内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

教養 ― 社会の一員である人間としての徳、善さということにいつも配慮し、それを求める技術

2022-03-04 23:59:59 | 読游摘録

 昨日の続きです。「知恵を伴う言論の基盤は徳と教養」と題された節からの引用です。

徳というのは、ギリシア語ではアレテーにあたり、善さ、優秀さということです。

いま取り上げているのは、[…]人間の徳、つまり人間社会の一員としての人間の徳なのです。プラトンの『国家』では、そういう徳の基本となる四つの徳として「知恵」「勇気」「節制」「正義」が論じられます。

アリストテレスが『政治学』(一巻二章)のなかで言っているとおり、「人間は本性のうえでポリス(国家社会)的動物である」とすれば、人間としての徳はまた社会の一員としての徳でもあるということになるわけです。教養というのは、社会の一員である人間としての徳、善さということにいつも配慮し、それを求める技術なのです。そういう教養が知恵(思慮分別)を伴う言論の基盤となるのです。