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雲南の牛肉⑤

2015-06-06 23:04:57 | Weblog
冬に地元の人にひそかに人気の宣武ハム鍋。(2004年12月末、昆明にて撮影。)白濁した塩気のまろやかなスープが、雪の中での幼稚園のお遊戯会に参加した直後の冷え切った体を温めてくれた。
 ちなみに宣武ハムは浙江省の金華ハムと並ぶ生ハム系の中国秘伝のハムとして知られた存在。流通網が恐ろしく悪く、雲南に行くのも困難だった時代には、食通の人々には「うわさに聞く、幻のハム」として垂涎の的だった。神戸在住だった作家の陳舜臣夫妻も著書『美味方丈記』で「清朝時代は、宮廷ぐらいでしか、雲南宣武のハムは食べられなかったそうです。」と述べているほど。いずれも皮の厚さが特徴的だ。

【回族系牛干巴の料理法】
先週ご紹介したような「牛干巴」は保存食としてどのようにも調理されますが、雲南の南の地帯では牛干巴を細切りにして、小口瓶にいれ、そこにあらかじめ塩漬けをした大根を入れ、瓶の口まで水を張ってふたしておくことがあるそうです。こうすると、牛干巴の色、香り、味が保持される上に、肉が柔らかくなって、おいしくなるのだとか。

 牛干巴そのものは手に入らなくても、この食べ方の応用できそうだと、厚切りベーコンに塩漬け大根を入れて見ました。ロリエや唐辛子、こしょう、などを足し一日、冷蔵庫において、鍋で煮立たせてみたら、確かにベーコンはよりやわらかくなり、大根も風味が増しておいしく食べられました。

 そもそも大根には、ビタミンCとともに消化酵素のジアスターゼが含まれています。生の大根の汁を入れると肉がやわらかくなるのは消化酵素のせいなのでしょう。

 そういえば、昆明では牛の生ハムではありませんが、豚の生ハムである宣威ハムを使った鍋店が冬に人気がありました。
具材は分厚く切った宣威ハムの切れ端に白菜と大根がゴロゴロ入っていて、汁はハムから自然と出る香りと肉汁で白濁して、体がポカポカと温まりました。ともかく大根と肉の取り合わせは黄金コンビなのでしょう。当然ながら、ジアスターゼは熱に弱いので、鍋を煮立たせると、消化酵素の役割は終了します。

一方、雲南の北の地帯では乾燥と冷涼のため、南の方よりも容易に日持ちするため、農家の梁に牛干巴を吊しておき、随時、切り取ってはちょっとずつ食べるという北海道のアイヌの人々がいろりの上に鮭を吊して燻製にして、食べていたのと同じ保存法をとっていたそうです。

私自身、雲南の北にあるシャングリラに住むチベット族の家にお邪魔したとき、梁には、牛ではなく豚のもも肉でしたが、そのよく乾燥させたものが吊されていて、家主が自慢げに少し切り取っては見せてくれました。豊かさの象徴なのかもしれません。      (つづく)

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