3月16日現在での被害範囲を基に著名な経済学者が「東日本大震災の被害予測」を発表した。白川浩道.グレデイ.スイス証券チーフエコノミストである。その見解は以下の通り。概容である。
今回の震災では、現時点で避難者数が55万人程度に達しているとの報道があり、原発周辺住民の避難者を除いても22万人程度に上っている可能性がある。これは阪神淡路大震災におけるピーク時の避難者数にほぼ並ぶ。
そのため、全壊.半壊の合計で見た住宅棟数は、被災地域の人口密度の低さを勘案しても15~20万棟に達している可能性がある。(阪神淡路大震災は24万棟程度)
やだし、今回被災規模が大きかった東北3県と茨城県の合計県民所得は、30兆円強とGDPの6%強であり、阪神淡路大震災の被災地のGDPが約70兆円だったことと比べれば、直接的な経済損失はそれより小さいと見ている。
被災地には、大規模商業施設やオフィスが少なく、高速道路などの道路被害も相対的に小さい。仙台エリアを中心とする港湾や空港などの損害を勘案しても、直接的な経済損失は阪神淡路大震災の10~13兆円を下回る「7~8兆円」でないかと推計する。
被災地は目立った製造業工場の倒壊が報告されていないこと、農林水産業など付加価値生産額の小さい産業のウエイトが相対的に高いこと、国内物流の拠点としての重要度の低さなどから、間接的な被害は阪神淡路大震災の3分の1となる10兆円程度か、それ以下になると推計する。
従って、現状で試算が可能な範囲で言えば、今回の震災における直接的、間接的な被害額は「14~15兆円」と、阪神淡路大震災の4割弱と推計する。
日銀の大規模資金供給(オファー22兆円、落札20兆円弱)は現実的な対策であり、経済活動が正常化するまでの間接的な経済損失3兆円と政府による緊急経済対策2兆円の支出を考慮すると、2011年度の実質GDP成長率に対する直接的な効果は、マイナス1兆円程度、率にして0.2%程度と推計される。
壊れてしまったインフラを立て直すための新たな需要が生まれている。その結果、年間を通してみると、GDPは前年度と近いレベルか、やや落ち込む程度に留まるのではないだろうか。
概ねこのような分析でした。人的被害を一切計算できていませんが、純粋に経済面に限定したエコノミストの分析です。
保険も阪神淡路大震災の頃より加入率が上がり、恩恵を受ける面もあります。以前の震災の経験を生かした活動も生きています。
海外からの支援の効果も出てきます。復興にかける国民の意識も高まっています。一部の地域という意識でなく、全国的な規模での支援活動と意識の高まりが感じられます。
案外、非常に短い期間で「奇跡的な復興」が現実となる期待があります。福島原発の不安定要因はこれからとしても、国難をチャンスに変えて日本の底力を発揮してステップアップ!
世界に日本の「日本人の団結心と熱い心」を伝えたい。