キュウリが日に日に大きくなってきた。
それと共に、あの忌々しい連中も集まってきた。
ランタンフライ(日本名はシタベニハゴロモ)である。
こちらでは、農業や林業に深刻な被害を及ぼす侵略的外来種として恐れられている。
文字通り、よってたかってキュウリに食らいついている。
去年は気づかずにいて、あっという間に枯らされてしまったので、今年はなんとかして助けようと奮闘しているのだけど、どの方法もイマイチ効果がない。
彼らはとてもすばしっこくて賢い。
近づいていくとじわじわと動き出し、こちらとは反対側に回り込んで隠れる。
手を近づけていって掴もうとすると、ノミのような速さでパッとどこかに飛んでいく。
そのジャンプ力たるや…。
なので、酢や洗剤を水と混ぜた液を噴射しても、その液体が届くより先に姿を消すので、肝心のキュウリにかかってしまうだけに終わってしまう。
フェイスブックにこんな写真が載って、よっしゃ〜これで一安心だ〜とばかりに急いでスーパーに材料を買いに行き、キュウリのすぐ横に置いた。
溶液は、同量のパイン・ソルと水、そこに約10グラムの砂糖を入れて混ぜるというもの。
わたしは今回ここに来て初めてこの洗剤を知ったのだけど、こちらでは誰もが知ってる多用途洗剤らしい。
松の木から抽出された天然のパインオイルを元に作られている。
松の精油は殺菌消毒作用が強く、リビングからキッチン、お風呂、トイレ、ペット用品の掃除など、これ1本で家中掃除することが出来るのだそうな。
残念ながらうちの奴らには効かなかったみたいで、だからせっせと手で弾いてトラップ液にダイブさせようとしているのだけど、10回のうち1回ぐらいしか成功しない。
だから1日に何度も見回りに行くべきなんだけど、わたしは蚊に食われると異様に反応してしまうので、いちいち長袖長ズボン+手袋とネット付きの帽子を被っていかなければならない。
その面倒さったらない上に、駆除できる数は高が知れている。
その前はこれを試してみた。
これはそもそも黒蠅を捕まえるものなのだけど、もしかしたら引っかかるかもしれないと思って設置した。
対象が黒蠅だけに、この中の溶液から放たれる臭いといったらもう、昭和初期の肥溜めそのものである。
たまーにランタンフライの幼虫も捕まってるみたいだけど、駆除とは到底言えない。
結局パイン・ソルが大量に残ってしまいそうな予感がする。とほほ…。
まあ、そんなこんなの、いろんな臭いが漂っている菜園だけど、キュウリは毎日数本採れる勢いだし、オクラは可憐な花を咲かせ、シシトウやナスやピーマンやトマトも元気よく育ってくれている。
この時期、採れたての、まだほんのりと温かいキュウリをさっと洗い、夫と二人で半分こしてポリポリとかじるのが夏版『小確幸』なので、わたしは明日もまた、コツコツと退治に行くのである。
どこかの化学者さんが発見してくれないかなあ…ランタンフライの幼虫の退治方法…と愚痴ると必ず夫が、その昔は、日本から侵入してきた黄金虫が農作物に深刻な被害をもたらした話をする。
今回のランタンフライも今のところは外来種なので敵無しの状態だ。
ニュージャージー州やデラウェア州、そしてメリーランド州でも、この害虫の駆除方法を見つけたら報告して欲しいというサイトが立ち上げられていて、思っている以上に事態は深刻なのだ。
今じゃ卵が産み付けられている場所を匂いで探知できるよう、犬の訓練が始まっているそうだ。
すでに他のことで訓練された犬のみならず、一般家庭の犬にもその訓練の機会を与える動きが始まっている。
がんばれ化学者!がんばれワンちゃん!