少し時間が経っているのですが、今回はこんな話でも。
大相撲初場所、4場所ぶりに帰ってきた横綱、朝青龍関がケガから復帰し、14勝1敗で横綱・白鵬関との優勝決定戦にも競り勝ち、見事初場所を優勝で飾ることができた。
これだけなら別に大したことはない。気にしているのは、優勝までの約2週間あまりの世間の動きがぼくにとって違和感を覚えたからだ。
朝青龍についてはかねてから「横綱としての品格に欠ける」だとか、「リハビリと言って無断で国へ帰った」といった、あまりよろしくない話題が常につきまとっていた。報道などの影響もあるのだろうが、世間は彼に対し非常に冷たい視線を送っていたのではないだろうか。それを見事に跳ね返した朝青龍は、それだけの実力、パワー、人を惹きつける魅力も兼ね備えているからこそ為し得たのだろう。連勝を続けるあたりからはTVも新聞も、好意的な報道ばかりになっていく。当然、インタビューに答える人もみな好意的に応援するばかり。かつては土俵の上でガッツポーズをするだけでも批判を浴びていたのに、今回はそのような批判は殆どなく、逆に厳しい視線を向けていた人達がこぞって白旗を揚げる有様で、誰も正面切って彼を批判できなくなっている状況のような気がする。
誤解をされると困るが、ぼくは朝青龍についても大相撲についてもはっきりいって素人並の知識、そして興味しかない。ただ、一度「悪者」のレッテルを貼られたものを一転、贔屓し出す世の中の感覚に、ぼくはとまどいを感じる。勝てば官軍、という言葉があるけど、あまり好きじゃないんだ、この言葉。強いものがエライ、大きいものがエライ、何も考えずそれに乗っかっている限り安心だ、というのはあまりにも安易すぎる気がしないか。
こんなことを常に考えているぼくは、ひょっとして天の邪鬼でしょうか?