昨日火曜日、午前六時十分から七時五十分まで、前回同様ZOOMを使って日仏合同ゼミが行われた。出席者は、日本側が十六名、ストラスブール側が十名。十月初めに組み合わせた日仏合同三チームによる最初の発表がそれぞれのチームごとに順に行われた。
チーム結成後、ストラスブール側の学生たちに直ちに日本の学生たちに連絡を取り、最終的な合同発表のテーマを決めるための話し合いを始めなさいと指示した。この指示にどのチームもすぐに反応してくれて、チームができてから三週間足らずにしては、今日の発表はどのチームも予想を上回る出来であった。
最初はそれぞれが持ち寄った関心事やアイデアなどを紹介するところから始まった話し合いが、ZOOMやSNSを活用して継続され、その過程で少しずつテーマが絞られていく様子をどのチームもそれぞれ具体的に話してくれて面白かった。日仏とも出席学生全員が話してくれたのもとてもよかった。
少し驚いたのは、初回の九月二十七日から四週間しか経っていないのに、ストラスブールの学生たちが日本語で話すことに慣れ始めていることだった。学生同士の話し合いの中で、相手の言うことが理解でき、自分たちの考えを伝えることができたという小さな成功体験の繰り返しが彼女彼らたちに自信を与え、間違いを恐れることなく、気持ちに余裕をもって話せるようになってきているのだ。予め頭の中で文章を組み立ててから話すのではなく、単純な文型を活用して躊躇なく話せるようになりはじめている。
それには日本人学生たちの配慮も大きくプラスに働いている。表現を単純化し、ゆっくりと話し、必要があれば同じ言葉を繰り返す。そのおかげで、フランス人学生たちはストレスなく、自然に話せるようになってきている。異口同音に、「話し合うのが楽しい。次の話し合いが楽しみだ」と言っていたのが印象的だった。
テーマそのものもチームごとに自ずと個性が出ていてよかった。発表テーマとしてはまだまだ大きすぎたり漠然としていたりするのだが、本人たちもそれは自覚している。彼女彼らがこれからどうテーマを自分たちで明確化していくか、それを見守っていくのが楽しみだ。チームごとのテーマについては、十一月二十二日に予定されている第三回遠隔合同授業後に話題にしよう。
今日のところは、私たち教員は、厳しいことも否定的なことも言わず、あまりヒントを出しすぎないように注意しつつ、どのあたりに難しさがあるか、どんな論点が考えられるか、具体的にどのような問題場面が想定できるか、などを指摘するにとどめ、あとは自分たちで話し合い、時間をかけてテーマを絞り込んでいきなさいと指示した。
コロナ禍の中で2020年に本格化させた日仏遠隔合同授業は今年で三回目になる。毎年プログラムが改善されている。今年は特に手応えを感じる。これは、コロナ禍でその使用を強いられた遠隔コミュニケーションツールを積極的に活用する術を学生たちがすでに身につけていることを意味してもいる。