国語屋稼業の戯言

国語の記事、多数あり。国語屋を営むこと三〇余年。趣味記事(手品)多し。

頑張れ! 【ふいんき】

2022-05-30 23:41:00 | 戯言
「新しい」って元々は「あらたしい」だったんだよね。「新たな日々」とかに「あらたし」の名残りがあるよね。


以下、Super 日本語大辞典(学研)より


あたら・し【惜し】
《形容詞・シク活用》─
もったいない。惜しい。
《源氏物語・桐壺》 「きはことに賢くて、ただ人にはいとあたらしけれど」
《訳》
(源氏は)きわだって賢明で、臣下にするにはもったいないけれど。


あらた・し【新たし】
《形容詞・シク活用》─
新しい。
《万葉集・四五一六》 「あらたしき年の始めの初春の」
《訳》《出典》万葉集<二○・四五一六>
《作者》大伴家持(オオトモノヤカモチ)
【新しき年の始めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事】
(あらたしきとしのはじめのはつはるのけふふるゆきのいやしけよごと)
《訳》
新しい年の始めの初春の今日降っている雪が積もり重なるように、もっと重なれ、良い事が。
《参考》
「あらたし」が中古以後、音変化を起こして(「ら」と「た」とが逆になって)「あたらし」の形が現れ、「あたらし」に統一されていった。


あたら・し【新し】
《形容詞・シク活用》─
新しい。
《堤中納言物語・虫めづる姫君》 「いまあたらしきには名を付けて興じ給(タマ)ふ」
《訳》
(姫君は)更に新しい虫には名前を付けて面白がりなさる。
《語の歴史》
上代には「あらたし」といったが、中古以降音変化で「あたらし」の形が現れ、「あたら(惜)し」とも混同されて定着した。


あたらし・い【新しい】
《形容詞》─
①〔物ができてから、また物事が始まってから〕あまり時間がたっていない。─用例(夏目漱石)「新しい会社」《類義語》生生しい。新た。新(シン)。最新。ニュー。
②〔野菜・魚などがとれたてで〕生き生きしている。「魚が新しいのでさしみにする」《類義語》端端(ミズミズ)しい。新鮮。生鮮。生きがいい。フレッシュ。ビビッド。
③今までにそういうものがなかった。はじめてのものだ。─用例(阿川弘之・石川達三・庄野潤三)《類義語》新進。新来。新規。新式。新味。斬新。生新。日新。清新。
④〔今までになく〕現代的・進歩的である。「考えが新しい」《対語》「①~④」古い。《文語形》あたら・し《形容詞シク活用》



というわけで、「雰囲気」が「ふいんき」になる日もありえるわけだ。

頑張れ! 【ふいんき】よ。


※05/05/30の記事に加筆。

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