インターネット上の誹誇中傷対策で「侮辱罪」を厳罰化し、現行の懲役や罰金刑の対象とする改正刑法が6月13日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数により可決、成立した。
2020年に女子プロレスラー木村花さんが交流サイト(SNS)で中傷され自死したのを機に、見直しの議論が拡大。
国会では、憲法の表現の自由との兼ね合いが論点となった。
採決で、立憲民主党や共産党などは政治家や公務員への正当な批判を萎縮させる恐れがあるとして反対。
日本維新の会や国民民主党は賛成した。
国会審議では与野党の合意で、施行から3年後、表現の自由を不当に制約していないか検証するとした検討条項の付則が設けられた。
花さんの母響子さんは成立を受け都内で記者会見し「これまでは抑止力にならなかった。 『やっと』という思いだ」と語った。
一方で「発信者の特定や賠償請求にはお金がかかる」として民事手続きでの行政の支援を求めた。
侮辱罪は公然と人をおとしめる行為が対象で、現行の法定刑は「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」。
改正法ではこれに「1年以下の懲役・禁錫または30万円以下の罰金」を加える。
公訴時効は1年から3年に延長となる。
近く公布され、それから20日が経過して施行される。
侮辱容疑で現行犯逮捕される可能性はないのかとの一部野党の指摘を受け、法務省と警察庁は「(現行犯逮捕は)実際上は想定されない」との見解を公表した。
刑罰の懲役と禁銅を廃止し「拘禁刑」に一本化する改正刑法なども併せて可決、成立した。懲役受刑者に科されていた刑務作業が義務でなくなり、改善更生に向けた指導や教育に多くの時間を充てることが可能になる。
再犯防止の理念を矯正の現場に反映させた。拘禁刑創設の施行は公布から3年以内。刑罰の種類変更は、1907(明治40)年の刑法制定以降初めてとなる。
もっと早く制定すべきであった。