昔の街の写真館は乾板を使用していました.
感光材料に乾板を使用するのは
写されたお客さんのシワやシミを名人芸の写真師さんは
修正ニスを使って、消していました
.
その修正は乾板しかできませんでした.
乾板を使用するカメラとしてはアンソニーカメラが相場でした.
アンソニーはカメラを移動するキャスターのついた、
木製の大きなカメラでした
.
写真を写してもらう、お客をソファーに座らせて,
カメラを構えるのですが,
操作する写真師さんの姿がカメラの陰に
スッポリ隠れるほどの大きさでした
被写体のお客は、この大きなカメラに
狙われると、魂まで吸い取られそうに
感じられました.
やがて,乾板が世の中から消えてフィルムの時代になります
そして、馬鹿でかいアンソニーカメラも消えていきました.
最近の写真館は,カラーフィルムを使いますから,
カメラも,普通のカメラで
6×7、6×9フィルムサイズのロールフィルムを
使うカメラですから
アマチュア用のカメラよりすこし、大きいだけで、
アンソニーのような魂ごと持って行かれそうな
迫力は感じられません.
写真の出来上がりはともかく、
撮影の段階での迫力が感じられなくなりました
写真館が,乾板カメラを使った
大げさなアンソニーカメラを
使わなくなってから、
写真館で写真を撮ってもらう儀式のような
緊張した雰囲気が感じられなくなりました。