東日本大震災によって多くの自治体が壊滅的な被害を受け、統治.行政能力が喪失している。自力での復旧.復興が困難な地方自治体の「真の復旧.復興」はどう行われるべきか。北大公共政策大学院教授の「宮脇淳教授」の話が出ていた。以下要約です。
今回の災害は基礎自治体だけで対応できるレベルでない。国や県が道路などのインフラ復興に対して直接的に地域へ資金を投入できる仕組みをとらなければならない。東京への一極集中、東北でいえば仙台に一極集中しているリスクの高さが露呈した。国土形成のありかたを含めて、国が直接地域に対して復旧.復興に取り組まねばならない。
「復旧」と「復興」は分けて考えるべき。復旧とは、地域の経済や生活が最低限行えるまで導くことで、それは国が徹底的に介入して行うべきだ。次の段階の「復興」では、社会インフラが最低限整ったうえで災害を受けた地域をどうしていくかを、地域が主体となって考えていかねばならない。
阪神淡路大震災の場合、神戸市は震災復旧に支出した財政負担が非常に重くのしかかっている。地方自治体の財政を破綻させかねない状態を作った教訓を生かすべきだ。
100年に一度の災害には、国も支援して早く災害復旧復興の負担をその自治体から軽減してあげる財政措置をし、自治体が過大な負担を抱え込まないようにすべきだ。
20兆円を超えるとも推定される被害に対する財源はどこに求めるか。
子ども手当てや高速道路無料化は見直すべき。バラマキの社会実験は非常時にやる場合でない。
日常時なら正当化されるが、非常時においては「優先順位が低い予算は見直し」「他の予算についても見直しと組み替え」が行われなければならない。非被災地の生活にダメージを与えてはいけないが、被災地でない自治体向けの社会インフラ整備やさまざまな研究活動を含め、現在の予算全体を見直すべきだ。
英国では「寄付税制」を導入している。寄付者が「被災地向け」などと歳出先を限定して国へ寄付することが出来、寄付額については税制優遇措置がとられる仕組みである。支出項目を限定すると共に、支出の体系化を国や県が復旧まで行うことであり、時限立法を含む早急な税制を変えるべきだ。
恒常的に高齢化が進む時代に個別の自治体の判断だけに委ねては、パッチワーク的な街づくりになってしまう。
県が地域を見て、成長の核をどこに置き、資源を中期的にどう配分していくかを示さないと、新しい街づくりは進まない・
県は早急に新しい街づくりのグランドデザインを描く必要がある。
政治が今までどおり、個別の地域の利害誘導で動くと、同じような構造を再び作り上げてしまう。
そうした認識のもと、新しい街づくりを進めることが今後、重要となる。
以上要約でした。