ⅲ)土の撚(よ)れによるトラブル。
撚れは「ねじれる」現象です。一度撚れが発生すると、土にねじれた癖が付き、肉厚が
部分的に厚く成ったり、薄く成ったりし、形を造る際作業が難しくなります。
「ねじれ」にはそれなりの原因があります。
基本的には、土の壁の厚みと、上部の重量に関係する現象と、土と手指との摩擦の強さ
に由来します。
a) 肉厚による物
器や筒状の壁面の肉厚が薄過ぎても、厚過ぎても起こります。特に土を伸ばす際や、
形作りの際に壁面の一部に厚みの差が生じます。同じ場所を長く触っていると、
肉厚は薄く成る傾向があります。なるべく均等な速さで指を上に上げる事です。
イ) 周囲(上下)より薄過ぎる場合
土を薄く延ばす際、下部が若干肉厚で、上部に行く程肉薄にしますが、途中で肉厚
が薄く成ると、その部分が撚れ易くなります。撚れる方向は轆轤の回転方向と逆に
なります。撚れた状態で続けて轆轤作業を行うと、撚れは更に大きくなり酷
(ひどく)なります。それ故、撚れが発生したら直ぐに修正する必要があります。
ロ) 轆轤に慣れた方では、撚れそうな予感を得る事も有りますが、慣れない方は
ある程度撚れが酷く成ってから気が付く事も多いです。
撚れた部分は見た目でも判りますが、成るべくなら指先で感じ取って下さい。
ハ) 薄く成った土の厚みを再度厚くするのは結構難しいです。
但し十分肉厚であれば、元に戻す事も可能です。撚れが発生する程、肉が薄く
成ると、直径を細くすれば肉厚は厚く成りますが、撚れる程に肉薄の場合には、
径を細くする事も困難です。
ニ) 肉薄のよる撚れの修正方法。
口縁で肉厚が薄くなる場合は、口縁を上から垂直に指で力を加えれば、比較的
容易に肉厚にする事が可能ですが、高さ方向の中間又は中間よりやや上部に発生
した撚れは直し難です。即ち上部より圧力を加えれば余計に撚れます。
・ 土を上から下に移動させる方法。
撚れた部分より上は撚れた部分より肉厚が厚く成っている事が多いです。
この厚く成った部分の土を両手の指を使い徐々に下に降ろし、薄く成った部分
の肉厚を厚くしようとする物です。下に降ろす事は、土のねじれ方向を逆に
する事にもなりねじれを解消する方向に作用します。
但し、回転は「ゆっくり」にし丁寧に作業する必要があります。
・ 轆轤回転方向を逆にして普通に轆轤挽を行う。
轆轤の回転方法を逆にすると、手指の使い方は左右反対になります。
慣れないと難しいかも知れません。
・ 一度薄い部分の直径広げてから、径を細する。
但し、撚れ部分は水を含み柔らかく成っている事が多いですので、ドライヤー
等で乾燥させてから径を細くます。
・ 撚れが大きく形も歪んだ時には、失敗作ですので最初から直した方がベスト
です。大きな作品などの場合、ねじれた部分を切り取り、その上に土を載せて
継ぐ方法もありますが、意外と難しいです。
ホ) 水不足で、手指が土の表面を滑らず撚れる場合。
土が硬く、且つ水不足に成ると摩擦力は強くなり、土が引っ張られて撚れが
発生する場合があります。土に触れる指は出来るだけ面積を小さくし、撚れを
防ぎます。
b) 肉厚が厚く成って撚れる場合。
直径を細くすると、肉厚は厚くなります。その状態で轆轤作業を続けると撚れが
発生します。土が中心に集まる為、部分的に肉厚に差が出る為です。
撚れを発生させない為いは、細くしたら肉厚を薄くする事です。即ち土を上に伸ば
す事に成り背も高く成ります。この行為を繰り返し行う事で、撚れの発生を抑える
事が出来ます。尚径を細くする際いは、土の逃げ場を無くす(径が小さ時)か、
逃げ場を左右対称にすると良いでしょう(径が大きい時)。
ⅳ) 土のヘタリによるトラブル。
以下次回に続きます。