ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

若者のクルマ離れ その訳は?

2006年03月16日 | 雑記
ちょっと違う話をしよう。

若者のクルマ離れを食い止めるべく登場した新bBは、トヨタの販売力で1万台近い販売をキープしているが、ねらい通り若者に人気が出ているようにはあまり思えない。

そこで、最近の若者のクルマ離れの理由はなんだろう、と思いいろいろネットを検索したが、明確な答えはころがっていなかった。

お金は洋服と携帯に消えてしまう、という人もいるが、そんな単純なものじゃないと思っている。
今日は、想像も交えた持論を述べてみよう。

まず、第一に今、クルマに思い入れるのはかっこ悪い行為なのだ。成人式すぎたいい大人がクルマに熱中しているさまは「イタイ」のだ。
さらに、別にクルマもっていても(それがBMWだろうがなんだろうが)もてる・もてないに関係ない。
極論すれば、(そしてこれは大昔から続く真実だが)フツーの若い男の行動基準はほぼ95%位は「女にもてる・もてない」と「ハブにされる・されない」で決定される。

30年前は車持ってりゃなんとかなった。20年前は外車乗ってりゃ誰でももてた。10年前までは四駆がかっこよかった。
今はクルマに熱い奴は逆にもてない。

その理由はクルマ好きに付きまとう2つのネガティブイメージにある。
ヤンキーイメージとオタクイメージだ。

しかし、だからといって若者がクルマを否定しているわけではない。道具として、クルマは必要だ。
で、どうするかといえば、親のクルマを借りる。いまどきの新人類~団塊世代の親父はワゴン車系の遊びクルマをもっていて、若者が借りてもなんら不都合はない。

自分で所有する必要に迫られた若者は、なるべく「イタくない」クルマを選ぶ。油の抜けきった多用途車がいい。エクストレイルがいつまでたってもだらだらと若者に売れるのは、そのあたりの壷にはまっているからだろう。
この辺の感覚が微妙である。下手にかっこいい車はイタい、のだ。

ビッグスクーターは肩の力が抜けてる「ゆるさ」が、今の若者の気持ちにとてもフィットしているようだ。
ビッグスクーターなら改造してもヤンキーじゃないらしい。そのへんが難しいところだ。

ということで、今後ずっと世代が交代していっても若者がクルマに興味を持たないとしたら、日本の自動車市場は大変なことになるだろう。

だからといって、目一杯ヤン車の新型bBじゃ、クルマ離れを食い止めるには逆効果だ。
カーメーカーさんは若者に売りたかったら「ゆるい」クルマを作るべきだね。

スマートプレート もう少し

2006年03月15日 | ITS
昨日、スマートプレートについて触れたので、以前にも同じようなことを書いたがもう一度。。
これが国交省のスマートプレートに関する公式のPDFファイルだ。

随分前に指摘したが、いまだにファイル名は「スレンダープレート」になっている。
WEB製作者が「スマート」は和製英語だと思って、正しい「やせている」の意味の「スレンダー」に変えてしまったのだろうか。

もしくはスマートプレートは「(実現性が)頼りないプレート」であるということを自認しているのだろうか。

いずれにしても、ちょっと恥ずかしいので早く直した方がいいと思う。

さて、このファイルは国交省のWEBサイトといっても、自動車交通局(旧運輸)のページにある。
道路局(旧建設)の「ITSホームページ」には全くその情報はなく、「その他」の関連リンクの中からやっと辿ることができる。

そもそも、スマートプレートは旧運輸省が1998年頃に、「2001年から義務付ける」とぶち上げ、その後しぼんでしまった政策である。
その間、旧建設省のETCが紆余曲折しながらも立ち上がったが、旧運輸からは「ETCは100%のクルマに装着されないから、ITSには使えない。100%装着が出来るのはスマートプレートだけだ」と巻き返しが入っている。

ETC陣営としては余計な横槍を入れられたくないから、ETCの普及を加速させたい。
それが、「高速をあまり使わないユーザーも取り込む」という考え方の裏にある。

しかし、ETCの促進策には金がかかる。スマートプレートも金がかかる。基は税金か、通行料だ。どちらにしても国民の金だということを良く考えてもらい、省内でキチンと話し合って欲しいものだ。(無理だろうけど)

ETC なぜ100%装着したいのか

2006年03月14日 | ITS
大体において、なぜETC装着率向上にそんなにこだわるのか。
渋滞緩和という意味なら、高速をあまり使わないユーザーへの普及はナンセンスだ。

背景には当然ITSがある。100%装着されれば、路側表示への投資が不要になり、通信系の交通情報提供に一本化できる、ということなのだろうか。
しかし、現在の表示機(モニター)と連動しない単機能ETCをいくら普及させても、意味はないだろう。

一方では国家セキュリティの観点から全車にID判別が出来る発信機を付けたい、というニーズもある。
これがいわゆるスマートプレートである。
ETCは100%装着されない、したがってスマートプレートは法制化で義務付けてしまおう、というのことだ。

ETC装着ユーザーにしてみればすでにその車両のIDを発信しているのに、なぜさらにスマートプレートをつけなければならないのか、という大きな疑問が生じてしまう。スマートプレートだってただではない。明らかな2重投資となる。

そして、ここの話の裏には旧建設省と旧運輸省の覇権あらそいがある。
一度は消えてなくなったと思っていたスマートプレートが100%装着の話で蘇ってしまった訳だ。

車の移動履歴を国家に把握されるということについては、個人的にはまったく好ましいとは思っていないが、まあいずれにしてもナンバープレートを晒して走らなければならないのが車だ。スマートプレートが実現しなけりゃNシステムが強化されるだけなのだろう。

いずれにしても、スマートプレートはその目的を盗難車発見とか行政の効率化などと妙にオブラートにくるんでいるが、はっきりセキュリティだと宣言し、キチンと世論と戦った上で実現させる(もしくは、だめならあきらめる)べきだと思う。

ETC 今後は高速道路を使わないユーザーへの普及だって?

2006年03月13日 | ITS
日刊自動車新聞によれば、ETCのさらなる普及の鍵はあまり高速道路を使わないユーザーの取り込みにある、とのこと。
そのためには、更なる割引や義務化も視野に入れる、という。

おいおい、ETCってのは高速道路料金収受システムだろ?
高速を使わない人に普及させることは不可能だし、その意味もない。

そもそも有人収受レーンを近い将来に全廃したいとか、ITS車載器として100%装着させたいという意図があったのなら、最初から義務化を前提に国が機器を大量生産し、安く頒布するしかなかったはずだ。

民間に製造販売をまかせ、商業ベースで展開したのだから、いらない人は買わなくてもそれは仕方がない。

DSRCサービスを導入すれば高速を使わない人も装着する、というめちゃくちゃ甘い読みもあるようだが、それはどうか。
百歩譲って駐車場ノンストップ利用だけのために装着するユーザーが現れたとしても、高速も駐車場もあまり使わない人たちが結局残ってしまう。

今のスキームで100%装着はありえないのだ。
このやり方ではじめた以上、有人料金所の廃止はこの先10年という中期的な視野では実現できないことは、もともとわかっていたはずだ。

高速を使わないユーザーを取り込む、そのために更なる補助金を突っ込むなどという愚かな考えだけはやめて欲しいものだ。

国交省ETCアンケート調査の恣意的な発表内容にあきれる

2006年03月11日 | ITS
国交省はETCの普及促進に向けたアンケート調査を実施し、その内容を公開している。

発表いわく、
・ETC利用者は、高速道路の利用が少なくても9割が満足
・ETC非利用の理由は「不便を感じない」「購入費が高価」がそれぞれ4割
・しかし、ETCが駐車場やガソリンスタンドで利用可能となったり、スマートICの整備等により、8割以上の方がETCの購入を『検討する』と回答

これだけ読めば、ETC利用者に何ら不満はなく、非利用者もDSRCサービスが始まればなんと8割がETCを購入する、ということになる。

ところが、このWEBページの下のほうあるアンケート結果というPDFファイルを見ると、なぜか本文とは多少ニュアンスの違う内容のサマリーが出てくる。

まず、9割が満足はそのとおり。それはそうだろう。ノンストップで通過でき、しかも割引がある。
しかし、4割の利用者が割引制度のわかりにくさを不満点としてあげていることには一言も触れていない。
半分近くの人が不満に思うって、通常の顧客満足調査でそんな数字が出たら大騒ぎだよ、民間では。

もうひとつ、とんでもない数字のトリックが使われていた。
現在ETCを使っていないユーザーも、7割が「周りがみんなETCを付けたらつける」、さらに8割が「次期購入車に標準でついていたら使う」といっている。
そもそも、現在未装着のユーザーの7-8割はつける意向を持っているのだ。

したがって、DSRCサービスを示しETC購入意向を問うた場合でも、8割の肯定回答が得られるのはあたりまえなのだ。

それを言わずに

「ETCが駐車場やガソリンスタンドで利用可能となったり、スマートICの整備等により、8割以上の方がETCの購入を『検討する』と回答」

とだけ発表するのは、アンケートを利用した情報操作である。


ETCリース制度続き

2006年03月11日 | ITS
ETCリース制度にしても、その他の割引制度にしても、カー用品の小売店には非常に受けがいいようだ。他の商品を買いにきたお客に「今なら5千円割引ですよ」といえば確かに売りやすいだろう。

でも、そういわれて買うような人は、いずれ車の買い替え時にはつける。
ETC普及促進という観点からいえば、5千円の対策金を出して押し売りする意味なんてあるのだろうか?

そもそもETCという商品を単独の商品として捉えている人はいわゆる車好きの人たちだ。普通の消費者にとっては、車両の装備でしかない。
これはパソコンの部品のようなものだと思えばわかりやすい。
専門店にいって部品を付け替えたり増設したりするのはマニアで、買い換えるときに新しい装備が付いた機種を選ぶのが一般的な消費者だろう。

しかし、新車買い替え時のETC販売はカーディーラーに独占されてしまう。
どうもETC割引制度の裏には大手用品チェーンの意向が強く反映されているように感じる。

こうしたインセンティブが機器製造メーカーから出るのなら話はわかる。
しかし、道路事業者側が10億円以上(前回で15億弱)も使うのは、どう考えてもおかしい。

またETCリース制度かよ

2006年03月11日 | ITS
ORSEは去る1月末に締め切ったETCリース制度を再開する。
2年かつ2回以上の分割払いに対して5千円の補助、ということは、前回と全く同じのようだ。

前回、70万件の利用を目標にしていたが、結果利用者は30万件にも満たなかったはずだ。しかも、ETC自体その頃よりも価格が下がっている。

この制度の馬鹿馬鹿しさについては、昨年5月のこのブログの記事を参照して欲しい。
結果、実際目標に達していない。
にもかかわらず、同じことをする。

達成率4割以下の失敗キャンペーンと同じ企画を同じ内容で3ヶ月もたたないうちにまたやるなんて、普通の民間企業なら絶対に考えられない。
そんな企画を上げたら、首にはならなくても一生出世は望めないだろうね。
ORSEとか高速道路会社とか、不思議なところだ。

ITSビジネスの共通仕様書まとまる

2006年03月09日 | ITS
3月8日付けの日刊自動車新聞によれば、インターネットITS協議会はドライバー向け新サービスや交通情報の収集を行うための車載器、通信手段、データベース管理様式などの包括的な共通仕様書をまとめたとのこと。

いわく、

”ITS商用サービス市場が期待ほど伸びていない理由の一つとして「メーカー間で規格が統一されていない」といの指摘がある”

としているが、市場が期待ほど伸びていない、というのはあまりにも控えめな言い方であり、実際は(IBAさんを除けば)市場は存在すらしていない、というべきだろう。

これは規格統一以前の問題、としか思えないが。

欧州のカーナビ事情 なかなか普及しない訳

2006年03月06日 | ITS
時差ボケで目がさめてしまった。
アジアと違いホテルの部屋から簡単にネット接続できるので、時間つぶしにはたすかる。

欧州でも、カーナビに対する注目は最近極めて高くなってきているが、日本のような普及には至っていない。

そもそも、欧州は世界でもっともカーナビが必要な地域だ。
多言語が混在し、かつ陸続きの欧州大陸では数百キロ走れば言葉が通じなくなる。
文化保存のため都市計画が出来ない旧市街の道は複雑に入り組んでいる。
さらに、森林地帯の中に点在していた町や村を繋ぐことから始まった道は、三角形の網目のくもの巣のようになり、それがそのまま地方道となっている。

勿論、自動車の普及、道路交通網の発達という下地も十分だ。
本当ならナビが普及しない訳がないのだ。

普及が進まない理由は主に3つある。

第一に、カーナビはまだ高い。高い理由は市販のカーナビが量産による価格ダウンを招くほど売れていないからだ。

ではなぜ、市販のカーナビが売れないのか。
欧州では会社員が管理職クラスになると、会社から通勤用の車を支給される。いわゆるフリンジベネフィットというものだ。
この支給される車は週末プライベートに使うことが許されており、多くの人はこの車に中型セダンやミニバンを選び、自腹で買う奥さん用をセカンドカーとする。

メインの車は平日は決まった通勤の往復で、ナビはいらない。むしろセカンドカーで使いたい。
しかし週末にはその車出かけるのでナビが欲しい。ということで、取り外せるポータブルの方が使い勝手がいいのだ。

そして、盗難の問題だ。
市販ナビはモニターを後付けする。もし欧州で日本によくあるようなダッシュボート据え置き型のモニターをつけたら、一週間も持たないだろう。
従って、どうやっても外せそうもない、または外しても再販できそうもない組み込み型のナビしか、車両には装着されない。ということは、メーカーライン装着しか成立しないのだ。
結果、市販ナビ市場が存在せず、市場が活性化しない。

こういった500ユーロ程度の小さな画面のポータブルナビが結構売れている、というのが現状だ。

要約P-DRGSにまつわる話 要約

2006年03月06日 | ITS
欧州に来ている。ホテルは無線LANが24時間15ユーロという、まあまあリーズナブルな環境。タイと違いブロードバンドなのがありがたい。

さて、いままでP-DRGSにまつわる話を書いてきた。一旦要約しておこう。

鳴り物入りで始まったITSであるが、一向に盛り上がらない。

その中で、紆余曲折はあったがETCが普及にむけて加速をはじめた。

近い将来過半数の車がETC用にDSRC通信機を装備することは確実である。

従って、国交省はETCに高速道路料金収受以外DSRCの機能をもたせ、DSRCを応用した各種サービスを展開することでITSを活性化する、という方向を模索している。

しかし、駐車場や給油所の決済といった民間サービスや車に対する情報提供などといった商業サービスは事業者・利用者双方に思ったほどの魅力がなく、ドライブがかからない。

結果、残された可能性としてカーブ先の渋滞状況などの安全情報通報とITS車載器搭載車を「プローブ」として活用する渋滞予測に期待がかかっている。

しかし、それを本格的にやろうとすると二つのハードルがある。ひとつは、路側機の設置に巨額のインフラ投資を必要なこと。
もうひとつは、ITS車載器と呼ばれるETC(高速道路料金収受)以外の機能をもった車載器の普及に目処が立たないこと。

そもそも、これらの費用がかかる部分を民活、つまりは駐車場や給油所での商業利用などでドライブをかけよう、という計画であったため、要するに「袋小路」に入ってしまっている。

残念ながら、いま私にも明確な解決策はない。
唯一いえることは、「車が通信機能を持ったらすごいことができるぞ」というシーズ発想を、きっちりと生活者感覚で検証することなく、「誰かがブレイクスルーをしてくれるだろう」という甘い期待のまま皆が走りつづけてしまったことにある。

実はすでに1999年頃から、こうした懸念はITS関連有識者の間ではされていたのだ。
マネジメントによる意思決定の仕組みが明確でない官民共同プロジェクトおいては、往々にしてこうした事が起きる。結果、被害をこうむるのは納税者なのだ。

DSRC路側機設置の社会コスト ボーダフォンだって買える

2006年03月04日 | ITS
DSRCを活用して全国ベースで道路交通状況システムを構築するためには2-3兆円かかるのではないか、と試算した。これが正しいのかどうかは全くわからない。都市部ではもっと密に路側機を設置する必要があるだろうし、過疎地では不要だろう。

そうはいっても、兆円レベルのプロジェクトになることは間違いなさそうだ。

ITSに関係されている方々はXX兆円という数字に慣れているから2-3兆円はたいした金額には感じないかもしれないが、実際とんでもない金額である。
日本ボーダフォンだって2兆円で買えるのだ。

この事業からもたらされる公益サービスは、果たしてそれほどの投資に見合うものなのか?兆円規模の投資に、本当に見合うのか?

そもそも、ITSは何が目的なのかをもう一度考えるべきだ。
巨額の税金を投入する以上、それは決して運転中のエンターテイメントや観光地の情報提供ではない。
交通事故死者を減らし、かつ渋滞を減らしてモビリティを向上させることだろう。

私には、「車と道が通信する夢の高速道路を世界で一番最初に作りたい」という思いだけが先行しているようにも感じられる。

交通事故削減には追突防止装置やアルコール検知装置のような通信とは関係のないスタンドアロンのASV技術の方が効果的、かつ現実的なのではないか?
いま官がやるべきは、それらの有効性確認と法制化是非の検討なのではないか?

(明日から海外出張となります。更新はホテルの接続状況次第になります)

P-DRGS ビジネスモデル化の課題 さらに続き

2006年03月03日 | ITS
P-DRGSはITS施策のなかでも、なんとかビジネスモデルにのる可能性を持っていると書いてきた。それは、あくまでユーザーニーズを中心に考えれば、ユーザーが対価を払う価値がある、という意味で可能性がある、ということだ。

一方で現実的にそれがビジネスケースとして成立するか、となるとこれもかなり危ういといわざる得ないだろう。

路側機の価格は量産後で200万円程度という情報がある。これには設置料や通信接続関連の費用が含まれていないので、実際は300万近くかかるのだろう。

一方、日本に何箇所設置する必要があるのか、というと、わが国の市町村道、農道、私道を除く道路総延長(高速道路+国道+都道府県道)は約19万キロ。

100メートルごとに設置するとして190万基だ。

では、一体全部でどのくらい費用がかかるのだろう。

最低と最高で見積もったとして
路側機@100万円、500M毎に設置として3800億円
路側機@300万円、100M毎に設置として5兆7000億円

まあ、2-3兆円かかるプロジェクトになりそうだ。
ナビ出荷1台あたり千円を徴収して年間30億円を稼いだとしても、焼け石に水なのだ。

P-DRGS ビジネスモデル化の課題 続き

2006年03月02日 | ITS
2月27日のエントリーでP-DRGSをビジネスモデルに乗せていく上での問題点についてかいた。

1.ID情報を料金所以外で提供することへの抵抗をどうするか?
2.路側インフラ整備の費用負担をどうするか?
3.渋滞情報の提供メディアを何にするのか?
4.そして、ビジネスモデルを考える上での根幹であるが、その課金はどうするか?

だ、

1.については、正直よくわからない。ダマテンでやっちゃえばだれも騒がないような気もするが、それが正しいことなのかどうか。一方、キチンとオープンな議論をすると、極端な反対論が一部で起きることは明らかだ。個人情報を特定できない情報だけを使う、というような対応が必要なのだろう。

2.は4と表裏一体の議論だ。利用料をとって会員だけに詳細な渋滞情報を提供するのが一番理にかなっているが、これば無理だろう。
曲がりなりにもVICSがあり、利用料を払ってまで渋滞予測の精度を上げたいユーザーはそれほど多くない。昨年末から始まったホンダインターナビの常時接続会員も、過半数がレジェンドユーザーらしい。

さらに、会員だけに情報を提供する仕組みを作るのも厄介だ。既存メディアは使えない。

3.のメディアに話を移せば、これはもう既存のFM音声多重しかないだろう。
今後、地デジカーチューナーの普及によっては地デジという選択肢もある。
どちらにしても、それ専用の受信機が必要だったり、通信料が発生するようなケースでは、広汎な利用者獲得は無理だろう。

ということは、現行VICS、それもFM音多の仕組みに乗せていく、ということだ。
路側機設置と運営費用はVICS協賛金の上乗せで行く。
今年もナビは300万台程度は出荷されるだろう。一台あたり1000円乗せれば30億円。
20万前後の買い物であり、消費者にとって1000円の売価アップはさほど抵抗ない。

P-DRGSにどのくらい金がかかるのかは知らないが、成立不可能な話ではなさそうだ。

しかし、国交省としては大きな問題が残ってしまう。
ITS関連で消費者を巻き込んで展開する可能性を唯一残すP-DRGSなのだが、VICS方式の踏襲ではさらなるITSへの拡張性がないのだ。

スマートウェイ公開実験から見えてきた次世代ETCの概要

2006年03月01日 | ITS
スマートウェイ公開実験の中心はDSRCによる路車間通信であり、それを実現するための車載通信機は次世代ETCと呼ばれている、高速道路料金決済以外にも使えるDSRC車載機器である。
ETC,DSRC,VICSの各サービスが1つに集約された車載器で、メーカーによってはVICS光ビーコンの内蔵も視野に入っているようだ。

その車載器自体はETC専用車載器のようなカードサイズのもので、ETC専用機よりは大きくなるらしい。

そこで受信した情報(映像、音)は当然車内に流す必要があり、ナビ画面との連動が必要になる。
ここで問題は、果たして手持ちのナビやカーメーカー標準のナビにつなぐことが出来るのか?ということだがこれは無理だと思う。

ということは、次世代ETCは原則として今後発売される新しいナビとのセットでしか使えない、ということになる。

今現在、ナビメーカーで次世代をETCナビに内蔵するという計画はない。
つまり、次世代ETCはそれに対応したナビを購入したユーザーだけが、オプションとして選択できる商品になる。

価格はETC専用機の立ち上がりと同じくらい、ということで、おそらく3万円前後。

当面は非常に対象が限定され、かつ高価で、さらにいえば対応サービスもたいしたものは存在しないという苦しい状況だ。
はっきりいって売れないだろう。