市長の給与削減条例賛成討論 2011年7月7日
会派虹と緑を代表して、議案となっております第107号議案 静岡市長の給与の特例に関する条例の制定について、賛成の立場で討論いたします。
この6月議会が、田辺信宏新市長になって初めての定例議会で、所信表明に何を言われるのか、選挙におけるマニュフェストの実行をどのようにうちだすのか、市長のリーダーシップが注目されておりました。その一つが行財政改革マニュフェストで「まずは「市長給与を半分にして4年間で5000万円の節減」をどのように実行するか、でした。就任早々の記者会見などでの市長発言は、議会側の慎重論報道とも相まって揺れ動いているように映りました。こうした中での第107号議案の提案です。
賛成する理由は、揺れ動きのある中、選挙戦の中での減税日本の海野徹さんと対抗の中で生まれたこのマニュフェストという経過を考えれば、給与の半額は、給料の半額を意味していますので、マニュフェスト通りでないとしても、自民党・剣持邦昭議員、新政会・望月厚至議員の質問に「行財政会改革への強い意思を示す」として、「給与の20%カット、賞与の半減、退職金の廃止」という形で「5000万節減」という点では自らの政治姿勢を実行する案にこぎつけていることです。因みに今回の削減で静岡市長は19政令市中、8番目から17番目の給料月額となり、議員報酬の17番目と並びました。
ただ、いくつか、わかりずらい点が残されています。
第一は、清友クラブの風間議員からも指摘されていますが、有権者と約束したマニュフェストの修正は、二元代表制度のもと、議会という公の場での議論として進める必要があったのではないかと云う点です。有権者と約束した給与の半減マニュフェスト、議会が慎重な対応というなら何故慎重であるのか、市長の給与とはどのようにあるべきであるのか」を議論した上で、修正なら修正、という政策決定過程の透明性が求められました。議会との水面下での調整、議員報酬に跳ね返る削減に抵抗、双方のマイナスのイメージが伝わった感があります。
第二は、総務委員会で自民党会派から提出された付帯決議をめぐってのもので、そこの「行財政改革の相応のめどが立ったとき、速やかにこの条例の失効手続きを行い、現条例で定められている市長給与に戻すことを強く求めるものである」、とはいかなる意味であるのか、です。行財政改革については総括質問において公明党・片平博文議員からも厳しい質疑がなされていますが、宮澤議員が総務委員会で「静岡市の累積赤字6000億円を抱えている中で行財政改革は、4年間で80億円削減といってもずっと継続する課題で、尚且つ、この条例は2015年4月12日の期限付きになっていることを考えるとこの「元に戻す」という付帯決議は市長の意志に反するのではないか」という指摘をしています。
第三は、この付帯決議にある「その給与は、市長の職をいかに全うするか、職務の重要性と成果に応じて支払われるべきものであり、労働の対価であるべきである」とする市長の給与とはそもそもどのような性格でどのように決められるものか、という点です。この「職務の重要性と成果に応じて支払われるべき」という指摘は特別職、選挙で選ばれる、4年という任期、失業を覚悟しての「職業としての政治」を全うする高い倫理性を要求される職種の指摘は理解できます。しかし、その職種があとに続く労働の対価、普通一般に時間に管理されて働くと云う意味になります「労働の対価」とイコールとなるといささか矛盾ではないでしょうか。市長給与がどうあるべきかが明確に示されていません。
第四の論点は、隠されているといいますか「市長の給与半減の次は議員の報酬半減と定数削減」という世論圧力の存在の中で市長の給与同様に議員の給与はどのように決められる必要があるのか、という問題です。名古屋市の減税日本の「議員報酬の半減論」「定数半減」にはくみする立場にありませんが公務員バッシング同様に市長、議員、政治家バッシングは東日本大震災を経て更に大きな声となっています。だからこそ、田辺市長も減税日本公認の海野徹さんとの対抗の中で「給与半減マニュフェスト」を掲げたわけです。議会として、こうした世論とどのように向き合っていくのか、民主主義コスト含め真剣な市民対話が必要です。
二元代表制度で市長に提案権はありますが決定しているのは議会であり、議会に与党、野党の区分けは必要ではありません。少数意見を代弁者として活動しながら、議員間の批判と対話、政策的一致を追及する高い政治的調整能力と技術が求められます。そのためには市民参加の仕組みを多分野に渡って持っている市長部局に対抗する議会として参考人制度、公聴会、諮問委員会設置など議会レベル市民参加制度が必要になりますし、市長提案へのチェック機能のレベルアップと議決案件への説明責任が求められます。そうした議会改革総体の議論の中で議員報酬、行財政改革はどう進めるべきか、新しい公共とは何か、市民とともに歩んでいくことが求められます。その際、3点を述べておきたいと思います。
① 市長給与は地方自治法第204条で市長と補佐機関である常勤職員等の条項で規定され、議員報酬は第203条で非常勤職員の条項で規定されています。これが市長に退職金制度があり議員にない根拠がここにあります。議員の非常勤特別職というあいまいな規定の解消のために、第203条から議員報酬を削除し、「公選職」に関わる条項を設けることや、役務に対する対価としての報酬でなく国会議員同様の広範な職務遂行に対する補償としての歳費化の検討が必要です。
② 一方で、アメリカの議会やヨーロッパの議会の紹介という形でボランティア議員論があります。例えばス―エデンの地方議会。選挙は比例代表制、議会は議院内閣制、内閣に所属する議員と一般の議員の報酬を2段階にしている制度もあります。自治体の規模、選挙制度、議院内閣制か大統領制か、ボランティア議員論についての総合的情報を前提にした研究が必要になります。
③ 国会議員の歳費規定、国会法35条で「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない歳費を受け取るとあります。因みに局長級の平均月額が53万8200円管理職手当が12万4000円、合計66万2200円。議員報酬は66万3000円。この意味では現行の妥当性がありますが政務調査費25万円があります。一般職員の給与と議員報酬は制度設計が違っていますが、2003年新市になって以来、一般職員の給与は6回、合計で6,36%切り下げられています。少なくも6,36%の議員報酬削減は必要になります。
こうしたことを踏まえると明日開催の議会改革特別委員会が重要になりますし、市民との対話、公開の原則に基づいてより良き議論が展開されていくことに大きな期待をする次第であります。
最後に先般の代表者会議で新市長の登場で議会自身6月議会を振り返っての議長記者会見を行うとの報告がありました。私は、議会改革の一つとして、市長と対等の立場にある議長という意味において、議員の常勤特別職としての実体化の模索として、定例記者会見、議会全体の定例議会、休会中での議会活動の紹介など市長と同じ月に2回程度の記者会見を検討してもいいのではないかと考えています。そうした提案を含めて第107号議案の賛成討論を終わります。
※※ 自民党付帯決議案
市長の職務職責は、市政の最高責任者として極めて重く、その給与は、市長の職をいかに全うするか、職務の重要性と成果に応じて支払われるべきものであり、まさに労働の対価であるべきである。そのふさわしい額は、静岡市特別職等報酬審議会の答申を経て決定し、現行の給与として最も妥当なものであることが条例において定められており、その趣旨を崩すべきではない。
しかしながら、市長は行政改革に臨む真剣な姿勢、固い決意を示すものとして、市長給与の大幅な削減を掲げ、これを自身の政治的意思として、断固成し遂げると云う強い気持ちであり、このことは理解できないわけではない。
よって、これらのことを勘案し、市長はさらなる行財政改革の推進に全力を挙げて取り組むものとして、その道筋に相応のめどが立ったとき、速やかにこの条例の失効手続きを行い、現条例で定められている市長給与に戻すことを強く求めるものである。」
会派虹と緑を代表して、議案となっております第107号議案 静岡市長の給与の特例に関する条例の制定について、賛成の立場で討論いたします。
この6月議会が、田辺信宏新市長になって初めての定例議会で、所信表明に何を言われるのか、選挙におけるマニュフェストの実行をどのようにうちだすのか、市長のリーダーシップが注目されておりました。その一つが行財政改革マニュフェストで「まずは「市長給与を半分にして4年間で5000万円の節減」をどのように実行するか、でした。就任早々の記者会見などでの市長発言は、議会側の慎重論報道とも相まって揺れ動いているように映りました。こうした中での第107号議案の提案です。
賛成する理由は、揺れ動きのある中、選挙戦の中での減税日本の海野徹さんと対抗の中で生まれたこのマニュフェストという経過を考えれば、給与の半額は、給料の半額を意味していますので、マニュフェスト通りでないとしても、自民党・剣持邦昭議員、新政会・望月厚至議員の質問に「行財政会改革への強い意思を示す」として、「給与の20%カット、賞与の半減、退職金の廃止」という形で「5000万節減」という点では自らの政治姿勢を実行する案にこぎつけていることです。因みに今回の削減で静岡市長は19政令市中、8番目から17番目の給料月額となり、議員報酬の17番目と並びました。
ただ、いくつか、わかりずらい点が残されています。
第一は、清友クラブの風間議員からも指摘されていますが、有権者と約束したマニュフェストの修正は、二元代表制度のもと、議会という公の場での議論として進める必要があったのではないかと云う点です。有権者と約束した給与の半減マニュフェスト、議会が慎重な対応というなら何故慎重であるのか、市長の給与とはどのようにあるべきであるのか」を議論した上で、修正なら修正、という政策決定過程の透明性が求められました。議会との水面下での調整、議員報酬に跳ね返る削減に抵抗、双方のマイナスのイメージが伝わった感があります。
第二は、総務委員会で自民党会派から提出された付帯決議をめぐってのもので、そこの「行財政改革の相応のめどが立ったとき、速やかにこの条例の失効手続きを行い、現条例で定められている市長給与に戻すことを強く求めるものである」、とはいかなる意味であるのか、です。行財政改革については総括質問において公明党・片平博文議員からも厳しい質疑がなされていますが、宮澤議員が総務委員会で「静岡市の累積赤字6000億円を抱えている中で行財政改革は、4年間で80億円削減といってもずっと継続する課題で、尚且つ、この条例は2015年4月12日の期限付きになっていることを考えるとこの「元に戻す」という付帯決議は市長の意志に反するのではないか」という指摘をしています。
第三は、この付帯決議にある「その給与は、市長の職をいかに全うするか、職務の重要性と成果に応じて支払われるべきものであり、労働の対価であるべきである」とする市長の給与とはそもそもどのような性格でどのように決められるものか、という点です。この「職務の重要性と成果に応じて支払われるべき」という指摘は特別職、選挙で選ばれる、4年という任期、失業を覚悟しての「職業としての政治」を全うする高い倫理性を要求される職種の指摘は理解できます。しかし、その職種があとに続く労働の対価、普通一般に時間に管理されて働くと云う意味になります「労働の対価」とイコールとなるといささか矛盾ではないでしょうか。市長給与がどうあるべきかが明確に示されていません。
第四の論点は、隠されているといいますか「市長の給与半減の次は議員の報酬半減と定数削減」という世論圧力の存在の中で市長の給与同様に議員の給与はどのように決められる必要があるのか、という問題です。名古屋市の減税日本の「議員報酬の半減論」「定数半減」にはくみする立場にありませんが公務員バッシング同様に市長、議員、政治家バッシングは東日本大震災を経て更に大きな声となっています。だからこそ、田辺市長も減税日本公認の海野徹さんとの対抗の中で「給与半減マニュフェスト」を掲げたわけです。議会として、こうした世論とどのように向き合っていくのか、民主主義コスト含め真剣な市民対話が必要です。
二元代表制度で市長に提案権はありますが決定しているのは議会であり、議会に与党、野党の区分けは必要ではありません。少数意見を代弁者として活動しながら、議員間の批判と対話、政策的一致を追及する高い政治的調整能力と技術が求められます。そのためには市民参加の仕組みを多分野に渡って持っている市長部局に対抗する議会として参考人制度、公聴会、諮問委員会設置など議会レベル市民参加制度が必要になりますし、市長提案へのチェック機能のレベルアップと議決案件への説明責任が求められます。そうした議会改革総体の議論の中で議員報酬、行財政改革はどう進めるべきか、新しい公共とは何か、市民とともに歩んでいくことが求められます。その際、3点を述べておきたいと思います。
① 市長給与は地方自治法第204条で市長と補佐機関である常勤職員等の条項で規定され、議員報酬は第203条で非常勤職員の条項で規定されています。これが市長に退職金制度があり議員にない根拠がここにあります。議員の非常勤特別職というあいまいな規定の解消のために、第203条から議員報酬を削除し、「公選職」に関わる条項を設けることや、役務に対する対価としての報酬でなく国会議員同様の広範な職務遂行に対する補償としての歳費化の検討が必要です。
② 一方で、アメリカの議会やヨーロッパの議会の紹介という形でボランティア議員論があります。例えばス―エデンの地方議会。選挙は比例代表制、議会は議院内閣制、内閣に所属する議員と一般の議員の報酬を2段階にしている制度もあります。自治体の規模、選挙制度、議院内閣制か大統領制か、ボランティア議員論についての総合的情報を前提にした研究が必要になります。
③ 国会議員の歳費規定、国会法35条で「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く)より少なくない歳費を受け取るとあります。因みに局長級の平均月額が53万8200円管理職手当が12万4000円、合計66万2200円。議員報酬は66万3000円。この意味では現行の妥当性がありますが政務調査費25万円があります。一般職員の給与と議員報酬は制度設計が違っていますが、2003年新市になって以来、一般職員の給与は6回、合計で6,36%切り下げられています。少なくも6,36%の議員報酬削減は必要になります。
こうしたことを踏まえると明日開催の議会改革特別委員会が重要になりますし、市民との対話、公開の原則に基づいてより良き議論が展開されていくことに大きな期待をする次第であります。
最後に先般の代表者会議で新市長の登場で議会自身6月議会を振り返っての議長記者会見を行うとの報告がありました。私は、議会改革の一つとして、市長と対等の立場にある議長という意味において、議員の常勤特別職としての実体化の模索として、定例記者会見、議会全体の定例議会、休会中での議会活動の紹介など市長と同じ月に2回程度の記者会見を検討してもいいのではないかと考えています。そうした提案を含めて第107号議案の賛成討論を終わります。
※※ 自民党付帯決議案
市長の職務職責は、市政の最高責任者として極めて重く、その給与は、市長の職をいかに全うするか、職務の重要性と成果に応じて支払われるべきものであり、まさに労働の対価であるべきである。そのふさわしい額は、静岡市特別職等報酬審議会の答申を経て決定し、現行の給与として最も妥当なものであることが条例において定められており、その趣旨を崩すべきではない。
しかしながら、市長は行政改革に臨む真剣な姿勢、固い決意を示すものとして、市長給与の大幅な削減を掲げ、これを自身の政治的意思として、断固成し遂げると云う強い気持ちであり、このことは理解できないわけではない。
よって、これらのことを勘案し、市長はさらなる行財政改革の推進に全力を挙げて取り組むものとして、その道筋に相応のめどが立ったとき、速やかにこの条例の失効手続きを行い、現条例で定められている市長給与に戻すことを強く求めるものである。」