ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

母の日のありがとう

2017年05月15日 | 家族とわたし
昨日は母の日。
子どもだったとき、母の日が来るのがとても嫌だった頃がある。
父と母が離婚して、母が家を出て行った13歳の5月は、その嫌だった頃の始まり。
次の年には、新しい母がいて、彼女に贈り物をしたのだけれど、受け取ってもらえなかった。
だから、さらに嫌さの度合いは増して、母の日だ母の日だと騒ぐ世間が、本当に鬱陶しくて、母の日なんかこの世からなくなってしまえばいいのにと思った。

成人の前後は、自分が無事に生き延びて行くことだけで精一杯で、身の回りに母と呼べる人もいなくなったので、母の日はゼロの日になり、気持ちが楽になった。
そして、今から31年も前の真冬に、まさか自分がなれるとは思っていなかった母に、なった。

産んだ当初は、難産の極みを3日も過ごしたから、ほとんど死にかけていた。
だから一番大事な初乳をあげることもできず、2週間ずっと、両方の腕に点滴の針を刺したまま横たわっていた。
起きられるようになり、重湯からお粥になり、眺めるだけしかできなかった長男くんを、初めて腕に抱いた。
どちらも死にかけた者同士としての、強いつながりを感じながら、初めての子育ての不安に圧倒されていた。

その1年と8ヶ月後に、次男くんを産んだ。
やはり難産だったけど、前回の医者とは違い、帝王切開への切り替えが早かったので、体力的には疲弊までには至らなかった。
けれども、子宮破裂が始まっていて、後数分遅れたら、親子共々危ないところだった。
次男くんは、全身をロウのようなもので覆われていて、首にはへその緒が3重に巻かれていた。
生まれた瞬間は全く泣かなくて、看護師さんにパンパンと背中を叩かれていた。
体力が前回よりもあったから、次男くんは翌日から病室に運ばれてきた。
だから、点滴の血を逆流させながら、夜泣きの抱っこをしなければならなかった。

母の日が来るたびに思い出す。
息子たちが生まれてきてくれた日のことを。
そして、わたしを母親として鍛えてくれたこと、教えてくれたことを。
母の日が来るたびに、とてもありがたい気持ちになる。
わたしを母にならせてくれてありがとう。
わたしを母と呼んで、大事に思ってくれてありがとう。

前日までシーンとしていたので、今年は忙しくて忘れてるかもな、などと思って期待していなかった。
当日の朝もだから、夫と二人でダラダラ過ごしていて、昼から庭仕事でもやるか、と考えていた。

すると、次男くんからLINEで連絡が入り、「今日はなにをなさるので」と聞いてきた。
「密かに予定していた、夜はベトナム料理でもご馳走しよう」などと言うので嬉しくなり、ぜひぜひと答えたのだが、
「今夜はステーキを焼く予定になってる」と夫。
「じゃあ、わたしはサラダを作るから、みんなでここで食べよう」ということになった。
バージニアに住む長男くんは、同じくLINEで、わたしが困っている機器のことで質問していると、
「よし、母の日はこれで凌ごう」と、解決のための物を買えるよう、ギフトカードを送ってきてくれた。

花束を抱えてやって来た次男くん、元気そうで何より。
だけど、彼が電車を降りた直後に、まるで小さな竜巻のような強風が吹き、突然大粒の雨がバラバラと降ってきた。
嵐を呼ぶ男か君は?

ステーキを焼こうと火を起こしていた夫は、しばし唖然とバーベキューコンロを見ていたが、雨はほんの数分でまた突然止んだ。

我が家としては初めての、超〜分厚い肉!ふた切れで20ドル!


中まで十分火が通るかと心配だったけど、なかなかの焼けっぷり。


慌てて作ったオーガニック大根のお味噌汁。


とっても美味そ〜だけど、こんなにお肉を食べても大丈夫だろうか…。


なぜか突然、ピアノを弾き始めた次男くん。


彼はその昔、完全に真似っこでエリーゼのためにを弾き、その後また真似っこでショパンの子犬のワルツを弾き、
真似っこに付き合うのはもう嫌だ!と、母から宣言されてからは、独学で楽譜を読んで、ベートーベンの悲愴ソナタやジョップリンのメイプルリーフラグなどを弾いて、いろんな場所で披露しては、拍手喝采を浴びていた。
なのにやっぱり弾かないでいると、すっかり忘れてしまっていることに気がついて、電子ピアノ買おうかな…と、ボソボソつぶやいていた。

彼が帰ろうとした時また、突風が吹いてきた。
嵐と共にやってきて、嵐と共に去っていく。
なんてね、とにかく変なお天気だったよね。
突然晴れたり、突風が吹いたり、雨がザーッと降ったり、家の右側は晴れているのに、左側では狐の嫁入りだったり。
いろんなお母さんの気持ちが、お天気になって現れたのかな。
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2 コメント

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Unknown (sarah)
2017-05-17 20:33:36
なんか
ワタクシが言うのもヘンですが
言葉もヘンですが
「まうみさん、母の日、おめでとうございます」

やさしい人間のお子たち、かわいいネコのお子たちに囲まれて
すばらしい一日でしたね^^

次男くんは「嵐を呼ぶ男」?
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sarahちゃんへ (まうみ)
2017-05-26 01:50:19
sarahちゃんからのお祝い、とっても嬉しくいただきました。
いただいておいて、お礼がこんなに遅れてしまって、本当にごめんなさい!

そうなんです、しみじみと嬉しい日でした。
そして次男くんは、その通り!嵐を呼ぶ男になっておりました。

すごい偶然だったんだけども…。
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