中国上海市で開かれていた日米欧と新興国による20力国・地域(G20)貿易相会合は7月10日、鉄鋼などの過剰生産問題の解消に向け、協調して対応することを盛り込んだ共同声明を採択して閉幕した。
中国の過剰生産による鉄鋼などの輸出拡大は、保護主義の台頭を招いているとされる。
日本と米国は国際的な取り組みを訴えていたが、中国は声明で言及することに後ろ向きだった。
9月に杭州市でのG20首脳会合を控え、中国が議長国としての求心力を維持するために譲歩した形だ。
声明は「世界経済には脆弱性がある」としたほか、政府から生産者への補助金などが過剰生産につながり、国際市況を悪化させていると危機感を表明。
2018年末までは保護主義的な政策を導入しないことで合意した。
過剰生産に関する情報交換などを行うフォーフムの設立を検討することも明記した。
中国商務省の王次官は閉幕後の記者会見で「中国が過剰生産(解消)のために払った努力は各国も認めている」と強調した。
声明では、環境に配慮した製品に課す関税を削減、撤廃する「環境物品協定」を9月のG20首脳会合で太枠合意し、年内の妥結を目指すことも盛り込んだ。
日米などが協定に前向きだったに対し、中国は自国産業の保護などの観点から慎重姿勢だったが、最終的には日米などに譲った。