名月や
座頭の妻の
泣く夜かな
…という句が、
先代・円楽の噺の枕にあり、
その“あはれ”な情趣感に
胸打たれたことがある。
昨晩は、
夕飯後に、ベッドで
まったり横になって
『刑事コロンボ』を観ていたら、
カミさんがやってきて、
満月がキレイだから見ろ見ろと
盛んに促し、いっこうに
動く気配のないグータラ亭主に
愛想を尽かしたような顔で
(…ったく、もー…)
と出て行った。
~(●`ε´●) ノ゛
だって、
中天高く昇り切った
ちっこいお月さんみたって
しゃーないもんねぇ…。
山際に昇りかけの
ビッグ・ムーンだったら
感動もすっけどねぇ…(笑)。
つい先日、
懐石料理店の
『多可橋』で、
箸置きに描かれた
「兎と薄と満月」で
十分に名月を鑑賞したような
気分になってたんだもんねぇ…(笑)。
茶碗には楓、
柿の照り葉と
秋のアイテムばっちし
だったもんねぇ…(笑)。
手捻りの抹茶碗の吞み口は
わざっと凸凹に造作されているが、
それは「山道」と言い、
一碗を喫茶するにも
その山道を眼でグルリと一巡し
そこに人生を見て
思いを馳せるのである。
ザーキー(気障)で
エラソーだが、
“茶人といふもの”は
直に天空の月を観て
わー! キレー!!
とは喜ばず、
それを心に描いて
シミジミと“味わふ”
数奇者なのである(笑)。
ホントハミタイケド… ( ˶˙ᴗ˙˶ )ゞ ヘヘ…
『多可橋』のカウンターに
「アマビエ」の赤ベコが飾ってあり
愛嬌があって微笑ましかった。
何十年も前に
結婚式の引き出物で頂いた
「ジバンシー」の
アズール・プレートを
大・中・小と三枚重ねにして
熱々のスフレの“額縁”にしてみた。
そう…。
魯山人は
「器は料理の着物」
と言ったが、
ドレッシーなプレートは
「料理を飾る額縁」
でもあるのだ。
キレイに創りあげた物は
やはり、より美しく
見えるようにしてあげたい。
ただラムカンを
ポンと置かれるよりも、
ジバンシーのトリプレットに
置かれたら、それは
豪奢に見えるに決まってる。
レストランでなくも、
自宅でそうやって
自分を喜ばせて
「眼の正月」をさせて
セルフ・ヒーリングにも
なっている。
カウンセリング室を訪れる生徒が、
ギターにくっ付いてる
不思議な器具について
よく尋ねるので、
「これは、カポタストって言う
音を上げる道具だよ」
と、おせーている。
これは
古楽器製作の片手間に
ジリコテという黒い木と
アガチスという肌色の木を
膠でプレスして「寄木細工」し、
カット、研磨して創ったものである。
ペグ(弦巻き)も
「木工ろくろ」で
コケシ型に成型したものを
頭を削って造る。
こんな小物でも…
1 木地貼り合わせ
2 切り出し
3 研磨
4 穿孔
5 ろくろ成型
6 削り落とし
7 ペグ・シェイヴィング(先細加工)
8 リーマー加工(孔の射角彫り)
9 弦通し
10 底皮貼り
…と、10工程かかる。
もっとも、
リュート一本仕上げるには
200もの工程があるが…。
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