■■【元気な会社】 脱下請けへ自社製品を開発
[日東電機製作所] 19
まず2製品を展開
日東電機製作所は制御盤、受配電盤など電力制御機器の開発、製造を主力としている。電力の監視や制御、保護に関する技術を生かした自社製品開発に力を注いでいる。これまでにセキュリティーと省エネの分野で2製品を開発した。脱下請けを図る試みに、芽が出始めてきた。
セキュリティー分野の製品は、鍵を保管するキーボックス。建物や部屋の外側に設置し、鍵を保管する。電子式テンキーで暗証番号を入力し、開閉する。一つの鍵を複数で共有でき、合鍵が不要になるため、鍵が管理しやすくなるのがメリットだ。
鍵の保管数が異なる3種類を展開し、価格は3万1290-4万7040円。電子式の鍵保管箱では「業界トップレベルの低価格を実現した」(青木和延社長)という。自社ホームページだけの販路で、2000年の発売以降、大学の研究室を中心に累計約900台を販売した。入室管理の関連製品は指紋認証など高度化が進むが、「必要なセキュリティーの度合いは場所や使用条件によって異なる。シンプルな製品への需要は衰えない」(同)とみて、今後は自治体などにも売り込んでいく。
もう一方の省エネ分野では、最大需要電力を自動制御するデマンド監視制御装置を開発した。同装置は、建物などの使用電力を常時監視し、自動的に電気機器を制御することで、電気基本料金の基準となる最大需要電力を管理するもの。年間の電気代削減に役立つ。
この製品は16の制御回路を持っているのが特徴。現在普及している8回路の他社製品に比べ、きめ細かく電気機器を制御できる。製品価格は72万円で、企業のほか、公共文化施設などにも提案している。2001年の販売から数カ所に納入した。
研究開発の専門棟で技術者が連携
こうした自社製品の開発拠点になっているのが、研究開発専門の「日東イーツー棟」(群馬県太田市)だ。各拠点に点在していた技術者を集約し、技術レベルの向上と業務の効率化を目的に、1998年に開設した。装置設計、ソフトウエア開発などそれぞれの分野の技術者が、積極的に情報交換し、互いの業務にかかわる。自社製品開発でも、プロジェクトが立ち上がるとすぐに、他部門の担当者が協力する体制が整っている。
とはいえ「自社製品事業は、まだ十分でない」と青木社長は冷静に分析する。自社製品の売り上げは、全体の1%にも満たない。国内の公共工事の減少に伴い、主力の電力制御機器の受注は停滞傾向が続く。このため、「自社製品事業の重要度が増していくのは間違いない」(同)と強調する。今後は製品開発に加え、課題とする営業もテコ入れし、事業強化に取り組む考えだ。
資料出典: J-NET21