土曜日は雨だったので出かけなかった。日曜は朝方は前日の雨が少し残っていたが10時過ぎには陽がさしてきた。それでも空は晴れている部分よりも雲に覆われているほうが大きい。もう少し時間が早ければ少し遠出をするのだが、市街に近いところでまだ訪れたことがないRegent’s Parkを目指すことにした。
いつものように週末は補修工事のために市内の鉄道網はあちらこちらに運休区間がある。SoutheasternでCannon Streetへ出て、そこから地下鉄District LineでEmbankmentへ。Bakerloo Lineに乗り換えてRegent’s Parkで下車した。ここまでは順調だ。地上に出る階段はMarylebone Roadに通じている。この通りはRegent’s Parkの南縁を走っている。通りを渡りPark Square Westから公園のなかへと進む。
芝生のなかの歩道は前日の雨で少しぬかるんでいる。そのまま北進し、Chester Roadを左に折れ、Inner Circleに囲まれたところに入る。ここはQueen Mary’s Gardensといい、木々が茂り、門を入ってすぐのところがバラ園になっている。殆どのバラはもう枯れているが、少しだけ花をつけているものもある。公園全体は総じて平らだが、このInner Circleの中の南半分は池を底にして北へ向かって高くなっている。北半分のほうは平坦に開け、さらに北へ行くと野外劇場もある。
Jubilee GatesからQueen Mary’s Gardensを出て、Regents Collegeの脇を抜けてボート池の東南端から岸辺を歩く。池の中や周囲には鴨やアヒルや鳩やその他諸々の鳥がいる。岸辺の芝生の上では鳩が密集して縮こまっている。それほど寒くはないのだが、こうして鳩が縮こまっているのを見ると、寒そうに見える。鳩も鴨もその他の鳥も、人がすぐ近くを歩いても逃げもせずに平然としているが、紙袋を持った人を見るとその後をぞろぞろと付いて歩く。紙袋の中身は餌であると勝手に信じている様子だ。信じているのではなく経験による条件反射のようなものだ。人間だって、「信じる」とか「考えた」とか言いながら、結局は習慣に従っているだけのことが殆どだろう。鳥を馬鹿にはできない。貸しボートは営業しているが、寒い所為か、ボートに乗っている人は殆どいない。池の北西端の先に金色のドームのモスクが見える。
池の北側には芝生の運動公園が広がる。ラグビー場が何面かあり、どれも使われていた。なかには女性のチームもある。試合中のところはなく、どの面でも各チームがそれぞれに練習をしている。時々こぼれ球が転がって来る歩道を北へ抜け、Primrose Hill Bridgeを渡って公園の北側の縁を流れる運河沿いの歩道に下りる。
運河には時々観光のボートが通る。寒くなってきた所為か、ボートに乗っている客は疎らだ。運河沿いの並木は黄色く色づいている。それでも緑の部分も残っていて、なんとなく季節の変わり目という風情だ。運河を東へ進む。進行方向右側は動物園である。子供たちの声が響いており、そこそこの賑わいが感じられる。やがて運河は北へほぼ直角に折れ曲がる。その先はCamden Townに通じているが、ここで運河から離れて公園に戻る。
橋を渡って公園の入口を入ると一直線に舗装された広い並木道が南へ伸びている。進行方向右側がさきほどの動物園だ。この道は人通りが多く、公園のなかの道とは思えないほどである。並木の向こうは左右ともに芝生が広がり左側の公園の縁に近いところは木々が並んでいる。しばらくいくと「Honest Sausage」という看板の売店がある。店の名前にひかれて覗いてみると、ここも客の入りがよい。メニューの看板の一番上にあった「Park Roll」というのを注文してみる。ホットドックである。ドイツなら街角の売店でも中身のソーセージは勿論のこと、ロールパンも加熱して作ってくれるものなのだが、ここはパンのほうはそのままだ。中身はイギリスのソーセージ。キャベツの代わりに焦げ茶色に炒められた玉葱が挟まっている。イギリスの味である。
腹ごしらえをして、そのまま南へ進むと、来た時にその脇を通ったPark Square Gardenに突き当たる。これで公園をほぼ一周したことになる。所要時間は2時間弱。それなりに秋はあったような気がする。