ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ETCの活用その3

2004年08月03日 | ITS
もう一つ、ETC(DSRC)の商業利用として注目されているのが情報提供機能である。
DSRCは路側機が車載機の識別情報やICカード情報を読みとり、1台毎に異なる情報を提供できる。従って顧客の属性に応じた催事や広告情報を個別に流すことが出来る。これが物販用途として注目されている。

では実際にどんなことが起きるのか?

30代がオーナーのミニバンには、通りかかるファミリーレストランやディスカウントストアの広告がひっきりなしに表示されることだろう。ベンツ・BMWにはゴルフショップや高級スーパーマーケットか?

どちらにせよ、いったいだれが広告を喜んで受信するのか。メディアの発達により、誰もが「情報」と称した「宣伝」に食傷している。広告受信機能付きの車載機は無料配布するなどのビジネスモデルが必要であろう。

またこの構想が走行中の車に広告の文字情報を送るということであれば、安全運転の観点からは疑問である。

ETCの活用その2

2004年08月03日 | ITS
ETC(DSRC)を活用した自動決済の今いわれている可能性には以下のような物がある。

・駐車場
・ドライブスルー
・ガソリンスタンド
・コンビニエンスストア
・音楽ダウンロード

それぞれについて考えてみよう。

・駐車場
業者側にとって見れば、係員が不要であり、コインパーキングよりも設備は簡単ですみそうである。しかし消費者のメリットとは?現在のコインパーキングがキャッシュレスで使えるということ、機械操作がいらないということだけである。よほどの駐車場ヘビーユーザー(?)でもない限り、この機能に投資する消費者はいないだろう。

・ドライブスルー
いずれにしても窓口でハンバーガーを受け取らなければならないのに、料金収受だけを自動化することに消費者はどれほどの利便を感じるのか?

・ガソリンスタンド
上記同様、クレジットカードを渡したり、スロットを通す手間が無くなるだけとしか考えられず、消費者メリットが大きいとは思えない。
別の観点で、車両の自己診断機能と連動して、タイヤ空気圧やオイル交換の情報を車両から発信し、ガソリンスタンドが整備を提案するというビジネスチャンスが提案されている。しかしこれは売り手発想の典型で、どこで整備するかはユーザーが決めることである。ガソリンスタンドに対する「私は鴨ですよ」という情報発信がユーザーニーズだとはとても思えない。

・コンビニエンスストア
コンビニの代金決済を車の機械で行うなどということは全く考えられない。

・音楽ダウンロード
高速での音楽データダウンロードをガソリンスタンドやコンビニなどの停車時間で行い、代金決済までしてしまうというアイデア自体は良い。あり得ると思う。
しかし、車両のオーディオがHDD対応になっている事が前提となる。また、これにはコンペティターが多い。携帯電話、レンタルCD、自宅のPC、無線LAN、通信機能付きナビゲーション等である。いずれにしても車両のオーディオ機器が今後どうなっていくかがキーとなり、DSRCのキラーコンテンツになる保証は全くない。






ETCの活用その1

2004年08月03日 | ITS
ITS構想のなかで最初に立ち上がったETC(Electronic Toll Collection System:高速道路料金自動収受システム)は紆余曲折あったが、どうやら普及の軌道に乗ったようだ。(2004年7月現在340万台:20万台/月ペースで増加中)
このETCに使われている通信技術はDSRC(Dedicated Short Range Communication. 専用狭域通信)と呼ばれるもので、ノンストップで相互通信による電子決済が可能となる。
この技術がその他の代金決済に応用でき、それに大きなマーケットポテンシャルが存在するというのがバラ色のITS構想の一つである。今年1月には、関係省庁と関連会社約170社が「DSRC普及促進検討会」を作った。

本当にそうなのだろうか?

よく考えて欲しい。消費者にとってETCの意味はなにか?ノンストップ料金収受である。もし、一旦停止する必要があるなら、単なるキャッシュレスであり、クレジットカードと変わらない。
しかし、有料道路以外のシチュエーションでノンストップ代金決済が必要な事ってあるのか?

次回以降で詳しく考えていきたい。