TPPは日米など参加12ヵ国が2月に署名した。
全参加国が署名から2年以内に議会の承認や法整備などの国内手続きを完了すれば、その60日後に発効する。
2年後以降では、国内総生産(GDP)総額の85%を占める6力国以上が手続きを終えることが条件となる。
しかし発効に欠かせない経済規模を持つ米国は、議会承認を年内に得るのは難しいとの見方が広がっている。
次期大統領を目指す民主党のクリントン前国務長官は再交渉を示唆し、共和党の実業家トランプ氏はTPP離脱を表明した。
議会でも反対派が勢いを増している。
下院の超党派グループは「TPPは自国通貨を安値に誘導し、輸出を増やそうとする為替操作の防止策が不十分だ」とする書簡をオバマ大統領に送った。
議会重鎮の一人、共和党上院トップのマコネル院内総務は、TPPの審議は次期大統領が就任する来年1月以降に先送りせざるを得ないとの厳しい認識だ。
一方、日本では、4月から衆院でTPP承認案と関扉法案の審議を始めた。
しかし、交渉過程に関する政府の開示姿勢を巡り与野党が対立して空転し、秋の臨時国会に先送りされた。
TPPが漂流する可能性は大きいが、この機会を逃すと2度と協定締結は無理だろう。
中国が喜ぶだけである。