国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

マジックショップなのに。。。

2023-10-23 11:00:28 | マジック

●私はタネ明かしが苦手でである。

 マジシャンとして、当然の思考なのであろうが。

 以前も書いたが、私は自分の好きなマジシャンの作品がYouTubeで雑に解説されていたのである。

 ホントに嫌な感じである。クレジット無し。作ったマジシャンへの敬意なし。

●それ以来、タネ明かしには、特にYouTubeには近寄らないようにしている。

●マジックを趣味とする友人に見せた時も、「あ。それ、YouTubeで見ました」と言われたときに、その翻訳が著作権をいかに気にしたうえで(版権が不明になっているマジシャンの方の作品集である)決意して、なされているかを読んでもらった。

 それ以来、友人は少なくとも私にはYouTubeで見たマジックを見せることはなくなった。

●一昨日からとあるマジックグッズが気になり調べていた。好きなマジシャンが演じていたのである。

 機会があったら買おうかと思ったのである。

●すると、「あの」ショップにたどり着いた。

 その道具の魅力を出し切っていない動画(不思議に見えない動画)を見て、ページを下を見ていくと、ギミックの説明が詳しく書かれていたのである。

 ギミックの秘密、全開でである。写真もあった。

●困ったのは一般のマジシャンにとって、それが都合の良い商売ではないかと思ってしまったのである。

●マジックグッズを購入した時に「だまされた」と思うことはある。マジシャンにはきっとある。後で価値を見出すこともたまにあるのだが、買った当初は「ひでえ」と思うことはよくある。

●一方、予想だにしないタネに出会うこともある。こう来るかあと感心してしまうタネである。

 損をしたり、感心したりして経験値を作っていくのもマジシャンの仕事である。

 それを繰り返して独特の嗅覚を作り上げていくというか。

●結構、一人前のマジシャンになるのは素人マジシャンレベルであっても難しいのである。

●と思ったが、何が何でも損はしたくないというマジシャンと一般の方にはタネ明かしをしているショップは魅力的なのではなかろうか。

●損はしたくない。そういう考えの方が増えていく。

●結果として予想だにしないタネに出会う確率は減ってしまう。

●前もって知ってしまうと予想だにしないタネではなくなってしまう。

 その意味でつまらないと一般人(マジシャン候補生)に思われるタネは駆逐されていくだろう。あとあと、価値のあるマジックに化ける可能性があるにも関わらずである。

●また、マジックのクリエイターは、一見、つまらぬと思われるネタを発表できなくなる。

●さらにネットに公開されている情報を購入者は秘密にするということは期待できないのではなかろうか。

 誰でもアクセスできる情報を秘密にする必要ってあるの?

●お恥ずかしい話、かなり、昔の話だが、演技に成功した、ないし、失敗したあとになぜかしらタネ明かしをしたことがある。

 苦労(当時は本しかなかった。ビデオは家族のためのもので私用には使用できなかった)したものを照れ隠しのように明かしてしまったのである。

 私ですらそうであった。

●まして簡単に得た情報は簡単に明かされるのではなかろうか。極端な話、どこで買ったのと聞かれ、タネ明かしありありショップを教えただけでかなりのタネがバレるのではなかろうか、そのショップにはおそらく他の製品のタネも書かれているだろうから。

 私は不愉快で、そのショップのページは閉じたが。

 

●しかし、何より不愉快だったのは、その製品のタネを知って、ますます、欲しくなった自分がいることだった。

 

 


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