熊本熊的日常

日常生活についての雑記

八坂書房

2010年11月15日 | Weblog
文化の日に紙漉き職人の話を聴く会というのに参加して以来、紙のことが気になっている。美大に編入学したことでもあり、工芸のことはきちんと勉強したほうがよいのではないかとも思い、「レンブラントと和紙」という本を入手した。この本の出版社が八坂書房だ。本などそれほど読まない所為もあり、聞いたことのない出版社だと思い、どのような本を出しているのか調べてみた。なんとなく興味をそそられるものがあり、まずは「レンブラントと和紙」の帯に紹介されていた本を衝動的に発注してしまった。

読みもしないものを買ってもしょうがないのだが、出版不況と言われて久しく、気になった本はとりあえず手に入れておかないと、すぐに絶版になってしまう。そういう事情もあるので、衝動的とは言いながらもある程度は考えた上で購入を決めた。事実、帯にあった3冊のうち、1冊は入手不可能となっていた。

ちょっと硬めの本になると、この有様だというのに、電子書籍なるものが普及し始めたら大衆書ばかりが跋扈して、たいして売れない教養書は駆逐されてしまうのではないかと不安にに感じている。

仕事は繁忙期を過ぎたのだが、今日はたまたま帰り際に取り掛かった作業が長引いてしまい、タクシーで帰宅した。運転手との会話のなかで公安のことが話題になり、そこからSalman Rushdieの「The Satanic Verses」に話が及んだ。たいへんに話題になった本だが、今でも入手可能なのだろうか。私はこの原書のほうを持っている。まさに話題沸騰の頃、当時大学院生だった友人が学会で米国へ出かけたときに、土産だといって買ってきたのである。「熊本さん、こういうの好きでしょ」とかなんとか言いながら。どんなことが書いてあるのか興味が湧かないこともなかったが、まだ読んでいない。ハードカバーの厚い本である上に、英語版なので読もうという気すら起こらない。もうあれから20年になる。事件のほとぼりが冷めた頃に「どれどれ」と読んでみようかと思っていたが、冷めるどころか忘れかけていた。それが、今日になって不意に話題に上ったのである。この本の話題を振ってきたのは運転手のほうだったので、私が「あ、それ、私持ってますよ」と応じると、「えー、そりゃお宝ですよ」などと愛想を言う。読んでみるか。

それで八坂書房なのだが、八坂神社というのが京都にあるので、京都にある会社かと思ったら、都内だった。「レンブラントと和紙」は文字が大きめで図版も豊富なので、これは読めそうな気がする。発注して明日にも届く予定の「西洋職人図集」も「図集」というくらいだから読めるだろう。「フェルメール論」はどうだろうか。いずれにしても楽しみだ。