報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“大魔道師の弟子” 「1月2日は池田SGI会長の誕生日」

2017-01-22 22:45:08 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[1月2日07:00.天候:晴 仙台市青葉区 ホテル東横イン仙台駅西口中央・8F客室]

 勇太の枕元に置いているスマホのアラームが鳴る。

 勇太:「う……」

 勇太は手を伸ばしてアラームを止めた。

 勇太:「もう朝か……」

 起き上がると、外から微かに列車の通過音が聞こえる。
 カーテンを開けると、今しがた列車が通過したばかりの新幹線の高架橋が見える。

 勇太:「いいねぇ、いいねぇ……」

 勇太はテレビを点けると、荷物の中から洗顔セットを持ってバスルームへ向かった。

〔「や、やめろ、エミリー……」「どうぞ、お選びください、敷島社長。全機が選りすぐりのメイドロイドです。メイドの仕事だけでなく、セクサロイドとしての機能も十分に保証できますので……」〕

 勇太、洗面台で顔をバシャバシャ洗う。

〔「初音ミクでーす!“Gynoid Multitype Cindy”はもうすぐ再開しまーす!」「だからエミリー、背中におっぱい当てるなっての!」「どうです?人間の女性のそれと同じ感触でしょう?」「姉さん、キャラ変わったし……」〕

 勇太:「ん?なに、今のCM?チャンネルを変えよう」

 勇太、顔をタオルで拭きながら、テレビのチャンネルを変える。
 そして、再びバスルームへ。

〔「真犯人、『名無しのリスナー』の正体はお前だ!石ノ坊ユージ!」「何だと!?敬虔な大聖人様の信徒たるこの私のどこが犯人だというんだ!?え?愛原さんよ?」「犯行のトリックは【以下略】。てなわけで犯人はお前しかいない!」「ふふふ……そこまでバレちゃ仕方がないな」「え?え?なに?どうしたの、皆さん?」「実は“私立探偵 愛原学”の再開は無いのだよ、愛原君?」「キミは我々、“あっつぁの顕正会体験団”の手に掛かって、敢え無い最期を遂げるのだ」「わーっ!私以外全員真犯人だなんてそんなバカな!?それに、ノベラーエクスプレス関東が武闘派に潰されて終了だなんて聞いてないぞ!?」〕

 勇太:「何か、また変なCMやってるぞ?もういいや。NHKに変えとこ」

〔「来週から“元講員の日蓮正宗の秘密、暴いちゃいます”が始まるだと……」〕

 勇太、チャンネルをNHKに変えた。

 勇太:「今度は大丈夫だろう」

 そして三度、洗面台へ。

〔「次のニュースです。正月三ヶ日中日の今日、東京・信濃町にある創価学会本部では、創価学会インターナショナル会長、池田大作氏の誕生日を祝う学会員達で朝から賑わい……【中略】。しかしながら当の会長本人は姿を見せず、一部団体から指摘されている健康不安説を物語っている状態です。……」〕

 勇太:「また何か、変なニュースやってるぞ。おかしいな……?」

〔「これについて、学会員は……」「怨嫉謗法はいけませんよ!まず、御書を読みましょうね!池田先生が御病気?私が本で先生は迹だからいいのです!」(長野県白馬村在住の学会員、Oさん)〕

 勇太:「見なかったことにしよう。また、このブログが炎上するのは御免だ……」

 勇太はテレビを消した。

[同日07:30.天候:晴 同ホテル1Fロビー]

 マリアを伴ってロビーに降りると、既に多くの宿泊客で賑わっていた。
 定番のお握りや味噌汁の他に、今では漬物やおかずもバイキングに出ている。
 また……。

 勇太:「これですよ、これ。餅って」
 マリア:「なるほど……」

 オーブントースターで餅を焼くようになっている。
 焼いた餅はお雑煮に入れられるようになっていた。

 勇太:「このように弾力性がありますからね、喉に詰まらせないように注意してください」
 マリア:「……了解」

 勇太は焼いた餅を海苔で巻いて、醤油に付けて一気に頬張ったのだが……。

 勇太:「!!!」

 勇太は慌てて用意していたコップの水を口に運び、喉に詰まった餅を何とか飲み下した。

 勇太:「あー、死ぬかと思った。一瞬、視界に蓬莱山家が見えました」
 マリア:「喉に詰まらせるなって言ったの、ユウタだよな!?」
 勇太:「歴代の御法主上人猊下でも、時には言ってる内容が違ったりしますから……」
 マリア:「……要は細かく千切って、よく噛んで食べろということだな。分かった分かった」

 マリアは餅を上手く食べた。

 マリア:「うん、美味しい。日本は食べ物が美味しいということだけども、本当だな」
 勇太:「そうですね」
 マリア:「師匠が日本に私を連れて来たのも、表向きは“魔の者”の追及から逃げる為だけど、実際は食べ物と飲み物が目的だったのかもしれない」
 勇太:「それでもいいじゃありませんか。先生がこの国を気に入って下さったからこそ、この国はまだ安泰なんです」
 マリア:「そうだね」

 もっとも、東日本大震災の時は“魔の者”が揺さぶりを一気に掛けてきたと思って、右往左往したらしい。
 実際は“魔の者”ではなく、ダンテに騙されて冥界の奥底へ向かっていた大魔王バァルが怒りの魔力解放をしたことによる影響……とのこと。

 勇太:「先生、今回の年末年始はお1人で良かったんでしょうか?」
 マリア:「1人じゃないさ。まず、大師匠様のお相手をする当番だったんだから。その後で今頃、ポーリン師やアナスタシア師と新年会でもやったことだろう。……いや、私達が帰ってくるまでの間、連日やってるかもな」
 勇太:「そんなに!?お元気ですねぇ……」
 マリア:「元気なことに越したことは無いんだけど、師匠によっては老害を振り撒く人もいるからタチが悪いんだ」
 勇太:「は、はあ……」

 勇太は再び餅を口に運んだ。
 今度は喉に引っ掛からないよう、よく噛みながら……。

 マリア:「このホテルのチェックアウトはいつ?」
 勇太:「結構ゆっくりでいいので、10時近くで大丈夫だと思います。だからまだ両親、起きて来ないんだ」
 マリア:「なるほど……」

 マリアは頷いて、お雑煮を口に運んだ。

 マリア:(ステーキ以外は、殆ど日本料理ばかり食べてる。もちろん、この国に住んでるからには当たり前だけど……)

 生きていれば、こういうこともあるものだとマリアは今になって思う。
 だからイリーナのことは師匠として頼り無さを感じつつも、恩人としての思いは強いのである。
コメント (3)
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