ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

一回整理してみよう

2004年08月20日 | ITS
ここで一度私の論旨を整理しておきます。

間違いなく、ITSは近未来の自動車産業を支えるコンポーネントだと思う。
特に安全運転支援、高速道路での自動運転といった分野は交通事故死者を激減させる訳で、政府、カーメーカーが真剣に考えるべきテーマであるし、最終的には実現されると信じている。

しかし、日本のITS政策には疑問がある。一番の問題は、あまりに民間による市場活性化に頼りすぎていることだ。

車がネットワークに繋がることによって生じると言われているコンシューマーマーケットに過大な期待をかけている。
車内からのインターネットショッピングや、有料情報、ETCによる自動決済の商業利用といったビジネスチャンスといわれているものが大げさに扱われている。そして、ビジネスモデルが成立してみんながハッピーになると言う絵空事のシナリオが本気でまかり通っている。また、その市場規模として、全く現実性のない11兆円とか60兆円などという数字が発表され、一人歩きしている。

それが危惧である。
私は車をネットワークに接続することはビジネスチャンスではなく、公共インフラとしてのコストファクターだと思っている。

むしろ、政府は社会インフラ整備と割り切らなくてはいけないし、カーメーカーは装備を開発し、車の商品力を向上することで売上を伸ばし利益を得る。それが健全な方向である。