ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

交通死亡事故ゼロ社会の実現

2004年08月12日 | ITS
ITSの最終ゴールが交通事故の低減であることは間違いない。
最近(2004年8月5日)に発表されたスマートウェイ推進協議会の最新提言書 「ITS、セカンドステージへ」の中でも、交通事故低減は一番に記載されている。

余談だが、この報告書ではサービスの提供は高齢者とビジネスユースにフォーカスされており、従来からあった一般消費者向けのサービスや商業利用についてはトーンダウンが見受けられるような気がするが、どうなのだろうか。

さらに、高齢者むけサービスとして、運転支援、情報提供と並んでDSRC活用による駐車場などでのキャッシュレス決済が高齢者負荷軽減になるというのは、どうにも苦し紛れだと思うが。
(普通は高齢者ほど対面での現金決済を望むのではないか)

さて、本題。
交通死亡事故ゼロ社会の実現の下りを引用する。

「わが国における交通事故の75%が発見の遅れや判断・操作ミス等のヒューマンエラーによる事故であるという分析結果もあり、このような事故への対策として、道路交通安全対策や自動車の安全対策、さらに路車協調といったITSの活用により、交通死亡事故ゼロ社会の実現を目指していくべきである。」

さて、現在の我が国の交通事故死亡者の内、歩行者と自転車が1/3以上を占める。これの撲滅の方法は、ITSによる路車協調(具体的にどうするのかわからないが)などではなく、歩行者・自転車/車両の分離という物理的な道路インフラ改善しかないのではないか?

それ以外で大幅に交通事故低減が可能な分野は高速道路だろう。自動運転が実現すればヒューマンエラーによる交通事故は原則なくなる。これは重要なテーマとして推進するべきだが、巨額の路側インフラ設備と大がかりな車両装備の改革が必要であり、少なくとも数年で実現する話ではない。

プライバシーをどう考えるか?

2004年08月12日 | ITS
ところで、ITSの可能性としてあげられているサービスやビジネスチャンスの中には、実際の運用に際してプライバシー面で疑問を残す物が多い。

・プローブカーによるリアルタイム渋滞情報
みんなが自車の位置情報を提供しなければ成立しない。
一般消費者は「今私はここにいる」という情報を第三者に送信することに抵抗はないのだろうか?タクシーや運送業などの商業車両以外は無理じゃないのか。

(8月20日追記:ホンダのインターナビプレミアムクラブでは、個人情報は収集しないと言う事を契約に明記することで99%のユーザーが位置情報提供に同意しているとのこと。)

・プッシュ型サービス
顧客の属性に応じた情報(広告)を発信するという物。
属性っていえば個人情報そのもの。消費者は広告のために提供するだろうか?また、商業利用を容認するだろうか?

・ロイヤルカスタマーサービス
例えば百貨店などでお得意さまが駐車場に入ったら、その情報が顧客係に伝わり、迅速なサービスを行う。
かえって煩わしいと思う人も多いのではないか?

もしこれが携帯電話だったらどうか?携帯電話が定期的に第三者のサーバーに対して自動的に位置情報を発信するとか、広告メールを出したがっている業者に個人情報を発信するとか、絶対に容認出来ないだろう。

車だからOKということはないと思うのだけど。