ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

既存ETCのサービス利用 さらに続き

2006年03月19日 | ITS
石油元売がその気になれば、既存ETC車載機器を利用した民間サービスが始まるかもしれない。

そして、かなり高い確率でそのサービスは複数の互換性のない系列に分かれることになるだろう。
これは電子マネーが同じFelicaを使いながらSuicaとEdyで汎用性がないことに似ている。

セブン&アイも自社系列だけで使える電子マネーを計画している。
これもまさに顧客囲い込みである。セブンイレブン等の系列でしか使えないお金を作ることが出来るのだ。仮に石油元売が自社系列給油所だけで使えるETC決済を展開するとしたら、これは全く同じストーリーだ。

一方で消費者の利便は犠牲になる。企業にとっての顧客「囲い込み」は消費者にとっては「制約」に他ならない。自社系列のサービスだけで十分な満足を与えることが出来れば不満が生じないが、各社のサービスがモザイクのように入り混じるとなると、消費者は複数のサービスに加入する必要があり、非常にわずらわしいだけでなく、結局は普及を阻害する。これは電子マネーもETCの民間利用もまったく同じ話なのだ。

セブンとローソンとAMPMで違う電子マネーを持たなければならない、エネオスと出光で違う決済契約をしなければならない、そんな状況は面倒この上ない。
結局日本全国でどこでも使えて汎用性のある「日本銀行券」の方が便利だ、ということになってしまうのではないか。

香港では電子マネーが急速に普及している。地下鉄事業者が発行しているオクトパスが事実上唯一の電子マネーとして浸透しているからだ。
香港の公共交通機関すべてで使える。
シンガポールでも同じような進展が見られているようだ。

やはり、電子マネーにしてもETCにしても交通機関のノンストップ通過がキラーコンテンツなのだ。
そういった意味ではエディやセブン&アイは苦しい戦いを強いられるだろう。

仮にそれを克服できたとしても、広い汎用性を確保できなければ普及に至らずに終わってしまう可能性もある。

既存ETCの民間利用 普及のシナリオ

2006年03月19日 | ITS
石油元売主導による給油所でのETCのサービス利用は可能性があると書いた。
それが実現する場合のシナリオについて、少し掘り下げてみよう。

国交省は「利用"車"番号」を「事業者」毎に発行する、と言っている。
この事業者とは、一つ一つの給油所や駐車場のことではないだろう。いちいち申し込みが必要では、全く汎用性がない。

おそらくIBAのように色々な業者を取りまとめるサービス事業者が現れるのだと思う。

しかし、給油所の元売系列を超えて同じサービスが提供されるとは考えにくい。そもそもの目的が顧客囲い込みだからである。

したがって、新日本、出光、エクソンモービルのような元売系列を柱にしたサービス事業者系列が生まれるのではないか?
駐車場やドライブスルー(これは懐疑的)はそれぞれその中にぶら下がることになるだろう。

給油所店頭での加入勧誘が主流となるだろうが、もっと上流をおさえるほうが確実で手っ取り早い。つまりはETC取り付け時だ。PCを買うとプロバイダー申し込みが簡単に出来るソフトが組み込まれているように、ETC取り付け時の申し込みが鍵となる。

それの獲得のために元売はカーショップやカーディーラーに対してプロモーションやインセンティブを打つかもしれない。
系列エンジンオイルの営業ルートという接点がすでにあり、各社の競争のような状態になれば、普及にかなりドライブがかかると思う。

いずれにしてもETC民間利用は石油元売がその気になるかどうかにかかっている。