奈良さんはガイヤシンフォニーで有名になった縄文の奏者です。
うつくしいかたがいらっしゃると思いましたらそれは伴われた奥さまでした。
ながいやはらかな鉄にびいろの髪を三つ編みにまとめ 白いコートをはおられたようすは少女のようでした。
個人のサロンでのこじんまりしたコンサートでした。
わたしは奈良さんのコンサートではいつもトランス状態になってしまうのですが 今回は特別長い旅をしました。
共感覚といっても古楽器だけなのですが 音がわたしにはいろとかたちに感じられます。
青 紫 翠 オーロラのように変化するえもいわれぬうつくしいいろに至福を感じ 夢のように空に飛翔しようと
しましたが 激しい悲哀が身を噛みました。わたしは水辺にいるようでした。そして魂のかたわれはそこにいて
わたしはどうしても彼をたすけることができないのです。いくら手をのばしても...
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり 嗚咽をこらえるのがやっとでした。ずいぶん長いこと泣いて ふと気がつくとそばに
白い花が咲いていました。激しい打楽器のリズム........
黒い煙 紅蓮の炎が波のように襲い掛かっています。わたしは手をあざし熱風をふせぎながら泣きながら歩いて
います。幾重にも重なる波 いつまで耐え忍べるだろう......ふと見ると青白いこぶし大の光 がわたしのからだに
まとわりついてくるのです。どうにもうるさくわたしは両のてのひらでその燃え盛る青白い火をつかまえて 目の
まえにかざした....これをいったいどうしたらいいの.......いつまでもっているの........
わたしは神さまに必死で祈りました。ずっと手にもっているのはつらいし 手放してもいけないとわかっていたので
どうしていいかわからなくて.......
すると 掌のなかの炎がゆれうごく花のようにゆらめきながら すがたをかえてゆく あまりうつくしくて 瞬時も
目を離せない......そして 最後の瞬間 わたしはおもわず その青白いほのおをわが口に吸い込んでしまった
のです。幻影はまだつづきます......
時間にしては1時間とすこし けれども わたしには何年も何年も経ったような気がsました。
ほとんどの方は深く深く寝入っておられたようでした。お茶とお菓子とシェアの時間 あるかたが 奈良さんの音楽
がひびきによって わたしたちの心身を調律しているとおっしゃっていましたがそのとおりです。
もっというなら ひびき それはひかりなのです。 わたしたちのあるべき魂 あるべきからだに そのひびきが
ゆがみをはずし ちかづけてくれる そんな気がしました。
そして これこそが芸能の原点 魂振り 魂鎮めであり わたしがかたりでめざしたいと僭越ながら思うことなのです。
あのあおじろく