なべさんの親しい友人が
亡くなって、ちょうど一月である。
肝胆相照らす仲と言ってもよかった
友人だったから、
随分と身に応えている。
彼と知り合ったのが10数年前だった。
なのに、当初は、不思議と
以前から知り合いだったかのような
懐かしい感じを持った。
お互いにそうである。
相性が良かったのである。
共通の話題は、文学、思想、若い頃のこと、
育ちのこと、そして日々の感性等々。
吉本隆明、村上春樹、夏目漱石、内田樹が
よく俎上に上った。
彼が亡くなる前に読んでいた“1Q84”ね。↓
彼は饒舌家というほどではないが、
しゃべり出したら、もっと話したいと思い、
繊細な部分を解きほぐし、解きほぐし、話していく方で、
なべさんはもっぱら聞き役になることが多かった。
3つ下であったが、70年前後の頃の感性は
奇妙に共有するところがあった。
彼が早熟だったのだろう。
2年半前、なべさんが、最初の癌で手術し、
退院したあと、そのことを彼に知らせて、
びっくりさせてしまった。
ところが、その1週間後に、
彼に癌が見つかったことを
今度はなべさんが知らされて、
びっくりしてしまった。
以来、お互いが、
癌を患った者の、
伴走者となった。
伴走者となってから、
尚しばしば話し込む機会は多くなった。
(お酒抜きでね。)
コーヒーを何杯も重ねながら、
話は4,5時間に及ぶことが多く、
彼にはそれでもまだ
話したりないという様子があった。
ひとくちに癌といっても、
それが見つかった時期、
発生した部位、癌の種類によって、
ずいぶんと経過が違ってくるものだ。
つくづくそう思っている。
彼が亡くなって、
なべさんはまだ生きている。
さてどうしたものか。
不遜にもブログをやってみようか
と思った動機の一つは
なべさんのこの身のうちのざわめきかもしれない。
なべさんの魂鎮め(たましずめ)なんでしょう。