以前、
という、拙句を載せたことがある。
当初、この句は見たままで
道端のつぶれし柘榴~~
だった。「~~」は思いつかず。
そこで
道端で つぶれし柘榴 見つけたり
となる。見たままを俳句にしたわけだ。
しかし、動詞が2つ。かっこ悪いなあと思いつつ、そういえば人肉は柘榴の味がするという俗説があることから柘榴の赤と血は連想しやすいか、ということで
道端に 血反吐吐きたる 柘榴の実
となる。
「血反吐」という言葉に対して「道端」が弱い。柘榴の赤が生きていない。
アスファルト 血反吐吐きけり 柘榴の実
「アスファルト」とあるだけで、アスファルトの灰色と赤が対照的になり、視覚効果が出てきた。
アスファルトの持つ硬さとつぶれた柘榴の対比も良い。
「けり」という切れ字を使用してみる。
しかし、柘榴と血反吐どをつなげたい。意味的に切れたくなく、「血反吐」と「柘榴」をつなげたい。
アスファルト 血反吐吐きたる 柘榴かな
柘榴とあるだけで「実」なのは当たり前なので削除して切れ字使用。
切れ字があると柘榴が主人公とわかりやすい。
ところが「かな」の「な」という言葉の響きに柔らかさを覚えてしまった。
私はこの句の「血反吐=柘榴」という感じの持つ一種のおぞましさを残したくなり、「かな」を止め、
アスファルト 血反吐吐きたる 柘榴の実
となった。体言止めの方ががきっちりと締まる気がするから上記のようになり、発表。
●というのは嘘。最初から「アスファルト 血反吐吐きたる 柘榴の実」だった。
ちなみに柘榴の実が落ちているのをここ何年か見ていない。
いや、見たことがないかもしれない。
柘榴の句の嘘をついたわけだが、「嘘つき柘榴」の方がかわいいのでタイトルをこれにした。
それに「柘榴の嘘」だとネタバレになるよね。