一昨日月曜日は、午前に一つ、午後に二つの日仏合同チームによる発表があり、それぞれの発表後に質疑応答が行われた。発表はそれぞれに力作ではあったが、いずれも取り上げた問題が大きすぎたようで、その大きさに力負けしているのは否めなかった。質疑応答も全般に不活発で、私がその缺を補うべくいろいろとしゃべったが、これはゼミの趣旨からして好ましいことではなかった。
このような結果になったのは、学生たちの責任ではない。指導するこちら側の指導不足にその主な原因があると言わざるを得ない。彼らが持て余し気味な問題をもっと取り扱いやすい問題へ限定するためのヒントをもっと出し、場合によっては、こちらから彼らにテーマを提案すべきだったかもしれないというのが今回の私の反省点だ。法政側のK先生も同意見だ。
昨日は、グループ・ディスカッション、グループ間の質疑応答、総括という三部立てだった。三つのグループに分かれたディスカッションには、私もK先生もいっさい介入せず、学生たちに自由にディスカッションさせた。それなりに活気づいていた。グループ間の質疑応答は、それぞれに自分たちのグループ以外の二つの発表について質問を互いにし合うという形を取った。このやりとりもどちらかと言えば低調で、質疑応答を通じてお互いに発表内容の理解を深めるところにまでは至らなかった。その主な原因も、発表したグループ自体が問題を扱いきれていないことにあった。
こちら側の指導不足が原因でどのグループも問題を絞りきれず、発表の準備に苦労したことについては、総括のときに私から学生たちに率直に謝罪した。来年度に向けての反省点として宿題とさせてもらった。私自身、まだどこをどう改善すればよいのかよく見えていないし、学生の顔ぶれは毎年変わるから、新学年が始まってみないとわからないこともある。
ただ、昨日のレストランでの夕食会のとき、昨年から続けて二度目の参加の四名の学生たちと同じテーブルになって、いろいろと話を聴けたのは楽しかったし、このプログラムを続けてきたことの手応えも感じることができた。というのは、昨年ストラスブール側から参加した学生たちのうち五名が現在日本に留学中なのだが、彼らとお互いに連絡を取り合ったり、会ったりしているとのこと。留学しなかった学生ともコンタクトを保ち、この夏日本に行くとの連絡を受けたという話も聞いた。
また、やはり昨年も参加してくれた学生の一人が、去年のテーマ「武士道」についての私の話がきっかけになり、自分の故郷における武士道の伝承について地元に帰って史料を調べ、それを簡単なレポートにまとめたという。私に送るのを躊躇っているというので、遠慮せずに送ってくれと伝えた。
合同ゼミそのもののさらなる改良と充実がストラスブール側の責任者である私の主たる役割であることは言うまでもない。と同時に、このゼミがきっかけになって日仏の学生間の交流が活発になり、参加学生たちがそれぞれ社会人になってからも様々な形で息の長い繋がりが続き、それが広がっていくことを私は心から願っている。それこそがこのプログラムの本当の目的だとさえ言ってもいいと思っている。