(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0528AramcoVsIoc2020.pdf
(原油生産量はアラムコ1社がメジャーズ5社合計を上回る!)
7. 原油・ガス生産量 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-6-31.pdf 参照)
昨年のアラムコの原油生産量は日量平均920万バレル(以下B/D)であり、天然ガス生産量は石油換算で320万B/D、両者あわせて1,240万B/Dであった。IOC5社で原油生産量が最も多いのはExxonMobilの235万B/Dであるが、アラムコはExxonMobilの4倍の生産量を誇っている。そして最も原油生産量が少ないbp (123万B/D)と比べると約8倍である。メジャーズ5社の合計原油生産量は879万B/Dであり、アラムコの生産量はこれを上回っている。
一方、ガスの生産量はアラムコの320万B/D(石油換算)をIOC5社と比較すると最も多いShell(158万B/D)はアラムコの49%、最も少ないbpでもアラムコの4割弱であり、原油生産量ほど大きな差は無い。因みに五大企業の石油と天然ガスの合計生産量は1,548万B/Dでありアラムコ一社を上回っている。
各社の原油と天然ガスの比率はアラムコが原油74%に対しガス24%で原油はガスの3倍である。これに対してIOC5社はExxonMobil及びChevronの原油:ガス比率は3対2であり、Shell、bp及びTotalは原油がガスを少し上回る程度である。アラムコはIOC5社に比べ原油の比率がかなり高い。
これは両者のガスに対する取り組み方の違いにあると考えられる。即ちIOC5社の場合、近年天然ガスに対する需要が増加しているため独自の開発生産に力を入れており天然ガスの比率が年々高まる傾向にある。これに対してアラムコは原油の生産販売を目的とする国営石油会社であり、これまで天然ガスは国内の発電・造水向けであったためガス田開発にさほど積極的でなかったことがあげられる。
アラムコの場合、天然ガスは原油生産に伴って生産される随伴ガスを自家燃料として消費し、或は国内の電力・海水淡水化国営企業に供給している。最近では電力・海水淡水化用の需要が急増しており、今後は天然ガスの生産比率が高まるものと予測される。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp