熊本熊的日常

日常生活についての雑記

激しい時代

2008年11月17日 | Weblog
今日、以前の職場の同僚が先週土曜に結婚式を挙げたという知らせをもらった。式に出席した別の同僚からのメールによれば、その結婚した同僚の相手というのは、激しい時代に出会った相手なのでとても優しそうな人だった、とのことだった。その「激しい時代」の意味するところは定かでないのだが、なんとなく想像がつくような気もして面白い表現だと思った。

今週も人員削減のニュースで始まった。朝、駅で配っている「City A.M.」のトップニュースは「NOMURA TO ABANDON THE WHARF」というものだ。リーマンの欧州部門を買収した野村証券は、ロンドンでの拠点をシティに集約し、Canary Wharfにある元リーマンのオフィスからは完全に退居するのだそうだ。

既に、メリルリンチを買収したバンク・オブ・アメリカが、ロンドンの拠点をシティにあるメリルリンチが使っているビルに集約してCanary Wharfのビルから退居する方向で検討中との報道を読んだことがある。一方で、JPモルガンが欧州本部をCanary Wharfに設けることになったそうだ。このところ出入りが活発だが、どちらかといえば出のほうが多いようだ。

夕方、駅で売っている「Evening Standard」という新聞のトップニュースは「50,000 JOBS GO AT CITY GIANT」というものだ。シティグループが5万人の人員削減を実施し、詳細は未公表だが、ロンドン拠点もかなりの人数が削減されそうだという。

同紙の別の記事では、先週末から始まったロンドンの繁華街でのクリスマス商戦が好調な滑り出しを見せているという。ポンドが対ユーロで過去最低水準に下落しているので、欧州大陸から買い物客が押し寄せているのだそうだ。どのように数えたのか知らないが、先週金曜から日曜にかけての3日間におけるOxford Street、Regent Street、Bond Streetの人出は前年同期比11.6%増で、最も混雑した日曜日に限れば同17.4%増だったのだそうだ。

先日、このブログのなかで英国の大手スーバーであるSainsbury’sの業績が好調に推移しているという話(11月14日「マンゴー食いだめ」)を紹介したが、経済のミクロとマクロは必ずしも同じようには動かないのである。人々の暮らしがある限り、財やサービスに対する需要は必ずあるのだから、過度に悲観論に走って、消費者心理に冷や水を浴びせるような記事が氾濫する状況は好ましいとは思えない。そうは言っても、センセーショナルが見出しを踊らせるのが、メディアというものの商売なのだから、それも仕方の無いことなのだろう。

それにしても、これまでにいくつもの景気の波を乗り越えてきたが、これほどまでに雇用調整が話題になることは過去に無かったように思う。金融業界は、おそらく最も業界再編の動きが活発な業界のひとつだろう。収益を追求すれば必然的に規模拡大による収益機会の網羅的追求に走らざるを得ず、結果的に合従連衡が進んで巨大な会社がいくつも生まれることになる。組織は巨大化すれば、官僚制的秩序が導入されるものである。そこに収益獲得とは無関係に、単にコストを食いつぶすだけの部署も生まれてしまう。こうしたコストセンターを単なるコスト消費部門に終わらせることなく、組織の健全性維持や危機管理を通じて、間接的に収益獲得能力増強に寄与させる手だてを考えるのがマネジメントの仕事のひとつでもあるはずだ。しかし、現実には組織が巨大化すれば、それだけ構造が複雑化する一方で、経営環境の変化も激しいので、組織の細かなところまで管理しきれなくなってしまう。そうした状況下で、業績の低迷が顕著になれば、肥大化した低収益部門を単に除去してしまうのが、最も即効性の大きな収益性改善策ということになるのは自然な流れであろう。組織のなかにいる人間にとっては、自分の働きとは無関係なところで、突然解雇されてしまうことになる。激しい時代になったものだ。

娘へのメール 先週のまとめ

2008年11月17日 | Weblog

元気ですか。

もう11月も後半に入り、去年の今ごろは商店に並ぶ商品がクリスマスを意識したものに変わり始めていましたが、今年はまだのようです。不況で在庫の切り替えが遅くなっているのか、クリスマスに浮かれているお気楽な気分になれないのか、あるいは別の理由があるのか、よくわかりません。

私が普段利用しているスーパーは、先週、中間決算を発表していましたが、好決算だったようです。かなり早い段階から同業他社に先駆けて低価格帯の品揃えを充実させたのが功を奏したようです。利用者の立場からすれば、日頃利用している商店の経営が良いということは、そこに並ぶ商品の回転も順調ということなので、鮮度の高い商品を手にする確率が高くなるということでもあります。たいへん結構なことです。

先週も読了した本がありませんでした。映画も観ませんでしたが、You Tubeで「やっぱり猫が好き」を観ました。これは今から20年近く前にフジテレビが深夜枠で流していたシチュエーションコメディです。三谷幸喜とか木皿泉といった、今はベテランと呼ばれる脚本家たちが駆け出しの頃の作品です。やはり売れるようになる脚本家というのは、どのような作品でも才気というものが溢れているように思います。

この週末は、土曜日にヴィクトリア・アンド・アルバート博物館へでかけてきました。ここは美術工芸品の博物館です。企画展は人気がありますが、常設展のほうはそれほど人気がありません。しかし、私にとっては、その人気のない常設展示に興味深いものが多いので、まるで自分だけの美術館のように楽しむことができて大好きな場所です。ここも規模の大きな美術館ですので、ひとつひとつの展示を見学すると1日がかかりになりますから、毎回、自分でテーマを決めて観に行くようにしています。既に何回も足を運んでいる美術館ですので、今回は単純にこれまでに訪れていない部屋を観てきました。主に英国の工芸品のコーナーとナポレオン時代のコーナーです。英国工芸品のほうは、展示物のいくつかが、よりによって日本へ貸し出されており、来年夏頃まで戻ってきません。日本でどのような企画に使われるのか知りませんが、東京では東京都美術館で展示されるようです。東京の他、名古屋や京都の美術館を巡回するのだそうです。まだ、日本での展示は始まっていないようなので、機会があれば訪れてみたいと思います。今日も3時間ほどかけて観て回ったのですが、まだ、観ていない部屋があるので、帰国までにあと何回か来るつもりです。

学校生活のほうは楽しく過ごすことができていますか? 何かやりたいことがあって、必要なことがあれば遠慮せずに言ってきてください。できる限りのことはします。また、帰国してから君と話す機会はいくらでもあると思いますが、今敢えて言いたいことは、自分の好きなことというのがあるというのは、やはり幸せなことだということです。たくさん人と話をしたり、本を読んだり、映画を観たりして、とにかくいろいろな人やものに触れるのが、人には必要なことだと思います。

あと2ヶ月ほどで帰国しますが、何か土産で欲しいものはありますか? 自分で持ち帰ることのできる荷物は30キロまでなので、重いものや嵩張るものは要望に応えることができないかもしれませんが、努力はします。また、急ぎでなければ引っ越し荷物のほうに含めて送ることもできますが、こちらはそろそろ量を確定しなければなりません。そのような状況ですので、なにかあれば、そろそろ考えておいてください。

では、風邪などひかぬよう健康に気をつけてください。