[12月31日21:00.天候:雪 ペンション“ビッグフォレスト”2F209号室]
勇太とアルバイトスタッフの小久保が、209号室にいる女子大生3人組を呼びに行くことになった。
勇太:「部屋の中にいるより、皆と一緒にいた方がいいですもんね」
小久保:「そうっスよ」
停電は復旧して、ペンション内には暖かい光が灯っているものの、相変わらず霊気は強いままだ。
そして、スマホの電波も一切入らない。
小久保:「じゃ、ノックしてみますよ」
勇太:「お願いします」
小久保は部屋のドアをノックした。
だが、応答が無い。
もう1度ノックする。
小久保:「サーセン!スタッフの者なんスけど、ちょっといいっスか?」
しかし、応答は無かった。
小久保:「……稲生さん、マジで何かヤバそうなんスけど……」
勇太:「そ、そんな……。鍵は?」
小久保がドアノブを回してみると、鍵が掛かっていた。
小久保:「閉まってるっス」
勇太:「マスターキーは?」
小久保:「マジ、開けるんスか?」
勇太:「いや、ほんとこれ、冗談抜きでアレかもよ?」
小久保:「げっ!」
勇太:「とにかく、オーナーを呼んできて。マスターキーを持ってるのは、オーナーだけでしょ?」
小久保:「う、うっス!」
小久保は急いで1Fに向かった。
勇太:「……!」
1人残された勇太、ダメ押しでもう1度部屋をノックする。
すると意外にも、ガチャリとドアが開いた。
島村:「何ですかぁ?」
島村の髪や体からは湯気がホコホコと上がっていた。
着ている服も、タンクトップとショートパンツだけだ。
勇太:「な、何って、島村さんこそ何をしてたの?」
島村:「何って……シャワー浴びてたんだけど?」
この部屋にはシャワールームが付いていた。
3人部屋にすることができるだけに、部屋も他と比べて若干広い。
勇太:「あ、あの……オーナーさんが、下に全員集まってくれって。鈴木さんって、あのスーツの人が殺されたからさ。警察が来るまでの間だけでもってことで」
島村:「殺された……?」
勇太:「そうなんだ。……本田さんと渋谷さんは?」
島村:「私と入れ替わりでシャワーに入ってるのと、トイレに行ってるよ」
勇太:「そうか。とにかく、無事で良かった。犯人がどこの誰でどこにいるか分からなくて危険だから、皆一緒にいようってことになったんだ。早く来てよ」
島村:「うん、分かった。着替えたら行くから」
島村はドアを閉めた。
と、そこへ小久保と大森がやってくる。
小久保:「稲生さん、どうでしたか?」
勇太:「あっ、島村さんが出てきてくれましたよ。今ちょうどシャワーを使っていたところだそうで、着替えたら行くそうです」
大森:「何だ、そうでしたか。小久保君、慌てるなよ」
小久保:「さ、サーセン!」
再び1階へ向かう3人。
階段を下りると、マリアが何だか元木を問い詰めていた。
マリア:「いい加減、おトボケは無しにしてちょうだい。あなた、何か知ってるんでしょう?」
宗一郎:「何か知ってる情報があったら、遠慮無く教えて欲しいそうだ」
元木:「そうかい?でも、聞いている人が聞いたら、不快に思うかもしれないよ?それでもいいのかい?」
宗一郎:「面白い話なら聞こうじゃありませんか」
元木:「それでは……」
元木が話したのは、この辺りの山を所有していた地主一家に纏わる哀しい話。
オーナーである大森次郎は相続者の1人であるが、彼がこの山を相続する前までは、ここにはペンションなど建っていなかった。
建っていたのは、たった1軒の炭焼き小屋。
元木:「オーナー、島村真理愛さんの両親はとっくにお亡くなりですね?」
大森:「なっ……!?何故それを!?」
山の所有者は長男とその婚約者との結婚に反対だったというが、長男達は結婚を強行した。
その妻が臨月になった時、悲劇が起きた。
元木:「当時の新聞にも載ったんだけど、夫婦が惨殺死体で発見されたんだ。小屋の中は血だらけでね。ちょうどこのペンションの201号室のように」
勇太:「そんな……!」
元木:「幸い殺された妻のお腹にいた赤子は無事に取り出されてね、子供のいない遠い親戚の島村家に引き取られ、真理愛と名付けられたそうだ。彼女は知っているのかどうだか分からないけども、オーナーを頼りになる親戚の叔父さんと慕って、あの現場に戻って来たのは何と言う運命の……」
大森:「もうやめてくれ!一体、何だって言うんだ!?三流紙の取材か何かか!?人をバカにするのもいい加減にしてくれ!」
元木:「僕は新聞記者じゃありませんよ。あくまでも、フリーのカメラマン兼ライターです。確かにここには、取材で来ました。でも、僕が話した内容は全て事実ですよ。さっきも言ったように、当時の新聞にも載ってます。その内容をそのまま話しただけで……」
大森:「もういい!出て行ってくれ!」
元木:「出て行けと言われても、こんな吹雪では出て行こうにも出て行けませんよ。それに、どうしてオーナーは今の話だけで、そんなに怒るんですか?別に、島村さん本人の前で話をしたわけではありませんよ?」
マリア:「つまり、こういうこと?このペンションに現れる幽霊の正体は、その両親であると?」
勇太:「このペンションに現れる幽霊というのは、その両親のことですか?……だそうです」
元木:「そう、その通り。だが、どうも調べてみると女の幽霊しかいないみたいなんだ。つまり、真理愛の母親の方だろうね」
勇太:「じゃ、次に危険なのは……!?」
マリア:「島村真理愛……だね」
小久保:「も、もう1度呼びに行きましょう!」
勇太:「そう言えば、着替えてくるにしても遅いなぁ……」
マリア:「今度ハ私ガ行ク」
勇太:「マリアさん」
マリアは魔法の杖と水晶球を手にした。
水晶球は赤い光を鈍く点滅させていた。
悪霊に対しての危険度が『要警戒』ということだ。
篠原:「何か、占い師さんというより、魔法使いみたいな感じですね」
勇太:「そ、そうですね」
マリア:(魔法使いだっつーの)
今度は女性スタッフの篠原について、勇太とマリアが行くことになった。
勇太とアルバイトスタッフの小久保が、209号室にいる女子大生3人組を呼びに行くことになった。
勇太:「部屋の中にいるより、皆と一緒にいた方がいいですもんね」
小久保:「そうっスよ」
停電は復旧して、ペンション内には暖かい光が灯っているものの、相変わらず霊気は強いままだ。
そして、スマホの電波も一切入らない。
小久保:「じゃ、ノックしてみますよ」
勇太:「お願いします」
小久保は部屋のドアをノックした。
だが、応答が無い。
もう1度ノックする。
小久保:「サーセン!スタッフの者なんスけど、ちょっといいっスか?」
しかし、応答は無かった。
小久保:「……稲生さん、マジで何かヤバそうなんスけど……」
勇太:「そ、そんな……。鍵は?」
小久保がドアノブを回してみると、鍵が掛かっていた。
小久保:「閉まってるっス」
勇太:「マスターキーは?」
小久保:「マジ、開けるんスか?」
勇太:「いや、ほんとこれ、冗談抜きでアレかもよ?」
小久保:「げっ!」
勇太:「とにかく、オーナーを呼んできて。マスターキーを持ってるのは、オーナーだけでしょ?」
小久保:「う、うっス!」
小久保は急いで1Fに向かった。
勇太:「……!」
1人残された勇太、ダメ押しでもう1度部屋をノックする。
すると意外にも、ガチャリとドアが開いた。
島村:「何ですかぁ?」
島村の髪や体からは湯気がホコホコと上がっていた。
着ている服も、タンクトップとショートパンツだけだ。
勇太:「な、何って、島村さんこそ何をしてたの?」
島村:「何って……シャワー浴びてたんだけど?」
この部屋にはシャワールームが付いていた。
3人部屋にすることができるだけに、部屋も他と比べて若干広い。
勇太:「あ、あの……オーナーさんが、下に全員集まってくれって。鈴木さんって、あのスーツの人が殺されたからさ。警察が来るまでの間だけでもってことで」
島村:「殺された……?」
勇太:「そうなんだ。……本田さんと渋谷さんは?」
島村:「私と入れ替わりでシャワーに入ってるのと、トイレに行ってるよ」
勇太:「そうか。とにかく、無事で良かった。犯人がどこの誰でどこにいるか分からなくて危険だから、皆一緒にいようってことになったんだ。早く来てよ」
島村:「うん、分かった。着替えたら行くから」
島村はドアを閉めた。
と、そこへ小久保と大森がやってくる。
小久保:「稲生さん、どうでしたか?」
勇太:「あっ、島村さんが出てきてくれましたよ。今ちょうどシャワーを使っていたところだそうで、着替えたら行くそうです」
大森:「何だ、そうでしたか。小久保君、慌てるなよ」
小久保:「さ、サーセン!」
再び1階へ向かう3人。
階段を下りると、マリアが何だか元木を問い詰めていた。
マリア:「いい加減、おトボケは無しにしてちょうだい。あなた、何か知ってるんでしょう?」
宗一郎:「何か知ってる情報があったら、遠慮無く教えて欲しいそうだ」
元木:「そうかい?でも、聞いている人が聞いたら、不快に思うかもしれないよ?それでもいいのかい?」
宗一郎:「面白い話なら聞こうじゃありませんか」
元木:「それでは……」
元木が話したのは、この辺りの山を所有していた地主一家に纏わる哀しい話。
オーナーである大森次郎は相続者の1人であるが、彼がこの山を相続する前までは、ここにはペンションなど建っていなかった。
建っていたのは、たった1軒の炭焼き小屋。
元木:「オーナー、島村真理愛さんの両親はとっくにお亡くなりですね?」
大森:「なっ……!?何故それを!?」
山の所有者は長男とその婚約者との結婚に反対だったというが、長男達は結婚を強行した。
その妻が臨月になった時、悲劇が起きた。
元木:「当時の新聞にも載ったんだけど、夫婦が惨殺死体で発見されたんだ。小屋の中は血だらけでね。ちょうどこのペンションの201号室のように」
勇太:「そんな……!」
元木:「幸い殺された妻のお腹にいた赤子は無事に取り出されてね、子供のいない遠い親戚の島村家に引き取られ、真理愛と名付けられたそうだ。彼女は知っているのかどうだか分からないけども、オーナーを頼りになる親戚の叔父さんと慕って、あの現場に戻って来たのは何と言う運命の……」
大森:「もうやめてくれ!一体、何だって言うんだ!?三流紙の取材か何かか!?人をバカにするのもいい加減にしてくれ!」
元木:「僕は新聞記者じゃありませんよ。あくまでも、フリーのカメラマン兼ライターです。確かにここには、取材で来ました。でも、僕が話した内容は全て事実ですよ。さっきも言ったように、当時の新聞にも載ってます。その内容をそのまま話しただけで……」
大森:「もういい!出て行ってくれ!」
元木:「出て行けと言われても、こんな吹雪では出て行こうにも出て行けませんよ。それに、どうしてオーナーは今の話だけで、そんなに怒るんですか?別に、島村さん本人の前で話をしたわけではありませんよ?」
マリア:「つまり、こういうこと?このペンションに現れる幽霊の正体は、その両親であると?」
勇太:「このペンションに現れる幽霊というのは、その両親のことですか?……だそうです」
元木:「そう、その通り。だが、どうも調べてみると女の幽霊しかいないみたいなんだ。つまり、真理愛の母親の方だろうね」
勇太:「じゃ、次に危険なのは……!?」
マリア:「島村真理愛……だね」
小久保:「も、もう1度呼びに行きましょう!」
勇太:「そう言えば、着替えてくるにしても遅いなぁ……」
マリア:「今度ハ私ガ行ク」
勇太:「マリアさん」
マリアは魔法の杖と水晶球を手にした。
水晶球は赤い光を鈍く点滅させていた。
悪霊に対しての危険度が『要警戒』ということだ。
篠原:「何か、占い師さんというより、魔法使いみたいな感じですね」
勇太:「そ、そうですね」
マリア:(魔法使いだっつーの)
今度は女性スタッフの篠原について、勇太とマリアが行くことになった。