本屋に積み置いてるベストセラー本は
たいがい、
「ふ~ん、最近はこんな本が売れてるのね。」
という程度で、
手に取ってみたりもしないのですが、
この本は、
「ん?渋川春海!?を、題材にした小説?」
と手に取ってみたのであります。
「天地明察」冲方丁(うぶかたとう)
渋川春海=安井算哲は
歴史の教科書に「貞享暦改暦」で
ほんの一行だけ登場する人物であります。
一行だけの人物に、しかも理系チックな人物に
これだけの分厚い小説になるような
どんな背景があるのだろうと
文系なべさんは
ちょっと興味を持ったのでありました。
いやあ、面白い小説でした。
ユーモアといじらしさと執念があって、
何よりも嫌みがないですな。
それでいて、江戸時代の風景から
浮いた感じがしないのが、作家の手腕でしょうか。
渋川春海の実像に
どれくらい沿っているのかわかりませんが、
春海にからんでくる人物が、
皆、良い人たちなのが好もしい。
そういう徳のある人物であったのでしょうか。
観測をしてまわるときの上司、
伊藤と建部の爺さんがなかなかよろしいですな。
えんという妻になる女性も
キュートに描かれています。
関孝和が見事な脇役風に登場します。
楽しく読ませていただきました。
冲方丁、直木賞を逃したようですが、
賞に関係なく、もう充分
存在感のある作家といえるでしょう。
(ところで、カレーは
まだいっぱい残ってるのよ。
関係ないけど。)