説)
重松清、新潮社。
短編集。
子どもが話の中心に出てくる。いじめられていることも多い。
ハブにされている女の子が、公園の池に捨てられたワニに共感したり、
いじめられている息子のことを思うあまり、ナイフで武装してしまうお父さん、
教育熱心のあまり、ちょっとずれた先生と、
元教師の妻のドングリの背比べのような意地の張り合いだとか、
いじめと友情の境目ってなんだろうというような子ども時代の話だとか、
妙にリアルで、なんとも微妙な物語が5つ。
これに共感する人もいるんだろう。励まされる人もいるんだろう。
そして、私のように、よくわかんないや、という人もいるんだろう。
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