ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

国交省ETCアンケート調査の恣意的な発表内容にあきれる

2006年03月11日 | ITS
国交省はETCの普及促進に向けたアンケート調査を実施し、その内容を公開している。

発表いわく、
・ETC利用者は、高速道路の利用が少なくても9割が満足
・ETC非利用の理由は「不便を感じない」「購入費が高価」がそれぞれ4割
・しかし、ETCが駐車場やガソリンスタンドで利用可能となったり、スマートICの整備等により、8割以上の方がETCの購入を『検討する』と回答

これだけ読めば、ETC利用者に何ら不満はなく、非利用者もDSRCサービスが始まればなんと8割がETCを購入する、ということになる。

ところが、このWEBページの下のほうあるアンケート結果というPDFファイルを見ると、なぜか本文とは多少ニュアンスの違う内容のサマリーが出てくる。

まず、9割が満足はそのとおり。それはそうだろう。ノンストップで通過でき、しかも割引がある。
しかし、4割の利用者が割引制度のわかりにくさを不満点としてあげていることには一言も触れていない。
半分近くの人が不満に思うって、通常の顧客満足調査でそんな数字が出たら大騒ぎだよ、民間では。

もうひとつ、とんでもない数字のトリックが使われていた。
現在ETCを使っていないユーザーも、7割が「周りがみんなETCを付けたらつける」、さらに8割が「次期購入車に標準でついていたら使う」といっている。
そもそも、現在未装着のユーザーの7-8割はつける意向を持っているのだ。

したがって、DSRCサービスを示しETC購入意向を問うた場合でも、8割の肯定回答が得られるのはあたりまえなのだ。

それを言わずに

「ETCが駐車場やガソリンスタンドで利用可能となったり、スマートICの整備等により、8割以上の方がETCの購入を『検討する』と回答」

とだけ発表するのは、アンケートを利用した情報操作である。


ETCリース制度続き

2006年03月11日 | ITS
ETCリース制度にしても、その他の割引制度にしても、カー用品の小売店には非常に受けがいいようだ。他の商品を買いにきたお客に「今なら5千円割引ですよ」といえば確かに売りやすいだろう。

でも、そういわれて買うような人は、いずれ車の買い替え時にはつける。
ETC普及促進という観点からいえば、5千円の対策金を出して押し売りする意味なんてあるのだろうか?

そもそもETCという商品を単独の商品として捉えている人はいわゆる車好きの人たちだ。普通の消費者にとっては、車両の装備でしかない。
これはパソコンの部品のようなものだと思えばわかりやすい。
専門店にいって部品を付け替えたり増設したりするのはマニアで、買い換えるときに新しい装備が付いた機種を選ぶのが一般的な消費者だろう。

しかし、新車買い替え時のETC販売はカーディーラーに独占されてしまう。
どうもETC割引制度の裏には大手用品チェーンの意向が強く反映されているように感じる。

こうしたインセンティブが機器製造メーカーから出るのなら話はわかる。
しかし、道路事業者側が10億円以上(前回で15億弱)も使うのは、どう考えてもおかしい。

またETCリース制度かよ

2006年03月11日 | ITS
ORSEは去る1月末に締め切ったETCリース制度を再開する。
2年かつ2回以上の分割払いに対して5千円の補助、ということは、前回と全く同じのようだ。

前回、70万件の利用を目標にしていたが、結果利用者は30万件にも満たなかったはずだ。しかも、ETC自体その頃よりも価格が下がっている。

この制度の馬鹿馬鹿しさについては、昨年5月のこのブログの記事を参照して欲しい。
結果、実際目標に達していない。
にもかかわらず、同じことをする。

達成率4割以下の失敗キャンペーンと同じ企画を同じ内容で3ヶ月もたたないうちにまたやるなんて、普通の民間企業なら絶対に考えられない。
そんな企画を上げたら、首にはならなくても一生出世は望めないだろうね。
ORSEとか高速道路会社とか、不思議なところだ。