キュウリとズッキーニには、性懲りもなくランタンフライの幼虫がたかりに来る。
でもキュウリのパリポリ幸福感は本当にこの間しか味わえないので、せっせと見回りに行って追っ払うしかない。
さて、昨日は朝から晩まで、新井洋介さんが家の修理をしてくれた。
とにもかくにも、洋介さんはご自身の家からここまで、マンハッタンまでの地下鉄を乗り継ぎ、ニュージャージーまでの電車に乗り替えて来なければならない。
こちらの電車事情は恐竜時代並みの古さで、階段の上り下りなんて当たり前。
なのにこの荷物…。

洋介さんのことは、友人のA美ちゃんからの紹介で知った。
この家はそもそも、誰も住まなくなっていたまま、as is(どこも直さずありのまま)で売られていたので、暮らすには手を入れなければならないところだらけだった。
けれども家の頭金やローンの支払いだけで精一杯で、先立つものが無かった我々ができることは、ベトベトに汚れていた一階と二階の床を、靴を脱がなくても歩けるようにすることだけだった。
なのでいろんな問題や不便さを抱えながら暮らしてきたのだけど、それがもう14年以上にもなるなんて…。
洋介さんはHandyman、家周りの修理などに対して幅広い技能を持つ人だけど、さすがにうちが頼む修理のいくつかにはたじろぐかもしれない。
などと心配しながら、修理してもらいたい事柄の説明と写真を送ったところ、大丈夫ですよ、お邪魔しますと言ってくれたので、お願いすることにした。
まずは、ほぼわたし専用になっている一階のシャワー室。
ここのトイレを生徒や生徒の親御さんたちが頻繁に使う。
床は裏庭に向かってかなり傾斜していて、便器に座ると昔懐かしいクイズ番組のタイムショックの滑り台に乗っているような気分になる。
どれもこれもがものすごく古くて、その場しのぎのなんちゃって補整をして誤魔化しているのだけど、天井の照明がちょっとでも湿っけると点かないのには往生していた。
スイッチをオンにしても、死にかけの電球みたいにオレンジ色の光がじわ〜っと点くだけで明るくならない。
それでそのままにしておくと、いつの間にか点いていたりする。
なので、今日はちょっと湿度が高いなあ、などという日には、1時間ほど前倒しで点けておかなければならない。
カバーを外すと案の定、水分が付着してサビて焦茶色になっていた。


とりあえずこれもいつまで持つかわからないので、一番安価でシンプルな照明器具を選んで取り付けてもらった。

スイッチをオンするとパッと照明が点く幸せ…。
今日まで、今回はちゃんと点いてくれるかといちいち心配しながらスイッチに手をかけていたことが、自分が思ってた以上にストレスだったんだとしみじみ気がついた。
用もないのに灯りを点けたり消したりしてはニヤニヤしているわたしを、洋介さんと夫が苦笑いしながら見ていた。
あなたたちにはわかるまい。でもそれでいいのだ。
洋介さんと夫は、いやわたしもだけど、気が合うからか話が弾む。
夫もわたしも話が弾む人というのは数が多くないので、このことはとても嬉しかった。
彼は親切で丁寧で、一所懸命で、楽しそうに仕事をする。
わたしたちはあれこれ話しながらたくさん笑った。
そうこうしているうちに、困っていたことがどんどん消えていくのだからありがたい。
次に台所の蛇口。

わたしとしては古くても全く構わないのだけど、丈が低い上に蛇口の向きを変える時は、足を踏ん張り、下っ腹にグッと力を入れなければ動かないほど固い。
こちらでは食器洗浄機で洗うのが当たり前なので、シンクに食器や鍋がうず高く積まれるということは稀だから、蛇口が低かろうが高かろうが動かしにくかろうが関係ないのかもしれないけれど、うちは100%手洗いなので、この機会に変えてもらうことにした。
ついでに、シンク下に居座っている古い浄水器のタンクとフィルターも取っ払ってもらった。


そしてこれは地下室の水栓。

レバーに替えたのは洋介さんのアイディアで、水漏れを起こしていたのはこんな感じのをもっともっと古くしたハンドルだったのだけど、外の水栓を開ける時だけこれを開くことになっていた。

なぜなら、開けっぱなしにしておくと外の水栓が水漏れするからだった。
でも、1ヶ月ほど前からこの水栓を開けた途端、半端じゃない量の水が漏れてきて、だから庭や菜園の水まきをしている間は、栓の真下にバケツを置かなければならなかった。
もう面倒くさいったらないし、手を伸ばして天井近くの水栓を開け閉めするたびに上半身がびしょびしょに濡れてしまう。
これからはいちいち開け閉めしなくて良くなったし、びしょ濡れになることもない。
そして最後に玄関ベル。

これは去年のクリスマスに次男くんがプレゼントしてくれたのだけど、これまでのベルが超がつくアンティークだったので、そちらの処理をどうしたらいいのかわからなくて、今まで保留にしてしまっていた。
取り付けに時間がかかったのは、放っておいた時間が長過ぎて本体のバッテリーが切れていたからという、ちょっと笑える理由だったけれど、これもやっと解決。
ということで、長いもので10年以上、短いもので1ヶ月強、悶々としながら使って(使わずに)きた物事が、それぞれの定位置に収まってきちんと働いてくれるようになった。
この充足感、幸福感をもたらしてくれた洋介さんに、心から感謝する。
ありがとうHandyman!
ボクちんは家の中が怪し過ぎて入れんかったから、暑いのに一日中外でいなあかんかったんやで〜😠
