


【アース色の余韻】

夏も秋も去った。 以前より早く四季が経つような気がする。 真っ直ぐの国の隅でキリン草は白くなり、 毎朝地面には霜が 銀色のスカーフのように拡がる。 「谷を渡る」 夕風は心を締め付けて探り、 愛して失ったものを求めて空しく妖精を呼ぶ。 なぜならば妖精の国の人々は 南の国へ行ってしまわなければ、 樅の木の間か羊歯の根元に 隠れているからである。 【「エミリーはのぼる」 第19章】 |

連日、快晴が続きます。それも終日。
もう12月ですから、冬日和ですね。
おまけに今日は大層、暖かくなりました。


今年は特に、「すがれ行く美」 として
魅了され続けて来た藜(あかざ)。
この藜、初秋から繊細なその姿を徐々に変えているのは、
既にこちらのブログにも記している通りです。
晩秋、いいえ、12月に入ってしまった今日などは、
こんなアース色に染まった、かそけき姿・・
寧ろ、こんな艶姿(あですがた)? で登場。
暮れ泥(なず)む前の、ほんの僅かな薄暮の時間です。
細い葉は、風が吹けば右に左に大きく揺れ、
“触れなば落ちん” を地で行く風情。
でも、決して枝から離れようとはしません。
そこに意外な芯の強さを見ます。
どちらにしても滅び行く過程なのに、
こんなにも透明感のある色を浮かべるのですね。
その生きざまに・・儚いけれど、優雅さ、
ある種の美学を感じてなりません。