熊本熊的日常

日常生活についての雑記

木目

2010年11月10日 | Weblog
木工では今日からミニ箱膳の製作に入った。食器類を収めて、流しの下の収納に収まる整理箱のようなものだ。

昨日ハンズで購入した杉板を抱えて住処を出る。厚さ14mm、幅150mm、長さ1,890mmの板を3枚重ねて梱包したものを抱えて巣鴨から高田馬場を経由して東村山まで電車で運ぶ。平日の朝9時台の電車は山手線でもそれほど混雑はしておらず、ましてや西武新宿線の下りはいわんをや、である。工房で開梱して、先生と木取りの相談をする。それにしても、杉板の木目が美しいと改めて思う。だいたいどこからどのパーツを取るということが決まると、板に切断のための目印となる線を鉛筆で引く。幅150mmなので電動マルノコでその線に沿って切断。切断したものに、ひとつひとつ基準面を出し、厚さを揃える。3枚の板のうち、芯材が混じっている1枚は歪みが大きく、最終的に9mm厚になる。芯の部分が景色にもなるのと、芯の部分は耐水性に優れているという理由から天板と底板に使う。他は13mm厚となり、これらは側板に使う。厚さが決まったところで、改めて図面を引きなおす。図面といってもメモのようなものだが、先月入学した大学での履修科目に「図法製図」というのがあるので、今回からはきちんとした図面を引くことにする。結局、今日はここで作業終了。来週は板を継いで部品を完成させ、できればそれらを組み立てるところまで進めたい。図面のほうは、来週までにきちんとしたものを自分で引く。

今日は東村山発12時21分の快速急行西武新宿行きに間に合ったので、普段より少し早めに巣鴨に着く。快速急行は東村山を出ると高田馬場までの間に田無にしか停車しない。天気が良かった所為もあり、停車駅が少なく移動が単調に感じられる所為もあり、車内で座席に着いている人の殆どがまどろんでいる。快急快眠。

巣鴨に着くと、住処へ戻る前にcha ba naに寄ってビルマそーめんを頂く。魚介系の出汁をベースにしたスープなのだが、単に美味しいというのではなく、身体が喜ぶような、ほっとする味だ。

住処に戻ると片付けものを済まし、洗濯物にアイロンをかける。アイロンをかけたものを畳んで箪笥に仕舞って、というようなことをしているうちに出勤時間になる。

先日、菅野さんからメールをいただき、今日の日経流通新聞に菅野さんの記事が出るとの連絡を頂いた。職場に着くと、連携先の部署の要員交代時間が午後7時なので、その交代前に済ませておきたいものを一気に片付けなければならない。また、午後6時から7時にかけては作業が比較的多く発生する時間帯でもある。そういう時間が過ぎて一段落したところで、流通業界を担当している同僚のところへ行って、新聞を見せてもらう。裏表紙にあたる16面をほぼ丸々使った大きな記事だ。記事に紹介されている菅野さんの言葉は、彼がいつも言っていることで、事業の新たな展開もメールで読んで知っていることなので、私にとっては既知のことの確認でしかない。それでも自分の好きな人が好意的な記事に大きく取り上げられるのは、我がことのように嬉しいものだ。何が好きかと言えば、
「売ろうと思っても無理。自分がとことん好きで作ったモノが一番人の心を打つ」
という美意識だ。

市場社会に生きていると、物事は全て金銭という尺度で表現されるので、それがあくまで便宜的なものだということを忘れて、目先の銭金ばかりが注目される。世の中に流通しているモノの多くは日々工夫を重ねて変化しているが、工夫の目的は「いかに安く作るか」あるいは「いかに儲けるか」という意識ばかりが先行しているように思えてならない。「いかに使う人に喜んでもらうか」と考えて作られているものがどれほどあるだろうか。「一番人の心を打つ」ものを作ろうとしている人がどれほどいるだろうか。消費蕩尽のためのものではなく、一緒に生きるものが私は欲しい。